勉強の秋ですね~。
9月から新たに学習のスタートを切った税理士受験生の皆さん、順調に勉強は進んでいるでしょうか?
来年の本試験までちょっと時間があるこの時期、苦しい受験勉強を乗り越えるには、「絶対に税理士になる!」というモチベーションを持続させることが不可欠です。
そこで、将来の仕事をイメージし、またモチベーションがアップする書籍を紹介します。
第3回目は、『地域金融の未来―金融機関・経営者・認定支援機関による価値共創』(森俊彦著、中央経済社)です。
今、中小企業をめぐる金融はどのような状況か? そして中小企業およびサポートする会計事務所は何をすべきか?
中小企業、およびこれをサポートする認定支援機関(税理士・公認会計士・会計事務所等)にとっては、間接金融が中心である以上、金融機関との信頼性をどのように築くかが大きな課題といえるでしょう。
そこで、本書は大きく以下の点について、各政府委員を務めて経緯と現状を熟知している著者が、1論点を原則2頁でコンパクト、かつわかりやすく解説しています。
① 中小企業金融がどのような変遷をへて現在の状況になったか、そして現在どのような状況か?(第1章~第2章)
② 現在、政府の中小企業支援への取組みはどのようになっているか?(第3章)
③ この状況の中、金融機関、中小企業経営者、認定支援機関はどのように対応していけばよいか?(第4章~第8章)
<目次>
第1章 中小企業金融の現状と対応すべき具体的な展開シナリオ
第2章 金融行政の変遷と金融検査マニュアル廃止後の検査・監督とは
第3章 政府の中小企業支援における事業の「見える化」と「磨き上げ」に向けた取組みと支援策
第4章 中小企業が取り組むべきこと
第5章 金融機関が取り組むべきこと
第6章 認定支援機関が取り組むべきこと
第7章 地域経済エコシステムの「好循環のループ構築」に向けて
第8章 アフターコロナ
金融機関との信頼性を築くには、税理士・会計士を中心とした認定支援機関の果たすべき役割は大きい!
事業再生、事業承継、成長支援などが進まない根本に「中小企業経営者と金融機関の信頼関係」が十分構築されていない問題があるといわれます。
この根底には、中小企業経営者と金融機関にとって、互いに“情報の非対称性”が原因だと指摘されています。
こうしたなかで、中小会計要領、書面添付制度やローカルベンチマークなどの活用により、財務情報の信頼性確保と非財務情報の見える化・見せる化を推進する税理士・公認会計士等の認定支援機関の果たすべき役割は大きいといえるでしょう。
本書ではこの点について、第6章を中心に詳細に解説されています。
その重要性から、本書はこれまで特に税理士の先生方向けのセミナーで多数テキストとして採用いただいたのだと思われます。
さらに昨今の報道で目にしない日はないといえるESGについて、金融機関の方向性と取り組みも示されており、今後中小企業にも大きな影響を及ぼす状況も予想されます。このような大きな潮流を把握することは重要です。
こうした内容は、特に会計事務所に勤められている受験生の方々にとっては、目の前の業務に直結するものといえるでしょう。
また、現在実務をしていない方も、将来の実務についてイメージを持っていただけると思います。
ぜひぜひご覧ください!
【著者紹介】
森 俊彦(もり としひこ)
一般社団法人 日本金融人材育成協会 会長
1979年東京大学経済学部卒業、同年日本銀行入行。シカゴ大学大学院留学(経済学マスター)、ニューヨーク事務所次長、信用機構局参事役(バーゼル銀行監督委員会・日本代表)、考査局参事役(上席考査役)、金沢支店長、金融機構局審議役などを経て、2011年金融高度化センター長。現在、金融庁参与、商工中金アドバイザー、中小機構中小企業応援士を務める。 (政府委員) 経済産業省「ローカルベンチマーク活用戦略会議」委員(2016年~)、内閣府「知財のビジネス価値評価検討タスクフォース」委員(2017年~)、環境省「ESG金融懇談会」委員(2018年~)、金融庁「融資に関する検査・監督実務についての研究会」メンバー(2018年~)、環境省「ESG金融ハイレベル・パネル」委員(2019年~)、金融庁「金融仲介の改善に向けた検討会議」メンバー(2019年~)、内閣府「価値デザイン経営ワーキンググループ」委員(2020年~)
◆本記事で紹介した本
『地域金融の未来―金融機関・経営者・認定支援機関による価値共創』
【書誌情報】
著者:森 俊彦
定価:2,090円(税込)
発行日:2020/11/09
A5判 /180頁
ISBN:978-4-502-36091-6
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