わたしの独立開業日誌 #社労士・米澤裕美


【編集部から】
士業の魅力は、独立開業できることにもあります。「将来は独立」を目標に合格を目指している方も多いのではないでしょうか。
そこで、「わたしの独立開業日誌」では、独立した先輩方に事務所開業にまつわるエピソードをリレー形式でお話しいただきます(木曜日の隔週連載)。
登場していただくのは、税理士・会計士をはじめ、業務で連携することの多い士業として司法書士や社労士などの実務家も予定しています。
将来の働き方を考えるヒントがきっと見つかるはずです。

IT企業⇒社労士法人⇒独立

皆さまこんにちは。社労士の米澤裕美と申します。

私は新卒から19年間、 IT企業のインサイドセールスや業務改善チームの統括リーダーとして勤めたのち、社労士法人勤務を経て2017年に独立開業しました。

現在は、複数企業の顧問・セミナー登壇・執筆・企業広報支援などの活動をしています。

ここでは、私が開業後に行った、コミュニケーションの練習や現在の広報活動にいたるまでをお話しさせていただきます。

皆さまのお役に立つことを少しでもお伝えできれば幸いです。

プロフィール写真

人見知りの克服からスタート

私は開業前は、同じ会社に長年勤め、人脈形成も意識してきませんでしたので外部の人との交流もあまりありませんでした。

一人で企業訪問をした経験もあまりなく、そのマナーもよくわかりませんでした。また、雑談をしながらコミュニケーションをとることに苦手意識もありました。

そのような状態でしたので、開業後は「初対面の方とコミュニケーションをする練習の場をもちたい」と思い立ちました。そこで、行政協力の「電子申請アドバイザー」という仕事に応募し、企業訪問をする機会を自ら作りました。この仕事では、積極的にアポイントをとり、多くの企業をまわりました。

この仕事のお陰で、たくさんの人事担当者と話をすることができました。そして、雑談をしたり困りごとを聞かせてもらうなどのコミュニケーションにも慣れることができました。約半年後、慣れてきたタイミングで行政協力は任期満了で終わりにしました。

自分を知ってもらうための活動として自主セミナーを開催

さらに、私を知っていただくための方法として、セミナーを開催することにしました。

インターネットで調べると、集客方法としてFAXDMを送付するという方法があることを知りました。そこで、有料で集客リストの購入してこのサービスを利用しました。(当時はやり方が分からずFAX集客を試みましたが、今ですとSNSを活用した集客のほうが効率よいと思います。)

DMに掲載する内容を自分で考え、送信サービスを利用して1000社程度に送りました。当時「働き方改革」の関連法が施行されたタイミングでしたので、そのテーマで専門家として話せば、多くの企業が参加されるだろう、との目論見でした。

しかし、なんと申し込みはゼロ!

会場も借り、ほぼ初めてのパワーポイント操作でセミナー資料もがんばって作り、話す練習もしていたのに…(泣)

応援で社労士の知り合いや友人が会場に来てくれていたので、申込ゼロでも開催してみることにしました。

実際に会場で話してみると、プロジェクターをうまく操作できなかったり、持参したノートパソコンが動かなくなって慌てたり…。でも、とりあえず人前で話してみたことは、大きな経験になりました。当時来てくださった方には今でも感謝しています!

そして、この集客ゼロ経験により、話すテーマは独りよがりではだめで、相手のニーズをつかむことが重要であると痛感しました。

最近のセミナーの様子(コロナ前)

集客ゼロだったセミナーが次の依頼につながる

セミナー開催後、Facebookにセミナーを開催したことを投稿しました。

そうすると、投稿を見て「セミナーで話す人」という印象を何人かの方がもってくださったようでした。そのことが、後日、報酬をいただけるセミナー登壇の機会につながりました。ありがたい誤算でした。

何が仕事につながるかは、やってみないとわからないものです。

SNSを活用し仕事を拡大

私はSNSでは主にFacebookを活用しています。

セミナーに登壇したことを発信したり、法改正があるとその内容を調べ、できるだけわかりやすいように工夫しながら解説したりしています。

このSNSに活用により、他士業や交流会で知り合った経営者から、投稿に関連する仕事の話が来るようになりました。

企業の広報支援としてパンフレットや動画を制作する仕事も!

