その3:論文式もみすえた勉強をする
―5月の短答式に合格して、8月の論文式にも合格することは可能ですか?
正直なところ、かなり茨の道ではあるとは思いますが、不可能ではありません。
私の専門の財務会計でいうと、最近の論文式の出題傾向は短答式の出題傾向の延長線上にあります。
そのため、短答式の勉強がそのまま論文式の勉強につながるので、短答式の勉強をしっかり行えればそれが論文式の対策にもなります。
―論文式の試験科目である租税法や、選択科目は勉強すべきですか?
12月の試験結果で、ある程度の感触をつかめた受験生は、必ず短答式・論文式の両にらみで勉強をしたほうがよいと思います。
重複している科目はもちろんのこと、租税法や選択科目である論文式の科目について、当然、会計士試験の合格を見据えているのであれば、積極的に取り組むべきだと思います。
―理由があるのですよね?
合格するチャンスは増やしたほうがよいと考えているからです。
たとえば、もし今年の5月に短答式に合格して、まったく論文式試験の準備をしていないと、8月の論文式試験が記念受験で終わってしまうと、短答式が免除されるのは2021年と2022年の2回。
2021年に万が一落ちてしまうと、2022年が短答式試験免除のラストイヤーになってしまいます。そのプレッシャーは計り知れません。
ですので、4月上旬までは論文式もみすえた勉強を行い、4月中旬から5月は短答式の直前対策と追い込みをするのがよいと思っています。
『会計人コース』2020年3月号別冊付録
―最後に、オススメの教材などがあれば教えてください。
手前味噌で恐縮なのですが、『会計人コース』2020年3月号の別冊付録 『読んで考えて総復習 間違いだらけの計算問題』 を執筆しました(編集部注:2020年2月3日発売予定)。
コンセプトは「間違いを指摘する(=校正する)簿記の問題集!」というもので、電卓をたたかなくても、読み進めながら計算の実力アップにつなげられます。
公認会計士試験の受験生にとっては、特に誤答が多かった問題を多く取りあげていますので、短答式で出される引っかけの選択肢を見抜く練習にもなりますし、将来会計士になって監査に携わるときにも活きるような教材に仕上げました。
―公認会計士試験受験生の皆さん、5月の短答式合格へ、そして8月の論文式合格へ向けて頑張ってください!
【お話を聞いた方のPROFILE】
加藤大吾(かとう・だいご)
早稲田大学大学院会計研究科専任講師・公認会計士
2003年早稲田大学政治経済学部経済学科卒。2005年公認会計士登録。東京CPA会計学院にて公認会計士講座(簿記)・日商簿記検定講座の講師業務の傍ら、監査法人にて監査業務にも従事。2015年より早稲田大学大学院会計研究科専任講師。
著書に『税理士試験 簿記論・財務諸表論 総合問題なるほど解法ナビ』(中央経済社)がある。現在、『会計人コース』で連載「同時合格を目指す 簿・財 Brush Up 総合問題」を担当。