誰かに話したくなる税金喫茶~「ごめんなさい」で許される?


 最近テレビや雑誌で、芸能人の謝罪をよく見ます。薬物だったり不倫だったり、はたまた黒い交際であったり。私自身はそもそも世間全体に謝る必要なんかある? と思ってしまったりもしますが、謝罪をして少したったら復帰というのが定型の流れになっているのかもしれませんね。

謝り方にも上手下手ありますよね

 その流れを見るたびに毎度気になるのは、謝罪文や謝罪会見をみることで今度はそれに対して憤る人たちの存在。謝っているのに引き続き怒っています。謝り方のうまい下手はあるにせよ、「謝っているんだからもう良いのではなかろうか。」などと思ってしまいます。もちろん当事者にとっては謝罪があったからすべてがチャラになるわけではないのでしょうが、しょせん我々は部外者。謝罪をもっていったんは矛を収めるくらいの度量を持っておきたいものです。などといいつつ、謝ればそれで良いのか? と考えさせられる事件が税の世界でもありました。

 ある会社で、業務上使用することができなくなった紙などを古紙に戻す作業を下請業者に依頼していた担当者が、その紙などを違う業者に私的に横流しして私腹を肥やしていた事例がありました。この担当者は10年ほどで2億円以上を自分のポケットに入れていたのですが、あるときこれが発覚します。当然会社は裁判でその返還を求め、返還することで会社と担当者との間の問題は解決します。そして次は税金の問題です。

返したらOKというわけでもない

 担当者は、自分の行為は不法であり法律上無効。さらに、弁償すれば会社の損失もなくなるので自分には税金がかかるような利益はない、といった旨の主張をしました。

 しかし、国税不服審判所は「いったんはお金を手にして好きなように使ったよね?」「返すという判決は出たけど無効にするとは言ってない」という2点から担当者の主張を却下し、しっかりと課税はされることとなりました。どうやら税金の世界では「謝ったら全部許される」という訳ではなさそうです。まあそれが許されるなら「脱税しちゃったけど悔い改めたから罰金なしね」ということにもなってしまいますし、こちらは確かに厳しくなければいけないわけですね。

 やはり法に反することをしたのであればそのことについての責任はしっかり取ってもらう。しかし、外野は過剰に叩きすぎたりせずにその後の復帰をしやすくしてあげる、というのが最善なのかもしれません。私のような小心者は「あんなに叩かれちゃうなら悪いことするのはやめよう…」などとも思いますので、それはそれで抑止力になっているのかもしれませんけど。

本稿は、『会計人コース』2020年4月号に掲載したコラムです。

髙橋 創(税理士)
税理士受験講座の所得税法講師、会計事務所勤務を経て、新宿で独立開業。新宿ゴールデン街のバー『無銘喫茶』(http://mumei.co.jp/)のオーナーでもある。『図解いちばん親切な税金の本19-20年版』『フリーランスの節税と申告 経費キャラ図鑑』が好評発売中。YouTubeで『二丁目税理士チャンネル』を運営中。

イラスト・レイアウト:ヨシムラヒロム


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