【現役大学生に聞く!②】合格者は日商簿記1級をどう勉強した?


会計人コースWebでは昨日から全3回にわたり、千葉商科大学「瑞穂会」の指導をされている渡邉 圭先生と学生の方々による、「日商簿記1級」をテーマとした座談会の内容をお届けしています。

第1回は、先日の第159回で1級をはじめて受験した学生2名に、その感想をお話しいただきました。

第2回は、日商簿記1級合格者4名にご登場いただき、どのように勉強していたのかお話しいただきます。

第2回にご協力いただいたメンバー

司会進行:渡邉 圭先生

1級合格者:木内 沙弥さん(4年生・千葉県教員採用試験合格)、梶井 佑太さん(3年生・税理士試験受験生)、桐生 竜雅さん(2年生・公認会計士試験受験生)、橘 啓介さん(2年生、税理士試験受験生)

日商簿記1級、勉強のやり方やポイントは?

渡邉先生 第2回の座談会は、日商簿記1級合格者の皆さんに、勉強のやり方やポイントを聞いていきたいと思います。それでは、よろしくお願いします。

一同 お願いします!

渡邉先生 まずは木内さん、日商簿記1級を勉強していたとき、意識したことはありますか?

木内さん 私の場合、瑞穂会で勉強する時間が多かったので、それ以外の自分だけの時間をどう使うのかを考えるようにしていました。息抜きをしないとダメなタイプだったので、休むときは休む、集中するときは集中する、とメリハリをつけて勉強していたと思います。また、私が受験したときはコロナ禍で、家で勉強しなければいけない時間も増えたので、家の中でも勉強する場所を変えて、気分転換をしながら勉強するようにしていました。

渡邉先生 息抜きや気分転換も勉強には大切ですね。受験生のなかには、勉強を習慣づけることが苦手な方もいると思います。この点は、どうでしたか?

木内さん 瑞穂会の仲間や他の試験を受ける友人とLINE電話をつなぎながら、時間を決めて一緒に勉強していました。電話を通して「みんなも頑張っている」という雰囲気が伝わってくるので、1人で勉強するよりもモチベーションが上がり、勉強の習慣化にもつながりました。

渡邉先生 以前は「スマートフォン」といえば勉強を阻害するもの、遠ざけなければいけないものという認識がありましたが、今は逆に「それをどう勉強に活かすか」を考えるようになりましたね。梶井さんは、日商簿記1級の勉強ではどのようなことを工夫していましたか?

梶井さん 1級は2級と比べると学習範囲も広く、勉強したことを頭に定着させるのが大変でした。ただ、単に「覚える」よりは「理解する」ことで、いろんな問題に対応できると思ったので、テキストを何度も読み、そこに書かれていることを隅から隅まで押さえるような勉強をしました。わかりにくい部分があれば、実例を考え、自分のなかで噛み砕いて理解するように心がけました。どうしても暗記しなければいけない部分は、毎日読んだり書いたりして、頭のなかに定着させていきました。

渡邉先生 梶井さんは今年、税理士試験の簿記論・財務諸表論を受験しましたよね。日商簿記1級の勉強が税理士試験にも活きたと思った場面はありますか?

梶井さん そうですね。学習内容はもちろんですが、日商簿記1級の勉強を通して、「理解すれば忘れにくい」ということを実感できたと思います。そのため、税理士試験の勉強でも「理解」を優先するようにしていました。

渡邉先生 瑞穂会では、梶井さんのように、日商簿記1級で勉強法の下地を作り、税理士試験や公認会計士試験に進む人が多いですね。橘さんは、勉強で工夫したことはありますか?

