会計士1位合格者に聞く 論文式試験に向け、残り1ヵ月でやるべきこと


(トップの写真画像提供:CPA会計学院)

公認会計士試験の論文式試験まで、ちょうど残り1ヵ月!

高い順位で合格した受験生が論文式試験合格に向け、どのように過ごしていたのか、勉強で重視していたポイントは何なのか、メンタルを保つために何をしていたのかなどは気になるもの。

そこで、令和3年公認会計士試験1位合格者の大木美裕さん(慶応義塾大学経済学部4年生)に、論文式試験合格に向け、残り1ヵ月の今やるべきことをご紹介いただきました。

【勉強面】計画を立て「ベストな状態」にもっていく!

――試験まで残り1ヵ月となった今、勉強面で一番大切だと思うことを教えてください。

大木さん 計画を立てることが重要だと思います。試験1ヵ月前は、「この日に企業法の論証を暗記する」だとか「この日に財務会計論の理論テキストを3章分見返す」など、ある程度自分がやるべきことの目処が立つ頃です。私もたとえば、試験初日が監査論と租税法なので前日を監査論と租税法の最終確認に当て、「それなら最終日の科目はいつ見直すと記憶が定着するのか」と考え、試験日から逆算して計画を立てていました。

計画に沿って勉強したことで、最終的に理解の甘い科目がなくなり、やると決めたタスクを達成したことが自信にもつながりました。また、計画は試験1ヵ月前の冷静な自分が立てたものです。「これさえやれば合格できる」と考えて決めたものなので、直前になって「あれもやらなきゃ、これも間に合ってない」と混乱することもありませんでした。

自分1人で考えても、講師に相談してもいいと思うので、計画を立てることが勉強面では一番大切なのかなと思います。

――計画を立てる際に重視していたことはありますか?

大木さん 科目の得意不得意は個人差があるので、どの科目を重点的にやるべきかは一概に言えませんが、私は計算科目より暗記科目のほうが最後に伸びると思ったので、暗記科目に重点を置いて計画を立てていました。もちろん覚えやすい論点と覚えにくい論点があるので、自分の中でなかなか定着しない論点は答練や模試の前日に見返すと決めていました。

――模試や答練は、普段の学習にどのように活かしていましたか?

大木さん 理解や暗記が甘い論点を見つけるためのツールとして活かしていました。たしかに、答練や模試を受けると自分の得手不得手がわかって、「暗記が甘いな」とか「あんまり書けなかったな」と思って不安になることもあると思います。ですが、できなかったことを落ち込むよりは、そこに割く時間を多くしたほうがいいと思うので、私も気持ちを切り替えて復習するようにしていました。

【生活面】努力がムダにならないよう、体調管理を優先する!

――続いて生活面についてお聞かせください。勉強面より大切だという方もいますが、大木さんが意識していたことはありますか?

大木さん いくら時間がない時期だからといっても、夜ふかしをして勉強するのであれば、朝に勉強時間を確保したほうがいいのかなと思います。私ももともと夜に勉強することができないタイプだったのですが、体調管理のためにも朝に勉強するようにしていました。

また、コロナの影響もあったので、いざ当日に感染して受験できないなんてことがないように、3週間前からは家から出ないような生活を送っていました。その頃になると答練や模試も終わり、大学も夏休みに入っているので、家から出なくても問題はありませんでした。

――試験直前は1日にどれくらい勉強されていましたか?

大木さん 毎日8時間くらいです。1日あたり2~3科目をピックアップし、事前に立てた計画に沿って勉強していました。徐々に得意な科目を勉強する日は少なくなり、苦手科目や暗記科目にかける時間が多くなっていった記憶があります。ただ、試験前日は明日に備えることを優先し、会場までのルートをリサーチしたうえで、夜ご飯を食べた後は勉強しないで寝るようにしました。

――試験会場に「これだけは持っていったほうがいい」というものはありますか?

大木さん 暗記用教材は持っていってよかったと思っています。ただ、だからといって教材を持っていきすぎないことも大切だと思います。やはり大前提として夏にたくさんの教材を持っていけば疲れますし、休憩時間も限られているのですべてを見ることもできません。また、今の時代は気になったことがあればスマートフォンでぱっと調べることができ、予備校によってはウェブ教材もあるので、紙の教材を持っていかなくても確認はできると思います。そういった意味で、私も各科目1冊ずつしか持っていきませんでした。

【メンタル面】時間を決めて適度にリフレッシュする

――続いてメンタル面について、試験当日までどのように気持ちを整えていったのか教えてください。

大木さん 私の場合、「合格できるかどうか不安」というよりは、周りが遊んでいる姿を見て「どうして自分はこんなに勉強しているんだろう」と思って落ち込むことが多かったです。そういうときは、一緒に勉強している友達と話したり、家にこもる前は「この日に遊ぶ」と決めて遊んだりしました。外出を控えるようになってからも、YouTubeやNetflixなどを夜1時間だけ見ると決め、普段からリフレッシュの時間を作ってメンタルを整えていました。

――ちなみに……いわゆる願掛などはされていましたか?

大木さん 物を落としてしまうと縁起が悪いので、物を落としたときはその場で少しだけジャンプしていました。本当にくだらない願掛けなのですが、「落ちる」ではなく「点数が跳ねる」と考えて、相殺していました(笑)。

受験生への応援メッセージ

――最後に、論文式試験受験生へのメッセージをお願いします。

大木さん 今まで自分が頑張ってきた努力は絶対に裏切らないと思います。また、会計士試験は運で合格することもなければ、運で落ちることもない試験です。これからの1ヵ月は、特にメンタルが不安定になってしまったり、勉強も何をすればいいのかわからなくなりがちですが、「自分の努力が反映される」と信じて大丈夫だと思います。続ければ結果はついてくるので、後悔のないように頑張ってください。応援しています!


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