誰かに話したくなる税金喫茶~世の中は「原則」と「特例」だけでできている?


 遅めの夏休みとして、ただいまオーストラリアに来ています。とはいえ今ではどこに行っても連絡が取れてしまう世の中。やはり仕事のことをまったく考えないというのは難しそうです。

軽減税率、ホントやっかいですね

 最近の税理士業界での大きなトピックはやはり消費税。特に軽減税率と10月1日をまたぐような仕事に関する経過措置は質問も謎も多いので日々頭を悩ませているのですが、うっかり出国間際に「機内食は軽減税率対象外」という記事を中途半端に見てしまったため、機内食を食べながら「これは軽減税率の対象とならないのだろうか…」などと考えてしまいました。が、そもそも今回の機内食は航空券代に含まれていますし、国際便の航空券代は免税取引。そうであれば消費税は0%となるわけですから軽減税率もなにも関係ないわけです。「10%か8%か」という部分にだけ気を取られてしまうと「消費税自体がかからないのでは?」という第三の選択肢、というよりもそもそもの前提を忘れてしまったりするのですが、実はその前提が一番大事だったりもします。2年ほど前にもその「前提」の大事さを考えさせてくれる事件がありました。

贈与税がOKなら相続税もということになりそうです

 贈与された不動産を賃貸して収入を得ることになった納税者が、確定申告の際、贈与を受けた際に支払った贈与税を必要経費としました。確かに不動産を買った場合の不動産取得税などは必要経費にすることができますし、その贈与がなければ収入を得ることはできなかったわけですから、何となく正しいような気もします。

 所得税では、まず「必要経費の通則」というルールが定められています。そして、例外がない限りは「必要経費の通則」が適用されます。この納税者が主張したのは、その例外の中には「贈与税は必要経費としない」というルールがないということは結果的に必要経費になるだろうという理屈です。

 しかし、この考え方は大きな前提を忘れていました。「そもそも贈与税は『必要経費の通則』に該当する必要経費なのか?」という点です。国税不服審判所での争いではこの部分をつかれ、不動産所得を得ることと贈与を受けることには因果関係が無いため、そもそも必要経費となるものではない。ということは例外がどうであろうと関係なく、必要経費とされることはないという結論を突きつけられることとなりました。

 さて、この旅の間にやらなければならなかった最大の仕事がこの原稿。無事最後までたどり着きましたので、足取りも軽くエアーズロックのサンセットを拝みに行ってまいります!

本稿は、『会計人コース』2019年11月号に掲載したコラムです。

髙橋 創(税理士)
税理士受験講座の所得税法講師、会計事務所勤務を経て、新宿で独立開業。新宿ゴールデン街のバー『無銘喫茶』(http://mumei.co.jp/)のオーナーでもある。『図解いちばん親切な税金の本19-20年版』『フリーランスの節税と申告 経費キャラ図鑑』が好評発売中。YouTubeで『二丁目税理士チャンネル』を運営中。

イラスト・レイアウト:ヨシムラヒロム


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