自分の興味のあることを追求した結果、一般的な社労士業のほかに、企業の広報支援の仕事もするようになりました。具体的には、企業を紹介するパンフレットや動画制作などをしています。社労士としての視点を入れ、「働く人に着目し」「組織活性につながる」などのメッセージ性を入れることをモットーにしています。

広報支援として作成した動画

広報支援をより充実させるため新たな資格も取得!

企業の広報支援活動から「ブランディング」に興味を持つようになりました。そこで、最近「ブランドマネージャー」という資格も取得しました。

ブランドマネージャーの資格を取得

「あの人に頼もう」と思い出してもらえるようになるには

人は誰もが「他人」にあまり興味がないものです。一番興味があるのは大抵「自分」です。

笑い話ですが、私の妹は長年、私のことを「中小企業診断士」と思っていたようです(実際は社労士です)。家族ですらその状況です。そう考えると、あなたが「〇〇士」であるということを認知してもらい、さらに案件があったときに思い出してもらうのは簡単ではありません。

さて、存在を覚えていただき、思い出していただくにはどうすればよいでしょうか? 

以下に、ブランディングについていろいろ試行錯誤してきた私なりの考えをまとめたいと思います。

①自分の興味やのばしたい分野を見極め、積極的に発信する

まずは自分がどのような分野に興味があり、のばしていきたいかを見極めることが大事です。

例えば、同じ社労士でも、就業規則作成、人事労務手続、給与計算、助成金申請、人事評価制度導入、人事コンサルティングなど活動範囲は多岐に亘ります。
そして経営者や他士業が持つ社労士のイメージも、「社労士は助成金申請する人」「就業規則を作る人」などバラバラです。

「就業規則作成」を力を入れていきたいのであれば、その需要があったときに思い出してもらう必要があります。
「なんでもやります」というぼんやりとした発信をいくらしても、ニーズがあるときに思い出してもらうのは困難です。
だからこそ、注力したい分野を決め、そののキーワードを何度も何度も繰り返し発信すべきなのです。そうすること、関連するテーマの依頼が来るようになります。これは私自身も体感したことです。

開業したては「なんでもいいから仕事につなげたい」となりがちです。でも、できることなら自分が興味がある分野の仕事を増やしていきたいものですよね。

「まだ経験が浅く、自信がない」と発信を遠慮する必要はありません。経験を積んでから発信しようと思うと、経験を積む機会が増えず、仕事につながらないからです。

他人から見える「あなたのイメージ像」をつくっていこう

もう1つ。イメージはシンプルに統一したほうが記憶に残りやすいです。

ホームページ・名刺・パンフレット・メッセージ・SNSなど、色・雰囲気・発信キーワードなどは統一感をだしたほうがよいでしょう。色や雰囲気を決めるのは結構難しいものです。実際会ってみてイメージと人物がちぐはぐ…では効果がありません。

他人から見える「あなたのイメージ像」について考えてみることをおすすめします。

これら①②を実行いただき、そして社会人として失礼のないマナーやコミュニケーションをとりながら、誠意をもって一生懸命行動していけば自然と仕事は増えていくでしょう。

ブランディングとはそういったことの積み重ねだと思います。

私も試行錯誤しながらではありますが、自分の可能性を信じ、これからの士業人生を楽しみたいです!一緒にがんばってまいりましょう!!

〈プロフィール〉
米澤 裕美(よねざわひろみ)

米澤社社労士事務所 代表
特定社会保険労務士
ISO 30414リードコンサルタント・ブランドマネージャー2級

ホームページ https://office-roumu1.com
YouTubeチャンネル https://onl.la/2yVraU9

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