4.入るを量りて出ずるを制す
当面の資金繰りを確認するには、簡易キャッシュ・フロー(経常利益+減価償却費-借入返済額)が経営者にはわかりやすい。
多くの企業は「勘定合って銭足らず」になっている。
損益も大事だが、経営者にとっては「キャッシュ・フロー」概念が重要だ。
今後、売上減少を厳しく見積もり、損益の変化を予測した上で、無策での簡易CFを計算しマイナスになった場合、その時期と金額を経営者は直視し、厳しい現状と向き合う必要がある。
そしてそれを回避するために「キャッシュ・インを増やしキャッシュ・アウトを抑える」具体的な対策を立案し即座に行動する必要があるが、その意思決定の支援をするために会計が担う役割は大きい。
5.成果を上げる4つのステップ
私は常日頃から経営者に成果を上げる4つのステップ「学ぶ、気づく、動く、続ける」を伝えている。
経営者は、日頃から巡回監査を通じて会計について学び、月次試算表により現状を知り、予算との対比によりそのギャップに気づき、改善に向けて具体的に動くことで数値を好転させる。
この喜びを知った経営者は、自ずと4つのステップによりPDCAサイクルを回し続け業績を向上させている。
このタイプの会社は、自計化により今回の影響を数値で素早く捉え、今後を予測し、資金繰りの安定に向けて具体的な対策を既に講じている。
職業会計人が、会計を武器にこの難局を乗り切るために、ビジネスドクターとして1社でも多くの企業を支援し存続につながることを願ってやまない。
<著者紹介>
増山 英和(ますやま ひでかず)
税理士・行政書士・CFP
1962年茨城県常陸太田市生まれ。中央大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。現在、増山会計事務所・所長、株式会社相続・事業承継支援センター代表取締役、NPO法人相続支援協会理事長、茨城県中小企業家同友会代表理事、TKC全国会・中小企業支援委員会委員長等を務める。
<主要著書>
『図解 中小企業の新会計ルール』共著、中経出版、2012年
『中小企業金融における会計の役割』共著、中央経済社、2017年
『中小企業の事業承継戦略(第3版)』共著、TKC出版、2017年
他多数
*増山会計事務所のホームページはこちら! ぜひご覧ください。