穂坂 治宏(税理士)
今日は第72回(2022年)税理士試験の合格発表。
官報合格された方、科目合格された方、おめでとうございます!
今年の試験結果は、以下のとおりでした。
【簿記論】
受験者12,888名 → 合格者2,965名(合格率23.0%)
【財務諸表論】
受験者10,118名 → 合格者1,502名(合格率14.8%)
【所得税法】
受験者1,294名 → 合格者182名(合格率14.1%)
【法人税法】
受験者3,454名 → 合格者425名(合格率12.3%)
【消費税法】
受験者6,488名 → 合格者740名(合格率11.4%)
【相続税法】
受験者2,370名 → 合格者336名(合格率14.2%)
【酒税法】
受験者454名 → 合格者60名(合格率13.2%)
【国税徴収法】
受験者1,709名 → 合格者235名(合格率13.8%)
【住民税】
受験者476名 → 合格者82名(合格率17.2%)
【事業税】
受験者269名 → 合格者38名(合格率14.1%)
【固定資産税】
受験者910名 → 合格者167名(合格率18.4%)
(詳細は、国税庁HPをご覧ください)
今年は例年より約半月早い11月末の合格発表。
そして水曜日の発表ですので、大半の方は週末までに結果通知書が届くと思われます。
結果を見ると、合格率が10~20%強ということは、8~9割の受験生は涙をのんでいるということ。
結果通知書を見て、「来年こそは!」と決意を新たにしている方も多いことでしょう。
そこで、2023年8月の税理士試験を目指す受験生に向けて、結果通知書を受けてどう闘っていけばよいのか、穂坂治宏先生(税理士)に以下の3つのアドバイスをいただきました!(編集部)
その❶:早く気持ちを切り替え、決意を新たに今すぐ勉強する!
結果通知書を見て意気消沈し、なかなかヤル気のでない方もいるでしょう。
今年は合格発表の時期は早いものの、年明けスタートの専門学校等の講座を受講する場合、約1カ月のタイムラグができます。
この1カ月は、年末で仕事が忙しかったり、クリスマスや正月などのイベントもあり、ついつい勉強が二の次になってしまうこともありそうです。
しかし、試験合格を目指すのであれば、今すぐ腰を据えて勉強を始めましょう。
大切なことは、「1日も早く気持ちを切り替えること」。
ライバルより少しでも早く、本格的な学習をスタートさせることが大事です。
その❷:来年受験する科目を確定する!
8月に本試験が終わって、受験した科目をその後も継続して学習している方は、そのまま学習を続けていけばよいです。
問題は、8月に受験した科目ではなく、新たな科目に取り組んでいる場合。
たとえば、8月に簿記論を受験していて、9月から財務諸表論を始めた、という場合は、簿記論が残念な結果であっても、科目の親和性が高いので2023年度に向けて2科目学習も可能だと思います。
とはいえ、受験した簿記論の成績が、今回の結果通知書で40点台以下だった場合は、来年の受験は欲張らずに簿記論1本にしぼったほうがよいでしょう。
また、8月に簿記論もしくは財務諸表論(あるいは両方)を受験していて、9月から税法科目を学習しているものの簿・財が残念な結果になったケースでは、簿・財と税法の両立は非常に難しいので、一般的には受験した簿もしくは財(あるいは簿・財)に絞って確実に合格を目指しましょう。
特にまだ1科目も合格されていない方は、合格までの距離感がつかむためまずは1科目を確実に合格するための方法を考えると良いと思います。
その➌:点数によって勉強の重点の置き方を変える!
結果通知書を見て点数がわかることで、自分の合格ラインまでの距離感がはっきりします。
この距離感をもとに、今後の学習について重点の置き方を変えていくことが大切です。
40点未満の方
このレベルの方は、学習量と内容の理解が不足している方がほとんどです。
1からやり直すくらいの気持ちで学習しましょう!
40点台の方
ちょっとしたミスをすると、このくらいの点数になってしまうことも多いですが、ミスをしてしまうのは基礎が固まっていない証拠。
誰もが得点する基本的な論点を中心に学習していきましょう。
50点台の方
あと一歩でボーダーを超えるレベルなので、実戦的なトレーニングを中心にしていきましょう。
また、誰もが得点する基本的な論点を確実に押さえるとともに、自分に合った「より速く・正確に」解ける方法を考えてみるとよいと思います。
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では、当面1カ月何をすべきでしょうか。
近年の税理士試験では、計算が得点源になる傾向にあると思われます。
ですので、特に本試験から合格発表までイマイチ勉強に注力できなかった方は、まずは計算の勘を取り戻すようにしましょう。
たとえば、標準的な総合問題に取り組んで勘を取り戻すとともに知識を確認し、間違えた問題について個別問題に戻って再確認するとよいです。
理論については、会計基準や税法等の文章や文言をやみくもに覚えるのではなく、「筋道をたどって、納得して記憶に残す」ことが大事です。
なお、簿記論・財務諸表論については、今年計算・理論ともに収益認識基準が出題されました。
重要な基準なので過去の出題例を考えても連年での出題の可能性もありそうです。
ですので、この年末のうちに理論・計算ともに収益認識基準をしっかりマスターするというのもよいでしょう。
この時期の地道な勉強は、来年の本試験にきっと活きます。
ぜひ今すぐフレッシュ・スタートを切って、合格を勝ち取りましょう!
〈穂坂先生のご紹介〉
穂坂 治宏(ほさか・はるひろ)
税理士試験の簿記論と財務諸表論の受験指導をしている税理士。ネットスクールで簿財(標準)を担当。本誌「会計人コースWEB」への執筆も多数。著書に『ど素人でもわかる簿記・経理の本』(翔泳社)などがある。
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「資産の評価は原価か、時価か-混合測定という考え方」「リサイクリングは何がわかりにくいのか?」など、受験生が理解しにくい論点などの解説が掲載されています。