【編集部から】
士業の魅力は、独立開業できることにもあります。「将来は独立」を目標に合格を目指している方も多いのではないでしょうか。
そこで、「わたしの独立開業日誌」では、独立した先輩方に事務所開業にまつわるエピソードをリレー形式でお話しいただきます(木曜日の隔週連載)。
登場していただくのは、税理士・会計士をはじめ、業務で連携することの多い士業として司法書士や社労士などの実務家も予定しています。
将来の働き方を考えるヒントがきっと見つかるはずです。
28歳の時、ひとり事務所として開業
はじめまして、福岡市博多区で公認会計士・税理士事務所をしている西太嗣です。
監査法人および税理士法人に勤務した後、2020年10月に「ひとり事務所」として開業し、約1年半が経過しました。
現在は税務業務、監査業務、コンサルティング業務の3つをしています。
マイペースながらも楽しく働いていますので、何か1つでも皆様のご参考になれば嬉しいです。
開業しようと決めた理由
さっそくですが、私が開業を決めた一番の理由は、”自分で事業をしてみるのが楽しそうと思ったから”でした。
私は大学卒業後に、大手監査法人の福岡事務所で3年半働き、無職の期間を半年はさんだ後、税理士法人に転職し、1年弱働きました。この間に、上場会社および非上場会社を中心とした監査や内部統制の構築支援、法人税務顧問、財務および税務デューデリジェンス、会計税務コンサルティング等を経験しました。
いずれの期間においても学ぶことや達成感を感じることは多々あったものの、働くことを楽しいと思うことがなかなかできませんでした。
しかしながら、税理士法人で仕事をする中でお客様のビジネスに触れるうちに、「自分で事業をやってみると楽しいかもしれない」と考えるようになり、気がついたら開業することを決めていました。
開業する際に悩んだこと
開業する際に悩んだことはたくさんありますが、最も悩んだのは「事務所としての戦略」でした。
開業の理由が、“楽しく働きたい”ということだったので、楽しく働くためには業務以外のストレスがなるべく発生しないように、一緒にお仕事をさせていただく方との相性と条件をしっかり考えないといけないと思いました。
相性については、仕事のお問い合わせがあった際に面談をすればある程度はわかりますが、一定以上の条件で契約していただくためには事務所として選ばれる理由(=特徴)が必要です。
そのため、どのような特徴を持った事務所にして、どのような方を顧客にしていくかについて、とても悩みました。
開業に選んだ「福岡」という土地柄
大学時代から福岡という場所がずっと好きだったことと、開業する直前に結婚をしていたため、福岡という場所で開業することについては何も悩みませんでした。
そして、福岡で事業を始められる方やすでにされている方の中には、同じく福岡に住んでいて年齢も近い専門家に依頼したいという方もいるのではないかと思い、まずはそのような方に選んでいただけるようにしたいと考えました。
zoom等で遠方の方とオンラインで話せるようにはなりましたが、現在ご依頼いただくお客様が福岡の方ばかりであることを考えると、定期的に直接会って話をするために、近場の専門家に依頼したいというニーズがかなりあると感じています。
開業してみて思ったこと
開業してみて私が最初に思ったことは、「”自分がしたい”と思ったことをやってみることは、とても楽しい」ということです。
サービス設計や価格設定は常に悩み続けてはいますが、新規の方とご面談するときやITツールを活用して効率化を考える時は、仕事が特に楽しいです。
また、公認会計士という「資格の魅力」を改めて感じてもいます。
私の場合は、たまたま開業という形でしたが、コンサルティング会社で働く会計士や事業会社で働く会計士、監査法人で働く会計士など、地方でもさまざまな選択肢があるからです。
最後になりますが、“独立”とは名ばかりで、開業してからは特に、家族や周りの方々にサポートしていただいていると感じることが多いです。
周囲の方々への感謝の気持ちを持ちつつ、これからも楽しく仕事をできるように試行錯誤したいと思います。
【執筆者紹介】
西 太嗣(にし たいし)
福岡市博多区の公認会計士・税理士。
1991年生まれ。長崎県対馬市出身。高校時代を鹿児島市で過ごし、大学から現在に至るまで福岡市在住。公認会計士試験合格後に、大手監査法人および大手税理士法人での勤務を経て、2020年10月に福岡市博多区で開業。ひとり社長の会社から東証一部上場会社までを見てきた経験をもとに、同年代の起業家やフリーランスを中心にサポート。その他にも監査業務およびコンサルティング業務をしている。
趣味はゲーム・囲碁・卓球・スポーツ観戦。甘いものが好き。
Twitter(@24_cpa)
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