【編集部から】
士業の魅力は、独立開業できることにもあります。「将来は独立」を目標に合格を目指している方も多いのではないでしょうか。
そこで、「わたしの独立開業日誌」では、独立した先輩方に事務所開業にまつわるエピソードをリレー形式でお話しいただきます(木曜日の隔週連載)。
登場していただくのは、税理士・会計士をはじめ、業務で連携することの多い士業として司法書士や社労士などの実務家も予定しています。
将来の働き方を考えるヒントがきっと見つかるはずです。
公認会計士試験への挑戦を決めた高校時代
高校生の頃、「将来、何をやりたいか?」を考えた際に、自分が経営者となることやお金にまつわることに興味があったため、大学受験では経営学部や商学部を志望していました。
実は、大学受験では浪人をして第一志望校を目指していたのですが、合格することができませんでした。自分なりに「大学受験のリベンジがしたい」と思っていたことや、「自分に自信が持てるように何かを成し遂げたい」という思いから、資格取得を目指すことにしました。
さらに、「資格を持って何か自分の強みとなるものが欲しい」と考えていたところ、経営学部や商学部の学生が挑戦する難関資格に公認会計士があることを知り、自分も公認会計士試験に挑戦しようと決意しました。
合格後のキャリア
受験勉強では紆余曲折ありましたが、公認会計士試験には大学4年生の時に合格することができました。その後、新卒で有限責任あずさ監査法人に入社し、上場企業の財務諸表監査、IPO支援業務、リクルートプロジェクトに関与するなど、さまざまな経験を積みました。監査法人時代に出会った人たちとは、今もお付き合いのある方々ばかりです。
上司、先輩、同僚を含め周りの人たちにも恵まれていたのですが、将来の独立開業を見据えて、税理士法人へ転職しました。税理士法人では、不動産投資家の税務を担当しながら、経営企画部マネージャーとして、法人の経営(人事、採用)、プロジェクト管理、ITツール導入などを行いました。
当時勤めていた税理士法人の所長が寛大で、勤めながら開業税理士登録することができ、その約1年後に独立開業しました。
はじめての壁は「顧客獲得」
独立開業するに際し、自宅兼事務所で始めたので、特に準備したものはなく、PC周りのツールやセキュリティなどの整備をした程度でした。当初は、売上がほとんどない状態でスタートしたのですが、今思うと自分でもよく決心したなと思います。
そんな中、はじめにぶつかった壁は「顧客獲得」でした。何がベストかわからず、さまざまな方法を試し、たくさん失敗もしてきました。
顧客獲得のための初回打ち合わせといったようなことも、それまでにほとんど経験していなかったので、とにかく試行錯誤を繰り返しました。
そうしていくうちに、自分自身のアピールの仕方や、自分がどんなお客様にマッチするかなどが見えてくるようになり、事務所の方針を固めていくことができました。なので、独立当初はひたすらトライし続けることが大事かなと思っています。
税務、キャリア支援、IPOコンサルなど多岐にわたる仕事に携わる
現在、私が携わる仕事は大きく3つの柱があります。税理士事務所での税務、CPA会計学院でのキャリア支援等、スタートアップ支援会社でのIPOコンサル等です。
税務
不動産投資家に対する税務サポートをはじめ、物件取得の相談を受けることなどもあります。
現在は私一人の事務所なので、集客、提携業者への営業、お客様からの質問対応、仕訳入力、申告書作成、契約書・請求書送付、資料返送など、事務所運営に関わることはすべて私が行っています。
会計人材の生涯支援
CPA会計学院でも非常勤で業務を行っていて、主に会計人材の生涯支援(CPASS)に携わっています。キャリアイベントの開催、ロールモデルとなる人へのインタビューや会計人材にとって有用な専門知識やソフトスキルの記事などを作成し、情報発信しています。
「会計人材不足」という課題を抱えている企業が多い中、会計人材の生涯支援を通して、社会の活性化に繋げられるように、必要なことを考えて、様々なプロジェクトを走らせています。
スタートアップのバックオフィス支援、IPOコンサルティング
あずさ監査法人時代の同期2名、CPA会計学院で共に勉強した同期1名と合計4名でスタートアップの支援を行う会社を設立しました。IPOを目指す上で欠かせないバックオフィスの業務について、クライアントのリクエストに応じてサービスを提供しています。
スタートアップにおいても「会計人材不足」という課題を抱えているので、人材の紹介等も含め、さまざまなサポートをして、この課題に取り組んでいきたいと考えています。
世界を広げよう!
独立してから、「より活き活きとしているね」と周りの人によく言われるようになりました。独立は大変なことがたくさんありますが、収入も含めて自己責任なので、とてもシンプルな世界です。また、自由度が高いのも魅力の一つといえるでしょう。
私は資格があるおかげで独立できており、キャリアの多様性や汎用性の高さを感じています。つらくても諦めずに公認会計士試験に挑戦し続けて本当に良かったと毎日思っています。
社会人になる前に、「これをやりたい!」と明確に決められている人は少ないのではないでしょうか。学生時代の私も、その一人でした。
でも、決めていなくてもいいと思います。働いてみて初めてわかることもたくさんあるので、もし今決められていないのであれば、多様なキャリアにつながる公認会計士試験などへの挑戦をオススメします!
資格を取ることによって、自分の世界を広げていき、活き活きとした人生を歩む人が増えるといいなと思っています。
【プロフィール】
大島悠臣(おおしま・ゆうじん)
税理士
1991年生まれ、神奈川県横浜市出身。
2014年、早稲田大学4年生時に公認会計士論文式試験合格。2015年4月に有限責任あずさ監査法人に入社。上場企業の財務諸表監査、IPO支援業務、リクルートプロジェクトに従事。リクルートプロジェクトでは、リクルーターリーダーとして関与。2019年2月に不動産投資税務専門の税理士法人に入社。不動産投資税務を中心に、経営企画部として法人の経営、プロジェクト管理に従事。2019年12月税理士登録。2021年2月に独立。不動産投資税務、スタートアップのバックオフィス支援やIPOコンサルティング業務を行う。同時にCPAキャリアサポート株式会社に入社し、会計人材のキャリア支援業務等に従事。
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