【税理士合格体験記】「税法の壁」は「得点分布表」で攻略!  キャビンアテンダントから転身し、6年で官報合格


Y.I
(40代、税理士事務所勤務)

合格科目:財務諸表論(平成28年)、簿記論(平成29年)、消費税法(令和元年)、事業税(令和2年)、法人税法(令和3年)
学習スタイル:財務諸表論・簿記論(資格の大原に通学)、消費税法・事業税・法人税法(受験初年度は通学、受験2年目以降は通信)

税理士を目指したきっかけ

大学卒業後、十数年間、航空会社の客室乗務員として勤務し、航空機内の現場だけでなく新入社員教育やOJTインストラクター、関連子会社への出向など、さまざまな業務に従事してきました。

やりがいや充実感はもちろん感じていましたが、不規則な仕事です。40歳を目前にしたとき、このまま定年まで客室乗務員を続けている自分が想像できなくなり、転職を考えました。

簿記と出会ったのはそのときです。転職の相談に乗ってくださった会社の方のアドバイスで、履歴書の資格欄に記載するため、簿記検定を受けることにしました。

はじめて知った簿記でしたが、私にはとてもおもしろく、「せっかく興味がもてたのだから、もっと勉強して資格を取って手に職をつけたい」、そう思い、税理士を目指すことにしました。

「受験を決意した自分に負けたくない」気持ちがモチベーションに

簿記検定2級だけを武器に税理士事務所に就職し、フルタイムで勤務しながら勉強(毎年2科目ずつ受験)することにしました。

仕事も勉強もはじめてのことが多く大変でしたが、資格取得を目標に掲げた直後ということもあり、モチベーションは高く、知らないことを知れることが楽しくて充実した日々でした。

いま思えば、このときのモチベーションが一番高かったと思います。受験決意から官報合格までの期間を通して振り返ってみても、このときの高さを超えるときはありませんでした。

つまり、受験期間中は、モチベーションは下がるもの。それをいかに下がらないように維持し、自分の目標を達成するかが大切なのではないかと思います。

はじめは楽しいと思っていた勉強も、カリキュラムが進むにつれ、ついていけずにつらくなったり、勉強したくても仕事が忙しくて時間がなかったり、疲れて勉強がおっくうになったり、テストの結果を見てさらに落ち込んだり……モチベーションは下がる一方でした。

しかし、誰かに頼まれたわけでもなく、自分の意志で始めたことです。

投げ出すつもりはまったくありませんでしたが、自分の力だけではどうにもならないときは、学校の先生や会社の先輩方とお話しすることで、下がってしまった気持ちを再び持ち上げるきっかけをいただいていました。

トップ画像にある姪っ子、甥っ子からもらったお手製のお守りも心の支えでした。

振り返ると結局、模擬テストで納得のいく点数を取ることが一番のモチベーション維持につながっていたと思います。

そのためには勉強するしかありません。仕事が忙しい、時間がない、勉強ができない理由はいくらでも見つけられますが、最後は「受験を決意した自分に負けたくない」という気持ちで必死でした。

「税法の壁」の乗り越え方

税法受験生の間では、「税法の壁」という言葉を耳にします。

がむしゃらに勉強して財務諸表論・簿記論と会計科目を順調に合格できた私は、「そんな壁、ないと思いたい」と聞かなかったことにしたのですが、受験3年目に消費税法・事業税ともに不合格だったときに、「税法の壁はあるのかもしれない」と思うようになりました。

同時に、今までの勉強方法では合格は厳しいのかもしれないと、自分の勉強方法を見直すよいきっかけになりました。

とはいえ、仕事をしている以上、平日の勉強時間は限られています。量ではなく質(内容)を重視した勉強方法かつ効率も重視したいと考え、学校のテストで配布される「得点分布表」を活用することにしました。

あと5点上がれば上位20%に入れる、それなら5点上げるために自分には何が足りなかったのか、そこを埋めるために何をすればよいのかなど、自分に厳しく自己分析しました。

計算では、計算方法の全体的な流れを押さえるために、紙に項目を書き出していました。大まかな流れがわかったら、次は細部(たとえば、これは計算に含める、含めないなど)を詰めていくといった感じです。

該当する理論があれば、理論テキストを見たときにもわかるよう理論テキストに書き込んでいました。こうしたことで、計算問題を実際に解けない日でも、理論テキストを見れば計算の流れだけは視覚的に復習できるようになりました。

理論は、音読で覚えました。書くのは時間がかかって疲れてしまうので、効率的ではないと考えたからです。

暗記が目的ではありましたが、テキストから目を離すことはほとんどなく、声に出して読みながら目でも文章をインプットすることを意識していました。

ちなみに私は「キオークマン」というヘッドフォンをつけて音読していました。これをつけて音読すると自分の声がスピーカーから聞こえてきて、声に出すことと、耳に入れることが同時にでき、記憶が定着するらしいのです。その効果かわかりませんが、音読後は本当に頭が疲れました。

さいごに

税理士を目指したきっかけ、学習方法、学習環境、年齢、性格、どれも人それぞれですから「これがよい」「これをしなくてはダメ」などということは一切ないと思います。

そんなものはないと思うからこそ、周囲の方の言葉をきっかけに、自分の状況に合わせた戦略(勉強方法)を自分で練ることが必要なのだと思います。

私も、試行錯誤しながらも何かを真剣にやってきたことに無駄なことはないと思っています。

私の合格体験記が、読んでくださった誰かの戦略を練る1つのきっかけになれば幸いです。


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