うだ
【編集部から】
長丁場の税理士試験で合格をつかみとるためには、根気強く勉強を続けるのはもちろん、心が折れないように自分自身をコントロールすることも必要です。
そこで、33年という長い間、諦めずに税理士試験に挑戦し続けた税理士のうだ(@udamajiuda)先生に、モチベーションの保ち方、そのうえでの当面の過ごし方をご紹介いただきました。
まだ9月? もう9月?
9月。税理士受験生にとっての長い1年は、まだ始まったばかりです。
本試験は来年の夏なので、この時期はまだ焦りを感じたり、不安な気持ちになったりしないでしょう。
その反面、なかなかエンジンがかからない、という人も多いのではないでしょうか。
しかし私の受験時代を振り返ると、この時期に何をやっていたかによって、翌年の合否が、明確に分かれていました。
33年間、どうモチベーションを保っていたのか
結論から申し上げれば、心が折れないセルフコントロール術は「あれこれ考える前に、とにかく行動を起こすこと」です。
試験に「合格」するためには、「勉強」という行動を起こし、それを継続することが前提となります。
早起きの習慣をつけたいとき、一度、無理にでも早起きしてみるのが効果的といわれています。そうすると夜、早い時間から眠くなるので、そのまま早起きの生活パターンが構築されるというものです。それと似ているかもしれません。
何もしないで「合格」が向こうから来てくれることはありません。「合格」という結果を得るためには、こちらから「合格」に向かっていくしかないのです。
まずは1日も早く教材を用意し、環境を整え、とりあえず1日だけやってみましょう。そして次の日も、その次の日も、継続しましょう。
お勤めの方は、仕事帰りにカフェや図書館に立ち寄り、集中タイムを設けるのもよいでしょう。私もそうしていました。
勉強中心の生活パターンを継続することで、夢は希望へ、希望は目標へ、目標は「合格して、税理士として活躍する」という使命感へと、良い意味での変化が生じてきます。
どんな自分になっていたいか、もう一度思い出してみましょう。
不思議なことに、勉強の習慣ができてしまうと、使命感は後付けでも醸成されるものです。
年内はどう過ごす?
受験専念の方はともかく、会計事務所にお勤めの方は12月から繁忙期に入り、翌年の5月まで続くというパターンが多いのではないでしょうか。
繁忙期が終わる頃には、答練が始まったかと思うと、すぐに全国模試を迎えます。
そこまでの6ヵ月間、十分に勉強ができるかどうか不透明だとしたら、来年の合否への影響は計り知れません。
合格を目指していて、かつほとんど勉強できない環境に身を置いている方は、本気で転職を検討すべきと思いますが、税理士試験に臨む全員が、今すぐ転職できるものでもないでしょう。
そう考えると、勝負は年内! 年内に基礎を固められるかどうかで決まるといっても過言ではありません。
税理士試験は税理士に必要な知識及び応用力を問うとされていますが、年内にやるべきことは、本試験レベルの問題を完璧に解けるようにすることではありません。
本試験では、今まで勉強してきたものや、過去問とまったく同じ問題は出題されないからです。
大切なのは、初見の問題に対応可能な応用力を発揮するための、まさに「基礎力」です。
こちらの記事でも書きましたが、特に前回の本試験の手応えが思わしくなかった方に申し上げたいのは、「経験者はケアレスミスで落ちる」ということです。
経験者のケアレスミスは、基礎が十分に固まっていないところに、様々な要因が絡み合って起こります。
私の場合、合格した年の前年9月~12月は、学校から提供される最新の教材を使い、新たな気持ちで、基礎から固め直しました。
これは基本的にどの科目でも同じで、本試験の結果が不安な場合はその科目を、合格している可能性が高い場合は次の科目を学習します。
その中間が問題と思いがちですが、本試験の自己採点結果をもとに、今すぐどちらかに決めて、行動を起こすことです。
税理士試験受験生へのメッセージ
習慣とは恐ろしいもので、勉強しない日が続くと、再スタートがおっくうになりがちです。
勉強する習慣を切らさないことです。
まず、行動しましょう。
税理士試験に合格したいという前提がある限り、行動し、通学でも通信でも、他の受験生と切磋琢磨することを通じて、やる気は後からついてきます。
なせばなる!
【執筆者紹介】
うだ(@udamajiuda)
税理士
資格を武器に独立できる仕事がしたく、商業高校を卒業後すぐに税理士事務所に就職。
人生上のイベントや仕事を通じて数々の社会人経験を積みながら、毎年税理士受験を続け、33回目となる2020年度(第70回試験)、夢にまで見た官報合格。
2022年1月、独立。現在「ひとり税理士」として、日々楽しく奮闘中。