【税理士合格体験記】三代目として税理士を目指す。仕事・介護に追われながらも工夫して勉強時間を確保し、酒税法合格!


秋葉 智(30代・税理士事務所勤務)

【受験情報】
合格科目と合格年、受験回数:簿記論(2022年合格、2回目)、酒税法(2025年合格、2回目)、他の科目
学習スタイル:大原通学講座(通信併用)
▶サムネイルはプロフィール写真

税理士を目指したきっかけ

私が税理士を目指した原点には、父の存在があります。

父は、税理士としての功績により黄綬褒章を賜りました。
天皇陛下より褒章をいただく父の姿を見たとき、幼い頃から見てきた父の仕事の重みと、その積み重ねの大きさを改めて実感しました。
そして、父が祖父の代から繋いできた税理士事務所を、自分も受け継ぎたいと思うようになりました。

事務所は、千葉県松戸市で祖父の代から65年続いており、私は地域の方々に温かく見守られながら育ちました。
長くお付き合いのあるお客様も多く、地域とのつながりの中で事務所が成り立っていることを、幼い頃から自然と感じていました。

だからこそ、税理士を目指した理由は、単に資格を取得したいという思いだけではありません。
これまで支えてくださった方々へ少しでも恩返しがしたい、父や祖父が築いてきた信頼を次の世代へ繋いでいきたい。その思いが、私の原点にあります。

父とは、日常の中で簿記や税金の話をよくしていました。
学生時代は部活動に打ち込む毎日でしたが、その一方で放課後には大原へ通い、簿記を学んでいました。学習を進める中で、数字がつながる感覚や制度の背景を理解する面白さに強く惹かれたことを覚えています。

父が税理士として歩んできた姿勢や生き方そのものに強く心を動かされ、「自分もこの仕事で生きていきたい」と思うようになりました。偉業を成し遂げた父の背中を追いかけながら、父や祖父が築いてきた信頼をこれからも繋いでいきたい。その思いが、受験生活を支える原動力になっていました。

仕事・介護と並行した受験生活

私が税理士試験に本格的に向き合っていた期間は、一般的な受験生活とは大きく異なっていました。
長期間にわたり母の入院や危篤状態が続き、受験期間中には足の切断手術もあり、その後は介護が必要な生活となりました。

仕事・介護・試験勉強を同時に並行する日々の中で、まとまった学習時間を確保することは難しく、まずは生活全体の優先順位を見直すところから始めました。

家族のケアが最優先であり、自分の時間はほとんどありませんでした。
友人と会うことも控え、衣食を固定化し、趣味や娯楽は手放しました。当たり前に過ごしていた時間を一つずつ削ぎ落とし、「やらない」と決めることで、少しずつ学習時間を捻出しました。

精神的にも体力的にも余裕はなく、常に張り詰めた状態でしたが、今できることを積み重ねるしかないと考えていました。

学習時間の確保と向き合い方

学習は生活の隙間に組み込むしかありませんでした。

移動中、仕事の合間、病院での待ち時間など、使える時間はすべて勉強に充てました。
家の壁には理論の暗記資料を貼り、歩きながら条文を思い出し、なぜその処理になるのかを考える習慣をつけました。
勉強のことを考えていない時間は、ほとんどなかったと思います。

時間を工夫することは、家族を大切に思う気持ちとの葛藤でもありました。
できる限りそばにいたいという思いと、合格を目指す以上、学習を止めてはいけないという現実の間で揺れていました。
面会の合間に参考書を開くこともありましたが、家族は何も言わず受け入れてくれました。
その姿に何度も救われました。

モチベーションに頼ることはしませんでした。
やる気がある日もない日も、淡々と手を動かすことを優先しました。毎日の学習をルーティン化し、気持ちに左右されない仕組みを作ることを意識しました。
泣きながら勉強した日もあります。
それでも、「続ける」と決めた以上、目の前の一問に向き合い続けました。

愛犬ポコニャンとの勉強風景
試験会場での写真

合格して感じたこと、これから目指す方へ

正直に言えば、「税理士を目指しているだけの時間」はつらいものでした。
結果が出ない中で、肩書きのない自分でいることが苦しく感じることもありました。
それでも、今は踏ん張るしかないと自分に言い聞かせ、学習を積み重ねました。

試験を終え、合格という結果にたどり着いたとき、これまでの時間が無駄ではなかったと、初めて思うことができました。
家族に合格を伝え、その瞬間を一緒に迎えられたことは、何よりも大きな出来事でした。
ただその事実だけで、これまでの葛藤や苦労が報われたように感じました。

税理士試験の良いところは、さまざまな立場のまま挑戦できるところだと思います。
働きながらでも、育児や介護をしながらでも、時間をかけて目指すことができます。

道のりは決して楽ではありません。

それでも、自分の人生に一つの大きな山を作る経験は、その後の人生を支える力になります。
頑張りすぎなくて構いません。
ただ、続けることだけは諦めないでほしいと思います。

合格はゴールではなく、「ここから税理士として生きる」という覚悟の始まりだと感じました。

最後に、支えてくれた家族、応援してくれた友人、そして指導してくださった先生方に心から感謝申し上げます。
皆さんの存在に本当に救われました。本当にありがとうございました。

会えずとも支えになった友人らから応援の贈り物

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