つぶ問10-3(簿記論)―連結、のれん


 

【解答】

1.誤り
2.正しい
3.誤り


【解説】(金額の単位:千円)

 連結会社間取引の修正仕訳に関する出題です。連結会社間での取引高や、取引に伴って生じる債権債務の期末残高は、いずれも相殺消去することが必要になります。また、企業集団外部との取引であっても、連結の観点から財務諸表項目名を修正することが必要なケースもあります。

1.貸倒引当金の修正に関する仕訳部分が誤っています。P1社の売掛金残高は前期末時点で2,000あったわけですから、この部分への繰り入れ(2,000×3%=60)はすでに前期末に完了しているはずです。したがって、連結修正仕訳についても、前期繰り入れ分の消去には「利益剰余金当期首残高」を用いる必要があります。差額補充法による繰り入れがどのように行われているかをイメージできるかがポイントです。

 正しくは、次のような修正仕訳が必要となります。

2.連結会社間で振り出された約束手形の修正仕訳です。受け取った側の連結会社(本問ではP2社)が、その手形をどのように処理したかによって、修正仕訳における取扱いが異なります。

① 手許に保有していた場合
 内部取引によって生じた債権債務ですので、振り出した連結会社が計上している支払手形と相殺消去します。受取手形の減少に伴う貸倒引当金の減額修正が必要な点に要注意です。

② 企業集団外部に裏書譲渡していた場合
 企業集団の視点から見れば、「外部に支払手形として振り出している」という状況のため、特に修正は必要ありません(少し細かいですが、P2社における手形の裏書譲渡高(注記事項)の金額は、減額する必要があります)。

③ 企業集団外部に割引に付していた場合
 企業集団の視点から見れば、「手形借入れを行った」という状況のため、支払手形から借入金へと振り替える必要があります。手形の決済期間は比較的短いため、短期借入金に振り替えるのが一般的です。これに伴い、手形売却損についても支払利息へと振り替える必要がありますが、両者はともに営業外費用の1項目のため、P/L上「営業外費用」のようにまとめられている場合には、特に修正は要しません(裏書譲渡の時と同様、注記事項における手形の割引高の金額を減額する必要があります)。

3.連結会社間における資金貸借の相殺消去については、貸付金および借入金の相殺と受取利息および支払利息の相殺に加え、経過勘定項目の相殺が必要になります。本問では、60,000×5%×7ヵ月÷12ヵ月(9/1~翌3/31まで)=1,750を見越しています。

 他方、「当連結会計年度は、X2年4月1日から開始する1年間」とあるように、貸付を行った次の会計期間となっているため、受取利息および支払利息については1年分を消去する必要があります。

 正しくは、次のような修正仕訳が必要となります。

つぶ問は、2018年9月号~2019年8月号までの連載「独学合格プロジェクト 簿記論・財務諸表論」(中村英敏・中央大学准教授/小阪敬志・日本大学准教授)に連動した問題です。つぶ問の出題に関係するバックナンバーはこちらから購入することができます。


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