
F(20代・会社員(経理職))
【編集部より】
FASS検定(経理・財務スキル検定)をご存じですか? 経理・財務の実務に特化した検定試験で、経済産業省の委託事業として開発され、日本CFO協会が検定試験の運営・実施を行っています。試験結果はA~Eの5段階で評価が行われ、自身のスキルを客観的に測ることができます。
最高レベルのAランクは689点以上のスコアで、「経理・財務分野について、業務全体を正確に理解し、自信をもって経理・財務部門の業務を遂行できるスキルをもっている」と評価されます。今回は、このFASS検定でAランクを取得したFさんの受験体験記をお届けします!
【Fさんの受験情報】
・受験結果:720点/800点(Aランク)
(内訳:資産87%、決算100%、税務91%、資金89%)
・学習スタイル:独学+テキスト、問題集、Web講義活用、社内学習会
FASS検定を受験したきっかけ
今回FASS検定を受験したのは、会社から取得を推奨していただいたことがきっかけでした。
最初に受験の話を聞いた時は、名前を聞いたことがある程度で、どのような試験なのかまでは理解していませんでした。
それでも、「経理担当者として取得しておいた方が良さそう」と考え、Aランクを目指して学習を始めました。
今回の受験は2回目のチャレンジでした。
前回は2024年下期に初めて受験し、580点(Cランク)という結果でした。
ある程度は対策をして臨んだつもりだったため、結果を見た時はショックを受けたことを覚えています。
実務経験があればある程度は試験問題にも対応できるものと考えていましたが、実際に受験してみると想像以上に難しく、実務経験や簿記検定での知識だけでは十分に対応できない試験だと痛感しました。
特に、普段の業務で触れる機会の少ない分野では、用語の意味を理解するところから始める必要がありました。
Aランクを目指して再始動!
そこで今回は、必ずAランクを取得すると決め、前回の反省を踏まえて、分からない問題をできる限り減らした状態で本試験に臨めるように学習計画を立てました。
今回の学習期間は2026年4月後半から6月後半までの2ヵ月間で、学習時間は約120時間でした。
使用した教材・講義は以下の4点です。
・FASS検定公式問題集
・会社「経理・財務」の基本テキスト
・CFO SchoolのWeb講義
・社内で実施していた学習会
今回の学習で最も苦労したことは、まとまった学習時間を確保できない中で、多くの問題を解き、本試験を見据えた計画を立て、それを継続して実行することでした。
限られた時間の中でAランクを目指すには、テキストを一通り読んでから問題演習に入るよりも、まず問題集に取り組み、演習を通じて知識を補っていく方が現実的だと考えました。
そこで今回は、問題集を解く回数を増やし、一問でも多くの問題に触れることを重視して、アウトプット中心の学習スタイルに決めました。
インプットが十分ではない状態で問題演習を始めたため、勉強を始めた当初は途中でつまずくことも多くありました。
知らない用語や知識も多く、問題集の回転数を増やすどころか、一問を解くのに想定以上の時間がかかることもありました。
さらに、最初は問題文や解説文そのものを読んで理解することにも難しさを感じました。
FASS検定の出題形式は四肢択一形式。
問題によっては、4つの選択肢すべてが正しく思えたり、逆にすべて誤っているように思えたりすることもありました。
こうした戸惑いもあり、「この勉強方法で本当に良いのか」という迷いもありました。
そのため、インターネットで調べたり、会社の方に相談したり、AIを活用したりしながら、自分に合った学習方法を少しずつ形にしていきました。
当年度を含む直近の問題集を最低5周することを一つの目安にしました。
理解して正答できた問題も最低3周は解き、間違えた問題、分からなかった問題、偶然正解した問題は付箋で色分けをして、通勤時間や隙間時間、休憩時間に何度も見返すようにしました。
間違いノートは作りませんでした。
ノートを作ることにも、手を動かして知識を整理できる効果はあると思います。
しかし、私の場合は、ノート作成に時間をかけるよりも、実際に問題を解ける状態にすることを優先したことで知識が定着しやすいと考え、問題数を多くこなしながら出題形式に慣れ、知識を補っていくスタイルを取ることにしました。
