【税理士合格体験記】「大学院」+「固定資産税」で税理士へ! 苦手な理論はオリジナルな方法で克服


菱沼悠美子
(税理士事務所勤務、25歳)

合格科目:簿記論(2018年)、財務諸表論(2019年)、固定資産税(2021年)
学習スタイル:資格の大原(通学)

「簿記の授業」と「税理士事務所のアルバイト」がきっかけに

税理士試験に挑戦したのは大学の授業で簿記に興味を持ったことがきっかけです。大学では部活動やサークルには入っていなかったので、学生時代に何か残したいと思い、税理士試験の勉強を始めることにしました。

また、大学3年生のときから税理士事務所でアルバイトをしていたのですが、働いている先輩たちを見て「こんな仕事をしてみたい」と思ったのも、税理士試験に挑戦する大きなきっかけとなりました。

そこから大学院1年生のときに簿記論、大学院2年生のときに財務諸表論、社会人2年目のときに固定資産税に合格しました。

先輩の勧めで大学4年生から大学院へ

私は最初から大学院に進学しようと決めていました。アルバイトしていた会計事務所の女性税理士の方が大学院進学を勧めてくれたことがきっかけです。いろいろと話を聞くにつれて、「私も大学院に行こう」と決意しました。

私が通っていた大学には、大学4年生から大学院に通える制度があり、その制度を使って大学院に進学しました。大学院に通うまでは、周りに受験生がまったくいませんでしたが、実際に入学すると受験仲間ができ、勉強方法を共有したり、一緒に研究室で勉強したり、「自分も頑張ろう!」と前向きになれる瞬間が多くありました。本当に大学院に入ってよかったと思います。

【大学院生時代】簿記論・財務諸表論に合格

大学院1年生で簿記論、大学院2年生で財務諸表論に合格しました。1年生のときは大学院の授業が多く、2年生では修士論文の執筆があったので、スキマ時間を使って税理士試験の勉強をしていました。

【1日のスケジュール】
7時 起床
9時~12時 大学院の授業
12時半~13時半 昼休憩
13時半~18時 税理士試験の勉強
→大原の自習室への通学時間がもったいないなと感じたので、そのまま大学院の研究室でよく勉強していました。
18時~20時 修士論文
→夜は集中力がなくなるので、修士論文を執筆したり、先行研究を読んだりして気分転換をしていました。
20時~21時 理論暗記
22時 帰宅

■簿記論:問題を繰り返し解き、「捨て問」の判断力を鍛える

簿記論は専門学校で答練が始まる5月辺りから一番重要です。

答練では本番と同じように「みんなが解ける問題」と「捨て問」が出題されるので、その判断ができるようになります。

私は「捨て問」の判断ができるように直前期の答練、過去問は何度も解きました。何度も繰り返すことで、解答のスピードアップにつながり、ケアレスミスも減っていきました。

■財務諸表論:習った理論は「一元化」する

前年に簿記論を受験していて、計算の基礎知識はあったので、理論をメインに勉強していました。理論がすごく苦手だったこともあり、理論に7~8割、計算に2~3割の時間を費やしました。午前中は頭が働くので計算の総合問題を解き、それ以外はスキマ時間で音読して理論を覚えていました。

直前期には答練で、大原の「要点チェックノート」以外の理論も出題されるので、要点チェックノートにプラスでその理論も書き込んでいました。他にも授業で習ったポイントなども追加で要点チェックノートに書き込みました。「今まで勉強した理論がすべて要点チェックノートにある」という状態です。

また、はじめての理論学習で、なかなか覚えられず、モチベーションが下がってしまうことも多かったので、自分が好きなキャラクターのクリップを要点チェックノートにつけて、モチベーションを上げていました。

【社会人時代】固定資産税に合格

2020年3月に大学院を修了し、8月までは受験に専念していました。その年に固定資産税を受けましたが、残念ながら合格できなかったので、9月以降は働きながら勉強しました。

私が働いている税理士事務所は、残業がなく、それに加えて試験前1ヵ月間は休むことができる制度があります。そのため、社会人でも勉強時間を確保できました。残業がないのはもちろん、試験前1ヵ月間休めるというのは、追い込み時期にかなり意義があるものでした。本当に事務所の方には感謝の気持ちでいっぱいです。

【1日のスケジュール】
5時半 起床(会社が家から少し遠いので、朝は勉強できず…)
9時~12時半 仕事
12時半~13時半 昼休憩
→なるべく早くご飯を食べて、固定資産税の計算問題1題(30分)を解いていました。
13時半~17時半 仕事
19時 帰宅
20時~23時 理論暗記
→理論は音読して覚えるタイプなので、家で勉強することが多かったです。

■固定資産税:反省点を活かし、理論暗記を「効率化」

固定資産税はミニ税で、他の税法に比べると範囲も狭く、高得点勝負になります。

計算については、大原だけではなくTACの答練も解き、計算式などを参考にしていました。

計算は1つミスをすると、芋づる式で間違えてしまうので、「どのようにしたらミスが減らせるか」を意識して問題を解いていました。たとえば、「ここを間違えたから、問題文に書くメモをこういう感じに変えよう」といった感じです。

また、目標時間の10分くらいマイナスで解き終わるように、問題を繰り返し解いていました。

理論については、固定資産税でも苦戦しました。私はイメージがわかないと、まったく頭に入らなかったので、授業中に先生が教えてくれた内容をメモして、理論を覚える際の参考にしていました。

また、固定資産税では以下のような流れで理論を覚えていました。

理論を覚える
 ↓
応用理論問題を見て覚える
 ↓
答練の理論問題を見て覚える

理論を1回覚えて、完璧に覚えていなくても応用理論問題を見ることを意識していました。1年目に固定資産税を勉強したとき、理論をなかなか覚えられず、応用理論問題に手を付けるのが遅くなってしまったことが反省点だったので、2年目は早くから応用理論問題を見ることを意識しました。 

理論は基本的に音読で覚えていましたが、問題を解くときはパソコンで打っていました。書くと、すごく手が痛くなって疲れてしまい、時間もかかって理論を回せる回数も少なくなってしまうと思ったからです。2年目の固定資産税からタイピングを取り入れたのですが、とてもおすすめです。

「税理士試験」が結んでくれたご縁を大切に

大学3年生から勉強を始め、4年間受験していたのですが、長いようで、過ぎてしまえばあっという間でした。

SNSなどで同級生が楽しそうにしている姿を見ると、「自分は勉強ばかりで何をしているんだろう」と思ったことは一度や二度ではありません。「勉強するの疲れちゃったな」と思うこともありました。しかし、家族や周りの人の支えがあって、税理士試験を乗り越えることができました。本当に支えてくれた方には感謝してもしきれません。

大学に入るまでは「税理士になろう」とも思っていなかったので、「税理士試験」を受けたことが私の人生のターニングポイントになりました。「税理士試験」を受けなければ、大学院の友達や教授とも出会うことはなく、今の税理士事務所で働くこともなく、一般就職をしていたと思います。

「税理士試験」が紡いでくれたご縁をこれからも大切にしていきたいと思います。

また、固定資産税は受験者数が少ないせいか、合格体験記もなかなか見つからず、私は受験生時代、勉強のやり方に悩みました。そのため、私の合格体験記が、読んでくださった方のお役に立てば嬉しいです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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