連結会計の仕訳に強くなる超基礎トレーニング 【第18回(完)】成果連結:応用論点(連結会社振出の手形の割引・裏書)


関口高弘
(公認会計士)

【編集部より】
会計人コースWebの読者アンケートによると、「連結会計」をマスターしたいという声がちらほら。日商簿記2級でも定番論点の一つとなり、会計士・税理士試験など会計系資格の合格を目指す人にとって避けて通ることのできない論点です。
そこで、本連載では、『連結会計の計算に強くなる3ステップ式問題集』の著者である関口高弘先生(公認会計士)に、「連結会計」の仕訳問題を週1回のペースで出題していただきます(毎週金曜日掲載予定)。
本連載で出題する問題は、連結会計に関する日商簿記2級レベルのインプット学習が一通りできた人を対象に、日商簿記1級や税理士試験・公認会計士試験にステップアップを目指す人にとって「土台」となる内容を想定しています。なお、毎回のテーマによって出題数は変動します。
もし本連載でつまずいた問題があれば、もう一度テキストでしっかり復習しましょう!

「本連載のねらい」はコチラをご覧ください。

さらに問題を解きたい方は、『連結会計の計算に強くなる3ステップ式問題集』をチェック!

今回のポイントー成果連結:応用論点(連結会社振出の手形の割引・裏書)

今回のテーマについて、以下のポイントを確認して仕訳問題を解いてください。

Point1.連結会社が振り出した手形を他の連結会社が銀行で割り引いた場合

連結会社が振り出した手形を他の連結会社が銀行で割り引いた場合、連結会計上、企業集団が銀行から手形借入れを行ったものと考えられる。したがって、手形の満期日が到来していない場合には「短期借入金」に振り替える必要がある。

また、手形売却損は支払利息に振り替え、手形の割引時から満期日までの期間にわたり期間按分する必要がある。

【計算例】
親会社が買掛金の決済として子会社に振り出した約束手形¥500を、子会社は銀行で割り引いた。なお、手形の割引について、割引料¥60が差し引かれているが、このうち次期に係る割引料は¥10である。期末現在、当該手形の満期日は到来していない。

〔親会社の個別財務諸表〕

(借)買掛金500 (貸)支払手形500 

〔子会社の個別財務諸表〕

(借)受取手形500 (貸)売掛金500 
(借)現金預金440 (貸)受取手形500 
 手形売却損60     

〔連結修正仕訳〕

(借)支払手形500 (貸)短期借入金500 
(借)支払利息50 (貸)手形売却損60 
 前払費用10     

※ 連結上は、企業集団が約束手形を担保に資金の借り入れを行ったという取引になる。

Point2.連結会社が振り出した手形を他の連結会社が仕入先等へ裏書した場合

連結会社が振り出した手形を他の連結会社が仕入先等へ裏書した場合、連結会計上、単一の組織体とみなされる企業集団が仕入先等へ手形を振り出したものと考えられる。

【計算例】
親会社が買掛金の決済として子会社に振り出した約束手形¥500を、子会社は仕入先に裏書譲渡した。なお、期末現在、当該手形の満期日は到来していない。

〔親会社の個別財務諸表〕

(借)買掛金500 (貸)支払手形500 

〔子会社の個別財務諸表〕

(借)受取手形500 (貸)売掛金500 
(借)仕入500 (貸)受取手形500 

〔連結修正仕訳〕

(借)仕訳なし  (貸)   

※ 連結上は、企業集団が約束手形を振り出して商品を仕入れたという取引になる。

問題(全1問)

下記の各取引について仕訳しなさい。なお、勘定科目は、設問ごとに最も適当と思われるものを選ぶこと。

大阪商事株式会社は、東京商事株式会社に対する掛代金を決済するため、×4年度中に約束手形¥8,000を振り出した。東京商事株式会社は大阪商事株式会社から受け取った約束手形¥8,000のうち、¥2,000を連結外部に裏書譲渡し、¥1,500を銀行で割り引いており、残りは期末現在手許に保有している。なお、手形の割引について、割引料¥150が差し引かれているが、このうち次期に係る割引料は¥30である。×4年度末現在、これらの手形はすべて未決済である。東京商事株式会社は、×3年度末に大阪商事株式会社の発行済株式数の80%を取得して支配を獲得している。×4年度末の連結財務諸表作成上、必要な仕訳を答えなさい。

 〔勘定科目〕

受取手形支払手形短期借入金手形売却損
支払利息前払費用非支配株主持分未払費用

解答

(1)裏書手形

(借)仕訳なし  (貸)   

(2)割引手形

(借)支払手形1,500 (貸)短期借入金1,500 
(借)支払利息120 (貸)手形売却損150 
 前払費用30     

(3)手許保有分

(借)支払手形4,500 (貸)受取手形4,500 

当期末未決済高8,000-(裏書分2,000+割引分1,500)=4,500

今回のトレーニングは以上です!
全18回にわたる本連載も最終回となりました。ぜひバックナンバーを活用して、総復習しましょう!

【執筆者紹介】
関口 高弘(せきぐち・たかひろ)
1976年5月神奈川県生まれ。1998年10月公認会計士試験合格。1999年3月中央大学商学部会計学科卒業、2001年3月中央大学大学院商学研究科博士前期課程修了。公認会計士試験合格後、大手監査法人で上場企業を中心とした会計監査に従事。2002年4月公認会計士登録。日商簿記検定試験(商業簿記・会計学)、税理士試験(簿記論・財務諸表論)、公認会計士試験(財務会計論)の受験指導歴17年。現在は、中央大学経理研究所専任講師、中央大学商学部客員講師、朝日大学経営学部非常勤講師、高崎商科大学商学部特命講師他を務める。

<連載バックナンバー>
【第2回】資本連結:支配獲得日の会計処理①
【第3回】資本連結:支配獲得日の会計処理②
【第4回】資本連結:支配獲得後の会計処理①
【第5回】資本連結:支配獲得後の会計処理②
【第6回】成果連結:債権債務の相殺消去(資金取引)、期末貸倒引当金の調整
【第7回】成果連結:債権債務の相殺消去(ダウン・ストリーム)、期末貸倒引当金の調整
【第8回】 成果連結:期末未実現損益の消去(ダウン・ストリーム)
【第9回】成果連結:債権債務の相殺消去(アップ・ストリーム)、期末貸倒引当金の調整
【第10回】 成果連結:期末未実現損益の消去(アップ・ストリーム)
【第11回】 資本連結:開始仕訳①
【第12回】 資本連結:開始仕訳②株主資本等変動計算書の勘定科目
【第13回】成果連結:前期末貸倒引当金の調整(ダウン・ストリーム)
【第14回】成果連結:前期末未実現損益の消去・実現(ダウン・ストリーム)
【第15回】成果連結:前期末貸倒引当金の調整(アップ・ストリーム)

<もっと問題が解きたい人へオススメ問題集>

会計士・税理士・簿記検定 連結会計の計算に強くなる3ステップ式問題集
(関口高弘 著・中央経済社)
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