【税理士試験】でる? でない? 税制改正重要度チェック-消費税法


この記事は『会計人コース』2020年3月号特集「試験への影響は? 今年の改正ポイントはココだ!」の要点を編集部で再編集してまとめたものです。フルバージョンはこちらからお求めください!

試験への影響は? 今年の改正ポイントはココだ!

2019年12月に「令和2年度税制改正大綱」が公表されました。
税制改正大綱の内容は3月の税制改正に反映され、今年の税理士試験にも影響する可能性があります。
本稿で試験に対する重要度をチェックしていきましょう!

令和2年度税制改正大綱の内容

資格の大原  古谷靖治

消費税法については、令和元年10月1日から税率の引上げとともに軽減税率制度が導入されている。今年度の税制改正大綱においても改正が予定されており、受験を勝ち抜くためには改正項目対策は必須である。

そこで、今年度の税制改正大綱を含む最近1年の主な税制改正の内容を紹介するので参照していただきたい。なお、今年度の税理士試験において対策が必要である項目については、試験の重要度に応じて★を付している。

(1) 法人に係る消費税の申告期限の特例の創設(★★)

法人税の確定申告書の提出期限の延長の特例の適用を受ける法人が、消費税の確定申告書の提出期限を延長する旨の届出書を提出した場合には、当該提出した日の属する事業年度以後の各事業年度の末日の属する課税期間に係る消費税の確定申告書の提出期限を1月延長する。

確定申告書の提出期限が延長された期間の消費税の納付については、当該延長された期間に係る利子税を併せて納付する。

本改正は、令和3年3月31日以後に終了する事業年度の末日の属する課税期間から適用するため、施行日次第で今年度の試験に影響する項目となる。主に理論対策として、手続規定が出題されている近年の傾向を踏まえ、適用要件等を正しく把握しておく必要がある。

(2) 居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除制度等の適正化

① 居住用賃貸建物の取得に係る消費税の仕入税額控除制度の見直し

住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物であって高額特定資産に該当するもの(以下「居住用賃貸建物」という。)の課税仕入れについては、仕入税額控除制度の適用を認めないこととする。ただし、居住用賃貸建物のうち、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな部分については、引き続き仕入税額控除制度の対象とする。

これにより、仕入税額控除制度の適用を認めないこととされた居住用賃貸建物について、その仕入れの日から同日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間の末日までの間に住宅の貸付け以外の貸付けの用に供した場合又は譲渡した場合には、それまでの居住用賃貸建物の貸付け及び譲渡の対価の額を基礎として計算した額を当該課税期間又は譲渡した日の属する課税期間の仕入控除税額に加算して調整する。

本改正は、令和2年10月1日以後に居住用賃貸建物の仕入れを行った場合について適用する。ただし、同年3月31日までに締結した契約に基づき同年10月1日以後に居住用賃貸建物の仕入れを行った場合には、適用しない。

② 住宅の貸付けに係る非課税の見直し(★★★)

住宅の貸付けに係る契約において貸付けに係る用途が明らかにされていない場合であっても、当該貸付けの用に供する建物の状況等から人の居住の用に供することが明らかな貸付けについては、消費税を非課税とする。

本改正は、令和2年4月1日以後に行われる貸付けについて適用する。頻繁に出題される住宅の貸付けに関する改正であるため、留意していただきたい。

③ 高額特定資産を取得した場合の事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用を制限する措置の対象の見直し(★★★)

当該措置の対象に、高額特定資産である棚卸資産が納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整措置(以下「棚卸資産の調整措置」という。)の適用を受けた場合を加える。

本改正は、令和2年4月1日以後に棚卸資産の調整措置の適用を受けた場合について適用する。事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用の有無に影響する規定であり、近年の試験においてその判断力を問う問題が出題されているため対策は必須である。

(3) 輸出物品販売場制度の見直し

消費税の免税販売手続が可能なものとして財務大臣が定める基準を満たす自動販売機であることについて国税庁長官が観光庁長官と協議して定めるものを設置した場合には、当該設置に係る輸出物品販売場の許可につき、人員配置は要しないものとする。

本改正は、令和3年10月1日以後に行われる輸出物品販売場の許可申請について適用する。

☆編集部より☆
以上、本稿では令和2年度の税制改正大綱の概要と重要度について解説して頂きました。本誌では、最近の税制改正や税率の引上げに伴う軽減税率制度の導入等 についても解説していますので、ぜひ全国の書店さんでお買い求めください!

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