【解答】
1
①退職給付費用:24,000千円
②退職給付引当金:64,000千円
2
①退職給付費用:24,000千円
②退職給付に係る調整額:9,000千円
③退職給付に係る負債:65,000千円
④退職給付に係る調整累計額:△1,000千円
【解説】
1.2で連結財務諸表における計算の確認をするために、1は電卓なしでも解ける平易な問題としました。
①退職給付費用
勤務費用20,000千円+利息費用100,000千円×1%-期待運用収益50,000千円×2%+数理計算上の差異の費用処理額合計4,000千円=24,000千円
②退職給付引当金
期首の退職給付債務100,000千円-期首の年金資産50,000千円-当期首の未認識数理計算上の差異10,000千円+退職給付費用24,000千円=64,000千円
*期首の退職給付債務-年金資産に、当期首の未認識数理計算上の差異を調整すると、期首の退職給付引当金になります。これに、退職給付費用を足すと、当期末の退職給付引当金になります。
2.連結貸借対照表では、期末の退職給付債務(実績)と年金資産(実績)の差額を「退職給付に係る負債」(年金資産の方が大きい場合は「退職給付に係る資産」)として計上します。そして、個別貸借対照表との差異は「退職給付に係る調整累計額」(その他の包括利益累計額の項目)として処理します。
①退職給付費用
個別財務諸表の金額をそのまま引き継ぎます。
②退職給付に係る調整額
A当期に発生した数理計算上の差異のうち費用処理していない金額(当期に発生したその他の包括利益)、B過年度に発生した数理計算上の差異のうち当期に費用処理した金額(過年度にその他の包括利益として発生、当期に損益計算書で費用→組換調整)の合計となります。
A:4,000千円(有利差異のため包括利益の増)
B:5,000千円(発生時に包括利益の減で処理済み→当期にさらに退職給付費用として処理→過年度の包括利益の減を当期に戻す)
合計:9,000千円(包括利益の増)
③退職給付に係る負債
期首退職給付債務100,000千円-年金資産50,000千円+勤務費用20,000千円 +利息費用1,000千円-期待運用収益1,000千円 -当期の数理計算上の差異発生額5,000千円 =65,000千円
*期首退職給付債務と年金資産に、勤務費用、利息費用及び期待運用収益を調整すると、期末の予測上の退職給付引当金になります。これに、当期に発生した数理計算上の差異を調整することで、実績額(退職給付に係る負債)を計算できます。
or
退職給付引当金64,000千円+当期首の未認識数理計算上の差異10,000千円-退職給付に係る調整額9,000千円=65,000千円
*当期末における退職給付引当金に、過年度に連結修正仕訳で計上した当期首の未認識数理計算上の差異を調整し、さらに当期の連結上の調整である退職給付に係る調整額を加えると、当期末の連結上の退職給付に係る負債となります。
④退職給付に係る調整累計額
認識数理計算上の差異のうち過年度発生で当期未認識△5,000千円+当期発生で当期未認識4,000千円=△1,000千円
つぶ問は、2018年9月号~2019年8月号までの連載「独学合格プロジェクト 簿記論・財務諸表論」(中村英敏・中央大学准教授/小阪敬志・日本大学准教授)に連動した問題です。つぶ問の出題に関係するバックナンバーはこちらから購入することができます。