【税理士試験】繫忙期の今こそ実践! 財表理論の「解答力」をアップさせる土台作り


資格の学校TAC講師 加茂川 悠介

受験生の皆さん、こんにちは。資格の学校TACで財務諸表論の講師をしている加茂川です。

私は受講生に、年内は「計算力を身につける」ことに主眼を置き、理論については「一通り確認する」ように指導してきました。

しかし、年明けの1月からは、やや本試験の理論問題を意識した学習が大切です。具体的には、「問いと答え」を意識してください。

受験経験者の中にはよくおわかりの方もいらっしゃると思いますが、理論は計算と違い、自分では「できた」と思っても「△」や、ときには「×」になることがあります。

たとえば、「資産除去債務の負債性」を問われたとします。このとき、ただ「資産除去債務」の定義だけを説明したらどうなるでしょう。

もちろん、それが内容として合っていれば部分点はもらえるだろうと思います。ただ、問いは「資産除去債務はなぜ、負債たり得るのか」です。「将来お金が出ていく」ので、「負債概念に合致する」という点を中心に解答すべきといえます。

つまり、ただテキストの丸暗記に終始するのではなく、「何が聞かれていて」「何を答えるべきなのか」を意識しながら、理論の学習を進めてほしいのです。

そこで今回は、繁忙期の今こそ実践してほしい、理論の「解答力」を上げる土台作りを紹介します。

まんべんなく理解し、覚える

これは一見、当たり前のように感じられるかもしれませんが、とても重要なことです。

次の本試験で何が出題されるかは誰にもわかりません。このことはみんなに平等です。ですから、理論を穴のないように理解することを心掛け、暗記していきましょう。

まだまだ本試験までには時間があります。ヤマを張るには早すぎますし、もったいない気がします。

「何が出題されても、少なくともみんなと同じぐらい答えられる」ように日頃から準備しておくことが、合格への近道。焦らず、着実に一歩一歩進んでください。

学習教材としては、たとえばTACであれば「理論テキスト」がありますので、それを中心に暗記を進めていくとよいでしょう。

会計事務所等にお勤めの方は、繁忙期で忙しく、「講師が強調したところから覚える」とか、「基本論点に時間を多く割く」というように、強弱をつけて勉強することが必要かもしれません。ただ、それでも「まったく見ないところがない」ように心掛けてほしいと思います。

先ほどお話しした「何が聞かれていて」「何を答えるべきなのか」の前提は、しっかり頭の中に「答えるべき理論」が入っていることですから、まんべんなく理論を理解し、少しずつ覚えていきましょう。

アウトプットし、他者に評価してもらう

人はみんな、自分自身には甘いように思います。私自身のことを考えてみてもそう思います。

財務諸表論の理論では、いくら自分では「わかっている」とか「書けている」と思ったとしても、本試験のように緊張した状況で、かつ限られた時間内に文章を書くというのは思った以上に難しく、ときに採点者に書いた内容が伝わらないことすらあります。

私もTACでいつも受講生の答案を採点していますが、「書いている内容がよくわからない」とか「書いている文章の中で矛盾がある」ということも少なくありません。

そのときには答案にコメントを付したり、講義後に直接声をかけたりして、なぜこのような採点になったのかを納得してもらっています。

この「他者に評価をしてもらう」ことがとても大切で、合格には不可欠です。

たとえば、この時期になると社会人の方は忙しく、TACでの120分の演習を休み、問題・解答だけ手に入れる方もいます。仕事との兼ね合いもあるので仕方のないことですが、できれば実際に演習を受け、120分で解答をして「他者の評価」を受けてもらいたいと思います。

理論は特に、答えを見るとわかったような気持ちになることが多いものです。私の限られた経験ではありますが、毎回120分の演習に参加し、解答を提出している方の多くは、本試験でも見事に合格しています。

それは日頃から「他者の評価」を参考にしながら理論の勉強を進めてきたからではないでしょうか。

計算のトレーニングも忘れない

理論の学習に力を入れていくとはいえ、計算の学習も疎かにはできません。

例年、半分(50点)は計算問題なのですから、ここで大きく失敗してしまうと合格が難しくなります。さらに簿記論と一緒に、もしくは簿記論合格者が財務諸表論を受験することが多いため、ある程度の計算力がついている方々が受験する「ハイレベルの競争」となります。

具体的には、ここ数年の計算は、7割~8割以上の得点が必要と考えられます。十分に準備、練習をしておきましょう。

ただし、財務諸表論の計算は主に総合問題であり、B/SやP/Lなどの作成がほとんどです。総合問題の反復練習によって、自ずと合格ラインまで実力をもっていくことができるでしょう。

よく「計算はどれくらい勉強すればよいですか」と聞かれますが、それは人によります。練習の段階なので、だいたい80分で総合問題を解き、少なくとも8割以上は得点できるように日頃から準備していくことが必要です。

簿記論合格者や日商簿記1級合格者であれば、それほど計算の勉強時間を必要としないかもしれませんが、はじめて税理士試験を受験する場合は、何度も何度も解き直す必要があります。予備校などに通っていない方は、市販の問題集を何度も解くのがよいと思います。

いつも私が講義でお話しするのは、演習を受けたらしっかりと見直しを行い、「なぜ、間違えたのか」を自己分析してほしいということです。この過程で、可能であればテキストを開き、「ここに書いてあるのに間違えてしまったな」と振り返ることも効果的です。

受験生の方へ

以上が、繁忙期の今だからこそ忘れないでほしい勉強法です。

勉強の中で困ったときは、予備校などに通っている方は担当講師やご友人に、独学の方は身近な受験経験者の方に、相談するのがよいかもしれません。

寒い日が続きます。体調に気をつけながら、頑張ってください!!

【執筆者紹介】

加茂川 悠介(かもがわ・ゆうすけ)

税理士、CFP®。中央大学法学部、早稲田大学大学院法学研究科修了後、大手専門学校で教鞭をとる。その後、立命館大学大学院法学研究科で税法を学び、会計事務所勤務を経て、財務捜査官採用試験に合格。宮城県警退職後、資格の学校TAC税理士講座で講義を行う。現在、TACほか芦屋大学や近畿大学等でも講義を行い、日々、わかりやすい講義に向けて自己研鑽している。


関連記事

ページ上部へ戻る