その代わりに、問題集の余白へ、解答時に考えたことや自分なりの解説、計算問題の計算式、選択肢のどの部分がひっかけになっているのかなどをメモしていました。
問題を解く際には、単に正解を覚えるのではなく、その選択肢がなぜ正しいのか、また誤っている選択肢については、どの部分が誤りなのかを確認し、正誤判断と説明ができるようにすることを意識しました。
用語や数字のひっかけなのか、原則と例外の違いなのか(「必ず」や「しなければならない」といった原則的な要件なのか、それとも「できる」要件なのか)を瞬時に判断できるようにすることも意識しました。
また、問題文のキーワードと選択肢をセットで覚えることも一つのコツではありますが、それに加えて、自分の言葉で「なぜそれが正しく、他の選択肢が誤りなのか」を説明できるところまで理解してから、次の問題に進むようにしていました。
問題ごとに、判断の根拠まで確認することを大切にしていました。
解説を読んでもしっくりこない場合や、その解説だけでは説明できる段階まで理解を深められないと感じた場合は、必要に応じて、税務分野は国税庁ホームページ等で、それ以外の分野はテキストやWeb講義等でインプットするようにしていました。
就寝前にSNSや動画を見てしまう時は、補強したい論点のWeb講義を見るようにしました。
毎日勉強を続ける中では、気分が乗らない日もありました。
そんな時は勉強しない日と割り切って休み、できなかった分は翌日に振り替えるようにしていました。
FASS検定は、試験時間90分、出題数100問です。
1問1分のペースで解くと、見直しの時間を十分に確保することが難しくなります。
そのため、問題演習の段階から1問30〜45秒で解答することを意識していました。

学習方針を固める!
学習計画については、まず試験日を決め、そこから逆算して、問題集をいつまでに消化するかを決めました。
試験日の1〜2週間前から間違えた問題だけを中心に見直しに入れるよう計画を立て、実行していました。
最終的には、「まず試験問題に慣れることが最優先」と考え、問題演習中心の学習に方針を固めました。
結果として、本試験でも問題集と同じ問題や類似問題が出題されていたため、問題集を中心とした学習方法にしてよかったと思いました。
FASS検定は、資産、決算、税務、資金の4つの分野から構成されています。
その中でも特に苦戦したのは、税務と資金の分野でした。
(なお、これは税務と資金の分野がFASS検定の中で最も難しいという意味ではなく、私自身の知識が不足していたため、特に難しく感じたという趣旨です。)
税務分野では、租税法で定められている税率等の暗記や、グループ法人税制、通算制度などの論点に苦戦しました。
税務に関する知識や実務経験がなかったため、問題集を解き進めていても、正誤判断が難しく感じました。
選択肢がすべて正しく思えたり、逆にすべて誤っているように思えたりする問題も多く、思うように進めることができず、問題演習に想定以上の時間がかかりました。
3周目に入った頃から少しずつ理解できるようになりましたが、それでもすぐには定着しませんでした。
テキストやWeb講義を活用しながら理解を深め、各問題の解説だけでは理解できない部分については、国税庁ホームページも確認しました。
資金分野はさらに苦戦しました。
「デリバティブ取引」や「私募債」をはじめ、普段の業務や日常生活で触れる機会の少ない用語が多く、最初は何も分からない状態でした。
簿記学習の知識だけでは対応できない論点も多く、問題集を3周したあたりから理解が進み、4周目から少し手応えを感じ始めました。
それでも本試験まで最も不安だった分野は資金分野でした。
実際、「Aランクに届かなかったら資金分野が原因かもしれない」と思っていたほどでした。
資金分野が各分野の中で一番難しいということではなく、私自身が一番苦手としていた分野でした。
その反面、資産や決算の分野では、日々の業務で触れている実務経験と簿記検定で学んだ知識が密接に結び付く論点が多く、なじみのある分野だったため、比較的スムーズに解き進めることができました。
学習教材等から得た学びが実務とつながる場面も多く、単なる暗記ではなく理解として定着させることができました。
知識と実務を結び付けながら学習できたことも、Aランク取得につながったと考えています。
学習習慣が身についた大型連休
ゴールデンウィーク期間は、FASS検定の学習を最優先にしました。
