【編集部から】
士業の魅力は、独立開業できることにもあります。「将来は独立」を目標に合格を目指している方も多いのではないでしょうか。
そこで、「わたしの独立開業日誌」では、独立した先輩方に事務所開業にまつわるエピソードをリレー形式でお話しいただきます(木曜日の隔週連載)。
登場していただくのは、税理士・会計士をはじめ、業務で連携することの多い士業として司法書士や社労士などの実務家も予定しています。
将来の働き方を考えるヒントがきっと見つかるはずです。
銀座ホステスから司法書士に
東京都中央区勝どきで、司法書士事務所、行政書士事務所を開業している岡田愛香です。
私は、銀座ホステスとしてクラブで働きながら行政書士試験に合格し、行政書士事務所を開業、その後、司法書士資格を取得し開業しました。
私が銀座ホステスから司法書士に振れ幅大きくキャリアチェンジした理由や、独立開業エピソードをご紹介したいと思います。
「元銀座ホステス司法書士」としてSNSで情報発信したり、業務を受任したりしていますが、初めて会う方には、
「どうして銀座ホステスから司法書士になったのですか?」
と質問されます。
司法書士になった理由のひとつは「高齢になっても働きたい」という思いからでした。
私の祖父は現在88歳で、造船業を営む経営者でエンジニアですが、つい最近まで、祖父に仕事をしてほしいと、仕事の依頼がきていました。
80歳を超えても必要とされるって、ビジネスパーソンとしてめちゃくちゃかっこいい。
私も祖父のように働きたいと思っていました。
でも、銀座ホステスの仕事は体力勝負。高齢まで働き続けるのは難しいと感じていました。
銀座のクラブには、80代で毎日お店に出て、売上もナンバーワンという、妖怪みたいなママもいますが(笑)、私はそんなパワフルなママ達のようになれる気がしませんでした。
自分の将来やキャリアに悩んでいるとき「行政書士や司法書士なら、独立開業もできて、理想的な働き方ができるかもしれないよ」というアドバイスをもらい、行政書士、司法書士を目指すことになりました。
独立開業〜依頼者さんに100%責任を持ちたい〜
試験に合格したら、経験を積むために、勤務司法書士として働こうと決めていました。
予定通り、試験合格後の数ヶ月間は、司法書士法人に勤務しました。
働き始めた当初、数年間は勤務するつもりだったのですが……もともと独立心が強い性格。
安定して与えられた仕事をするよりも、ヒリヒリしながらでも、開業して自分で営業し、依頼してくださった方に100%責任を持つ働き方のほうが、私には合っていると感じ、司法書士法人を退所し、開業すると決めました。
まずは「知ってもらう」
開業すると決めて、まず取り掛かったのは営業です。
といっても、飛び込み営業などの売り込みではなく、私の存在を知ってもらうためにSNSで情報発信をし、「元銀座ホステス司法書士」に少しでも興味を持ってくださる方には積極的に会うようにしました。
こうした活動が“種まき”だとしたら、芽が出るのは数ヶ月後。
焦らずコツコツ行動を積み重ねていると、SNS経由で知り合った行政書士さんからご依頼をいただいたり、元銀座ホステス司法書士という経歴に興味を持ってくださった方からのご紹介で、お仕事に繋がりはじめました。
特に、会計士さんや税理士さんからは、相続登記や会社設立手続きについてご依頼をいただくことが多く、連携しています。
士業の業務は“人との繋がりがすべて”だと感じます。
自分のペースで働ける強み
私は今、生後3ヶ月の娘を育てる母でもあるのですが、妊娠期間中は、体調に合わせて、出来る最大限のお仕事を受任できましたし、陣痛がくる2時間前まで仕事をしていました。
「分娩台の上でも仕事してたい」と思っていたので、出産直前まで働けたのは、開業士業だからこそだと思っています。
今は、育児をしながら業務を受任しています。
妊娠、出産しても、自分のペースで仕事をし、自分のペースでキャリアを築けるのは(大変な部分はもちろんありますが)開業士業の強みだと思います。
もっと地元に密着したい
私の事務所では、WEBサイト経由の依頼は、ご近所の方からの相談がほとんどです。
受験生の頃、開業したら、事務所の近所のおじちゃん、おばちゃんから「愛香先生、元気?」と気軽に声をかけてもらえる司法書士になりたいと思っていたので、地元の方からの依頼はとても嬉しく思います。
「勝どきで相続や登記に困ったら、愛香先生に相談したらいいよ」と言われるような、地元に密着した司法書士になりたいなと思っています。
開業すると、すべての責任を自分で負わなければいけない反面、すべてが自由です。
それが士業になる醍醐味でもあり、面白さだと思っています。
開業士業として働くというのは、とても楽しいですね!
【執筆者紹介】
岡田愛香(おかだ あいか)
東京都中央区勝どきに岡田愛香司法書士事務所・岡田行政書士事務所を開業。
法人設立手続き、組織再編手続き、相続手続きや資産承継をサポート。元銀座ホステス司法書士として、SNSでの情報発信やコラムの執筆も行う。
Twitter(@aika_ai)
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