じゃお
(23歳、京都大学卒業後に受験専念)
合格時期:短答…2019年12月/論文…2020年11月
学習時間:平日8時間/休日8時間
学習スタイル:専門学校(大原簿記法律専門学校)
目次
☑なぜ理学部の学生が会計士に?
☑計算が単なる作業になっていないか?
☑自分なら理論をどう教えるだろう?
☑短答式は“ひっかけ要素”を意識する
☑論文式はベタ問とヨコ型で突破
☑メッセージ
なぜ理学部の学生が会計士に?
私は高校生のときに理系科目が相対的にできたので、その勢いで理学部に入学しました。しかし、高校の部活や大学の講義を通じて自分には研究が向いていないことに気づき、大学院には進学せず就職しようと、入学してからすぐに決断しました。
会計士を目指したのは、大学3年生のときに興味本位で受けた簿記の講義がきっかけです。簿記3級を勢いで受けたら満点で合格し、そこから簿記が自分に向いていると考え、大学3年生の6月から公認会計士試験の勉強を始めました。
また、多くの企業に関わりたいと考えていた私にとって、会計士は多種多様な企業に監査を通じて関われる点が魅力でした。このほかにも、試験科目に統計学がある点、理学部なのに会計士になったら話としても面白いかなと思った点もあります。
計算が単なる作業になっていないか?
理論科目(監査論・企業法・財務会計の理論)の講義が始まるまでは、ひたすら計算科目を完璧にするように勉強していました。
具体的には、授業で扱った範囲の問題集が宿題として出されるので、次の講義までにそれを少なくとも2回は解きました。2回目に解いたときも間違えている場合には、答えが合うまで解き直します。
計算科目を学習するときに意識していたことは、単なる作業感覚に陥らないようにすることです。特に計算科目は、問題文を読んで反射的に仕訳や下書きを書きがちです。それは問題文を理解して仕訳をしているのではなく、ただ “作業としての仕訳” をしているにすぎず、意味がありません。
私は、その仕訳や下書きをする意味が何なのかを考えながら問題を解いていました。すなわち、スピードはそのままに、理解したうえで解くことを目標に学習していました。最後だけ見れば「結局は作業じゃないか」と思うかもしれませんが、 “理解” が入るだけで、捻りのある問題にも対応できる力をつけることができます。
ここで、「理解」という抽象的な表現をしましたが、私は自分が理解できているかを知るために、「自分の言葉で具体例を交えて内容を説明できるかどうか」を判定基準としていました。自分の言葉で表現することで、自分のなかで曖昧な点を把握することができます。具体例をサッと出せるまでになれば、ほぼ完璧に理解できていると考えてよいと思います。
自分なら理論をどう教えるだろう?
短答式試験が近づくと理論科目の講義が始まります。私は授業が終わった後に要点をまとめたノートを作っていました。このノートも、ただ講師が言うことをまとめるのではなく、「自分が教えるのならどう表現するか」を意識して作っていました。
私は理論科目を勉強するうえで最も大事なことは、講師に質問することだと考えています。すなわち、授業で教わった内容を自分なりに解釈して表現をする。そして、その解釈を講師に伝えてみることで、自分の解釈の誤りやプラスαの内容まで学ぶことができました。ここから得られる力は、短答式試験だけでなく、自分で解答を作成する論文式試験においても真価を発揮すると思います。
また、理論科目を勉強するとき、 “一言一句丸暗記” という固定概念にはとらわれないようにしました。たしかに、一言一句丸暗記すべき事項(たとえば資産の定義)はありますが、理論科目の多くは、解答を作成するうえで外せないキーワードを書けているかが重要だと思います。したがって私は、各論点に対する根拠を短文で表現できるかを意識しながら勉強していました。
短答式は“ひっかけ要素を意識する
短答式試験に向けては、ひたすら肢別形式の問題集を解いて知識を定着させていました。授業が終わってから1回解き、間違えた問題には付箋をつける。試験直前になったら、付箋がついた問題を中心にもう一度解き直しました。
このとき、重要性の低い問題(C ランクの問題)はほぼ解いていません。出題される確率が低い問題を深追いするのは、相対試験である会計士試験においてはやるべきではない、と私は考えています。
また、受験テクニック的な話にはなってしまいますが、短答式試験では「自分が問題を作るとしたら、どこをひっかける要素にするか」を意識すると正解を見つけやすいように思いました。
私は、このテクニックを計算問題で多く使っていたのですが、正解以外の数値がどのように作られているのかを考えるということです。
予備校の答練は、受験生が勘違いしそうなところをうまく反映して間違いの肢が作られています。逆に言えば、間違いの肢を分析すれば、どこに注意すべきかがわかったり、なぜ間違っているかを考えたりできます。そうすることで、ただ答練を解くだけでなく、それ以上の効果を得ることができると思います。
論文式はベタ問とヨコ型で突破
論文式試験に向けては、各科目の問題集に載っている典型問題(私は「ベタ問」と呼んでいました)をひたすら覚えていました。
勉強を始めたときは、ベタ問をルーズリーフにまとめ、丸暗記するのではなく「解答に外せないポイントは何か」を意識しながら覚えました。
答練が始まると、ベタ問ノートにまとめたことでも何となくでしかわかっていないことが明確になり、はじめて知ることも出てきます。そのたびに、復習しながら重要なところをルーズリーフにまとめました。このときも、「自分の言葉で人に説明できるか」を意識していました。
答練も終わって自習が中心になってからは、もう一度答練を解き直して知識の確認をするとともに、計算科目については計算力の維持を図りました。
また、この時期から意識していたのが、各論点のヨコのつながりです。授業や基礎期の答練では、各論点がブツ切りになっているタテ型の学習が中心だと思います。
しかし、論点の垣根を超えたヨコ型の学習も意識すると、「表現は違うけど言っていることは同じだよね」と思えるような論点が多くあることに気づくと思います。たとえば、「棚卸資産の評価損」と「固定資産の減損」は、「収益性の低下」という面では同じといった感じです。
メッセージ
公認会計士試験の学習時間について調べると、色々なデータや口コミが見つかると思います。しかし、当たり前ですが、人が理解するまでにかかる時間は千差万別です。したがって、そのデータにあまり固執するのではなく、自分が理解・納得できるまでとことん学習してください。時間ベースではなく覚えた内容ベースで学習してほしいと思います。
そして、悩んだり、つまずいたりしたときは、積極的に講師のところへ。これまで多くの受験生を見てきた講師の方の経験や知識は目を見張るものがあります。心が折れそうになったときは頼りましょう。
短答式試験までに脱落してしまう方も決して少なくない、この公認会計士試験に挑むと決めたかぎり最後までやり抜いてください。応援しています。