橘さん 勉強法というほどではないのですが、“ゲーム感覚で”楽しみながら勉強していたように思います。たとえば、わからないことがあって調べると、関連する別の情報が載っていることもあります。そういった情報も合わせてノートにまとめ、新しい知識を増やしていくことが楽しかったです。また、コロナ禍に瑞穂会では、Teams上にオンライン自習室が作られましたが、大学での勉強が終わった後、いかにその自習室に早く入って勉強を始められるか、そういったことも気にしながら、楽しく勉強していました。

渡邉先生 たしかに橘さんを見ると、模試での点数が悪かった場合でも、それをいかに乗り越えるかを楽しんで考えていたように思います。逆に、「勉強したくないな」と思ったときはどうしていたのでしょうか。

橘さん 勉強のやる気が出ないときも、大学に行けば瑞穂会の仲間がいて、家に帰ってもオンライン自習室があったので、常に刺激を受けることができていました。やる気が出るまでは友人とおしゃべりをすることもあったのですが、それがいい息抜きや切り替えになっていました。

渡邉先生 瑞穂会の仲間がいてこその受験だったのですね。最後に桐生さんは、どのようなことを意識して日商簿記1級を勉強していましたか。

桐生さん 僕も梶井さんと同じく、テキストで基本を押さえることを優先した勉強をしていました。最近の日商簿記1級の出題傾向を見ると、模試や過去問をいくら解いたところで対応しきれない問題も出ている印象を受けます。だからこそ、基礎となる部分を理解しているのか、そのうえで基本的な知識に基づいて応用問題を解くことができるか、を試されていると感じました。また、僕の場合は、瑞穂会の仲間と同じ時間に同じ問題を解きはじめ、解き終わったら答案用紙を交換して採点をし、「ここが難しかったよね」「ここはどう解けばいいだろう」と感想や対策を共有するようにしていました。

渡邉先生 基礎と応用のお話が出ましたが、「基礎が大事」ということは、瑞穂会では常に重視していることではありますね。具体的には、基礎を7、応用を3くらいの割合で勉強を進めてほしいと思います。

メリハリをつけ、理論と計算を結びつける!

渡邉先生 続いての話題ですが、今回(第159回)もそうだったように、近年の日商簿記1級では理論問題も増えています。「計算は得意だけれど理論は苦手」という人は瑞穂会にも多いと思いますが、皆さんはどのように対策をしていましたか? 

桐生さん 僕は、模試で出た理論を必ず覚えるようにしていました。これは個人的な感覚ですが、最近の会計学の理論は、1級のテキストを読んでいるだけではわからないような、それこそ公認会計士試験や税理士試験の勉強をしていないと解けない問題もあると思います。正直なところ、「できなくても仕方ない」部分もあると思うので、模試に登場した論点だけを「必須」と考えて、それ以外は詰め込みすぎないようにしていました。

梶井さん 僕も、あまり理論には時間をかけていませんでした。計算問題を解く過程で解説を見て、必要があればテキストで理論を確認していました。テキストに載っていない理論は、みんなも解けないだろうと割り切っていましたね。実際に自分が受験したときは、そこまで突飛な理論問題が出ることもなかったので、そんなに苦労もしなかったと思います。ただ、漢字が難しかったり見慣れない言葉もあったりしたので、そこは実際に書いて覚えるようにしていました。

渡邉先生 理論には時間をかけすぎず、メリハリをつけて勉強していたのですね。

木内さん 私も計算でいっぱいいっぱいだったので、みんなと同じように、理論にはあまり時間をかけていませんでした。ただ、計算問題をしっかり理解して解けるようになると、理論問題も自然と解けるようになると思います。

橘さん 木内さんの言うように、計算と理論を独立させて勉強するのではなく、関連させて勉強することが大切だと思います。僕も模試で出た計算問題に関する理論をそのつど覚えるようにしていました。また、理論暗記はスキマ時間を使うことも大事になってくるので、移動時間に理論を読んだり、家のトイレの壁に覚えたい理論を貼ったり、ちょっとしたときに目にするように心がけていました。

渡邉先生 ありがとうございます。皆さんの勉強法が今後1級を受験する方々の参考になるといいですね。


今回ご協力いただいた、千葉商科大学「瑞穂会」とは?

会計教育の実践の場として、千葉商科大学の学生を対象に、日商簿記検定、税理士試験科目(簿記論・財務諸表論)の講座を開講し、無料で受験指導を行っている。専用の教室を有し、専任教員が常駐して学生の受験指導にあたる。現在、多くの合格者を輩出しており、毎回の合格率は全国平均を大きく上回る。また、大学の授業と資格試験の両立に悩む学生に効率的な学習方法をアドバイスするなど、個々の学生の状況に応じた細やかな指導を行っている。

HP:https://www.cuc.ac.jp/iaer/mizuho/index.html


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