12月18日に令和2年(第70回)税理士試験結果が公表されました。
消費税法は、受験者数6,261人、合格者数782人で、合格率は12.5%(昨年は11,9%)と、多少上がりはしたものの例年並みの合格率となりました。
なかなか合格率が跳ね上がらない消費税法ですが、令和3年(第71回)の試験に再チャレンジされる方も多いと思われます。
そこで、会計人コースWebでおなじみの加藤久也先生(税理士)に、来年の試験に向けた勉強のヒントをお伺いいたしました。
令和2年(第70回)の難易度
――今年の消費税法を振り返ってみると、どのような試験でしたか?
第一問、第二問とも難易度の高い内容が含まれていたものの、全体的には解答しやすい問題でした。
したがって、試験結果には、受験生の実力がそのまま反映されたのではないかとみています。
合格率やボーダー
――今年の消費税法の合格率やボーダーラインをどう見ていますか?
合格率は、消費税法の最近10年間の平均12.3%とほぼ同じ12.5%でした。
本試験終了後に大手予備校が発表したボーダーラインも、ほぼ予想どおりだったものと思われます。
問題の難易度がそれほど高くなかったので、合格点の前後に多くの受験生が集中し、わずかの点差で涙をのんだ受験生が多かったのではないでしょうか。
令和3年(第71回)に向けて、どのように勉強すべき?
――では、令和3年(第71回)の試験に挑む受験生は、どのように勉強していけばよいでしょうか?
今年の計算問題では問われなかった、「軽減税率対象資産の譲渡等に該当する売上げのある事業者」に関する出題が予想されるため、詳細な取扱いを確認しておく必要があります。
また、その年度の税制改正項目に関して出題される傾向があるため、「居住用賃貸建物」に関しても必ず問われるものと思われます。
ただし、大切なのは、基本的な知識を確実に身につけることです。
消費税法は平成元年(1989)に施行されてから多くの改正を経て複雑化していますが、基本的な構造は変わっていません。
そのような基本項目は、繰り返し訓練することで確実に解答できるようにしておきましょう。
また、理論暗記の正確性と計算問題の解答能力をアップさせながら、条文の意味や内容について理解を深める復習をするのもよいです。
受験生へのメッセージ
――最後に受験生へのメッセージをお願いします。
わずかの点差で涙をのんだ受験生の方へ。
今の悔しさを忘れずに挑戦を続けましょう。
あと数点をどう取るかが課題ですが、今年その数点が取れなかった原因について真摯に振り返ってみてください。
不合格の原因は、必ず自身の中にあります。
この時期にいかに気持ちを切り替えて新たなスタートを切るかが、来年の合否を左右します。
あなたからの合格の報告を楽しみに待っています。
――お忙しい中、どうもありがとうございました。
<お話を聞いた人>
加藤 久也(かとう・ひさや)
1991年富山大学理学部卒。1991年~1995年株式会社日立製作所に勤務。1998年税理士試験合格。2000年税理士登録。2002年愛知県春日井市に加藤久也税理士事務所開業。税理士業の他、1998年~2019年名古屋大原学園、2016年~名城大学、2019年~愛知淑徳大学にて非常勤講師を務めている。2017年~東海税理士会税務研究所研究員、2019年~日本税法学会所属。著書に『ワークフロー式消費税[軽減税率]申告書作成の実務』(共著、日本法令)がある。