本当であれば外出したり、普段通りの休日を過ごしたりしたい気持ちもありましたが、試験日までに間に合わない不安もあり、勉強を優先しました。
周囲が旅行やレジャーを楽しんでいる様子を見ると、羨ましく感じることもありました。
しかし、社会人になるとまとまった学習時間を確保できる機会は限られているため、この大型連休期間中は資格試験の勉強に集中すると決め、毎日勉強を継続できたことは、結果的に良かったと思っています。
ゴールデンウィークが終わった時点では、「もうAランクを取れる」という手応えは全くありませんでした。
ようやく勉強方法が固まり、本格的な学習を順調に進め始められたという感覚でした。
それでも、この期間に学習習慣を身につけられたことは非常に大きかったと、受験後の今、強く感じています。
いよいよ受験当日
FASS検定の試験は午後の受験でした。
試験当日の朝は緊張もあったせいか、普段の起床時間よりも早く起床しました。
それからは見直し用にまとめていた問題を、家を出発するまでの時間、会場へ向かう移動時間、そして受付時間の直前までの時間を使って、最後の確認として見返していました。
受付が終わると、いよいよ試験が開始されます。
試験問題を解いている時は、Aランクの基準点が常に頭にありました。配点方法は公表されていないため、単純計算で1問8点と仮定すると、Aランクに届くには13問以内のミスに抑える必要があります。そのため、実際には10問以内に抑えたいという意識が強く、プレッシャーを感じながら解いていました。
それでも、これまでやってきた学習を信じて解き進めました。
多くの問題に触れていたこともあり、知っている知識で解ける問題は比較的多くありました。
分からない問題や判断に迷う問題については、後で見返せるようにチェックを付け、時間をかけすぎずに先へ進むようにしました。
事前に1問30〜45秒で解く訓練をしていたことで、本試験でも一つの問題に時間を使いすぎず、最後まで解き進めることができました。
その結果、100問を一通り解き終えた時点で47分余りました。
その後は試験終了時刻まで、解答の見直しを繰り返しました。
試験終了時点の手応えとしては、自己採点では600点台くらいだと思っていました。
Aランクに届かないだろうと思っており、「Aランクが取れたらラッキー」「せめてBランクには乗りたい」「Cランクだけは避けたい」という気持ちでいました。
実際、結果画面に表示されていたのは「Aランク」と「720点」でした。
その瞬間、まずはホッとしました。
前回から140点(580点→720点)伸ばすことができました。
2回目のチャレンジでAランクを達成できたことは嬉しく、大きな達成感がありました。
前回からの成績の推移は以下の通りです。
・資産分野 67% → 87%
・決算分野 62% → 100%
・税務分野 77% → 91%
・資金分野 78% → 89%
特に、満点を取れた決算分野は、使用した教材等で得た知識だけでなく、実務での経験も点数を大きく伸ばすきっかけになったように感じており、大きな自信になりました。
これから受験する方へ
最後に、これから受験される方へお伝えしたいことがあります。
最初は問題文の意味が分からなくても、解説を読んで理解できなくても心配する必要はありません。
私自身も同じ状態からスタートしました。
Aランク取得を目指すうえで、特に大切だと感じたことは次の10項目です。
・本試験の日程を決め、逆算して学習計画を立てること
・限られた時間の中で、問題演習と見直しの時間を確保すること
・問題集を中心に学習し、問題演習を通じて知識を補うこと
・問題集を繰り返し解き、出題形式に慣れること
・間違えた問題、分からなかった問題、偶然正解した問題を何度も見返すこと
・正解を覚えるだけでなく、選択肢ごとに判断の根拠を確認すること
・誤っている選択肢は、どこが誤りで、正しくはどういう内容なのかを確認すること
・苦手分野は後回しにせず、分からない部分をテキストやWeb講義で確認すること
・1問30〜45秒で解けるように時間感覚を身につけること
・自分に合った学習方法を見つけ、最後まで継続すること
こうして、短期集中で学習を続けた結果、720点(Aランク)を取得することができました。
この体験記が、FASS検定を受験される方の参考になれば幸いです。
これから受験される皆さまを、陰ながら応援しております。











