早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師・公認会計士 加藤大吾
本連載では、税理士試験の簿記論・財務諸表論において、執筆者の指導経験上、誤答が多かった論点を取り上げます。【問い】に対する【解説】のなかに誤りを含む部分があるので、「ここが間違いじゃないかな?」と指摘してください。電卓をたたかなくても、スキマ時間に間違いさがしは可能です。この連載を解くことで、簿記の勉強はもちろん、実務において取引記録を見ながら誤りを発見するという職業体験もすることができます。ぜひチャレンジしてみてください。
本連載は、会計人コース2020年3月号別冊付録「読んで考えて総復習 間違いだらけの計算問題」を再編集したものです。
難易度 | ★★☆☆☆ |
問題7 商品売買②
【問】 次の〔資料Ⅰ〕および〔資料Ⅱ〕に基づき,本支店合併損益計算書の売上総利益はいくらか,求めなさい。
〔資料Ⅰ〕 決算整理前残高試算表
〔資料Ⅱ〕 決算整理事項
1.支店は,本店より仕入れた商品1,200円が未達となっている。なお,前期末に未達取引はない。
2.本店は,支店に対して原価の20%増の振替価格をもって,商品を送付している。
3.期末商品棚卸高(未達商品を含まない)
本 店 5,000円 支 店 7,800円(うち本店より仕入分5,400円)
【間違いを含む解説】
1.売上原価
(1) 内部利益控除
5,400円(期末商品に含まれる本店仕入分)×20%=1,080円
(2) 期首商品棚卸高
9,000円(整理前T/Bの本店の繰越商品)+8,000円(整理前T/Bの支店の繰越商品)-800円(整理前T/Bの本店の繰延内部利益)=16,200円
(3) 期末商品棚卸高
5,000円(本店)+7,800円(支店)+1,200円(未達商品)-1,080円(繰延内部利益控除)=12,920円
(4) 売上原価
16,200円(期首)+45,000円(本店の仕入)+35,000円(支店の仕入)-12,920円(期末)=83,280円
2.P/L売上総利益(解答の金額)
95,000円(本店の売上)+70,000円(支店の売上)-83,280円(売上原価)=81,720円
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