【税理士合格体験記】コツやポイントを押さえて、初受験で簿・財W合格する方法


K・Dさん
(大阪学院大学経営学部3年)

<受験情報>
合格科目:簿記論、財務諸表論(令和5年)
学習スタイル:資格の大原(初学者一発合格コース、通学)
▶トップ画像は簿記3級の勉強開始時から愛用している電卓(本人提供)

税理士を目指すきっかけとなった、祖父の存在

私が通っていた高校は単位制で、自分で授業科目を選択しなければなりませんでした。そのために早くから進路を決める必要があったため、学校が「働きがいのある職業」「自分の将来像」について考える講演会や説明会を開催し、「将来どのような職業に就きたいか」を考える機会が多く設けられていました。

当時から、将来独立できる仕事に就きたいと思っていたので、税理士をしていた祖父に話を聞きに行くことに。そこで祖父が話してくれた「税理士は、税の計算だけでなく、中小企業の経営者の相談相手である。」という言葉にやりがいのある仕事だなと感じ、税理士という職業に興味を持ちました。

大学には、総合型選抜入試で受験したため、11月に合格が決まり、入学まで少し時間がありました。そこで、「大学入学までは税理士の基礎となる簿記の勉強をしてみたらどうか」と祖父が助言してくれ、資格学校の日商簿記3級の講座を受けることにしました。そして2月の試験で合格し、簿記の勉強が思っていたよりも楽しく、「もっと簿記ができるようになりたい」、「税理士になりたい」という思いが、より強くなりました。

日商簿記1級の勉強経験は基礎固めにつながる

日商簿記3級に合格後、資格学校で引き続き日商簿記2級の講座を受け、大学1年(2021年)の11月に合格をしました。その後、大学2年(2022年)の8月に税理士試験に挑戦できればよかったのですが、受験資格がないため叶いませんでした。

そこで、日商簿記1級の6カ月コースを受講することにし、6月に受験したものの結果は惨敗。日商簿記1級は一度諦め、2023年の税理士試験の勉強に専念しました。

日商簿記1級の内容まで一応ひととおり勉強していたため、ある程度簿記の基礎は固まっていたと思います。そのため、資格学校の税理士講座の授業は理解しやすく、これがモチベーションを保つことができた要因でした。

令和5年度の税理士試験から、簿記論・財務諸表論の受験資格が廃止され、簿記の勉強を始めたばかりの人も受験できるようになりました。これに伴い、資格学校の先生が「受講者数が去年よりも増えて嬉しいが、去年よりも確認テストの平均点がかなり下がっているから、授業の内容を変えないといけないかもしれない」と言っていました。
資格学校の初学者のコースでも、日商簿記2級を理解している前提で授業が進んでいきます。ある程度の基礎が固まっていないとついていけなくなるので、これから受験を考えている方は気をつけたほうがよいと思います。

勉強で心がけていた3つのしばり

普段の勉強で心がけていたことが3つあります。いま振り返ってみると、初受験で簿記論・財務諸表論にW合格できたポイントがここにあるように思うので、ご紹介します。

1.わからないことは必ず質問すること

資格学校の授業後、毎回のように自分が疑問に思ったこと(授業の内容や自習で解いた問題でわからなかったところなど)を質問していました。大学生の方は、学生の特権である大学の先生に質問してもよいと思います。
私は、ゼミの先生の専門が会計学だったため、ゼミの授業が終わった後、毎週30分ほど会計理論のわからないところを教えてもらっていました。これにより、会計理論の理解が深まり合格に結びついたと思います。

2.毎日少しでも問題に触れること

年内は、資格学校のテキストなどの個別問題を、毎日解くようにしていました。
年明け3月くらいからは、簿記論・財務諸表論の総合問題は、どちらかだけでもいいので必ず毎日解くようにしていました。毎日することで処理スピードが格段に上がり、精度も上がります。大学の授業などで忙しいときは、資格学校の外部販売の教材(総合問題)で、基礎編のような簡単な問題でもいいので、1題は解くようにしていました。本試験直前の6~7月は、簿財両方の問題を最低1題ずつは毎日必ず解いていました。
余談ですが、本試験が終わって5日後に、資格学校で面談がありました。そのついでに自習室で簿記の総合問題を1題だけ解いて帰ったのですが、処理スピードがびっくりするほど落ちていました…。そのとき、毎日解くことの重要性を実感しました。

3.模試などの答練を完璧にすること

資格の大原で言えば、確認テスト、実判、直対プレの解き直し用の問題を何度も印刷して 、3~4回は解き直しました。過去問も3回くらいは解きましたが、その年によって特色があって違ったりするので、私は資格学校の答練のほうが練習になるなと思いました。
財務諸表論の総合問題の過去問は何度やっても大丈夫です。

簿記論と財務諸表論のちょっとしたポイント

これまで簿財の勉強をしてきて、ちょっとした自分なりのポイントのようなものがつかめたので、簡単にお伝えします。

簿記論

・推定問題は後回しにする
推定問題は時間を使い過ぎる可能性があるため、最後に取れるところだけ取る感じでOKです!

・総合問題を解く前に解答要求を確認すること
簿記論の固定資産の減価償却費、減価償却累計額は後回しにすると思いますが、A建物減価償却累計額、B備品減価償却累計額、C備品減価償却累計額と分かれている場合は解答しないといけないので確認すべきです。
あと貸倒引当金戻入益があれば、「洗替法がくるのかな」と予測できたり、前払年金費用があれば「退職給付には気をつけないとな」と思うことなどもポイントです。

財務諸表論

・理論は瞬間的にわかるところだけ先に解いて、あまり時間をかけすぎない
理論に関しては、すぐにわからないところは考えてもわからないことが多いです。また、最近の本試験は計算問題で点を稼ぐのがよいときが多いため、すぐにわからない理論は計算問題が終わってから戻って解こう、くらいに考えていました。

・貸倒引当金は得点源
簿記論に比べて財務諸表論の受取手形、売掛金の処理事項は比較的少なく、5点くらいは取れるので得点源にしていました。

簿財W合格のために気をつけたこと

簿財の問題を満遍なく解くこと

これは、計算問題と理論を満遍なく解くという意味ではなく、簿記論の計算問題と財務諸表論の計算問題の両方を満遍なく解くということです。簿記論と財務諸表論の総合問題は似ていますが、少し解き方や形式が違います。
ですので、簿記論の総合問題ばっかりに取り組んでいると財務諸表論の総合問題の調子が悪くなることがあります。時間が取れる日は簿財両方の総合問題を解いていましたが、時間が取れない時は簿財交互に問題を解いていました。

長時間集中することに慣れること

本番の試験は簿記論2時間+財務諸表論2時間と4時間は集中した状態で問題を解かないといけません。そのため、私は簿記論の2時間問題を解いて、10分ほど休憩して、すぐに財務諸表論の総合問題を解くことをして、長時間集中力を切らさないようにする練習をしていました。初めはしんどいですが継続していると慣れてきます。

大学との両立のコツ

授業は、簿記・会計をメインに選択

まず簿記、会計系の授業をメインに取ること、大学受験のために勉強してきた科目の授業を取るということです。次に自分の興味のある分野の基礎、入門の授業を取り、そこから派生している授業を取ったり、同じ先生の授業を取ることです。この授業の選び方をすることで新しく覚えないといけないことが少なくなり、テストの形式などがわかっているのでテスト勉強に充てる時間が短縮できるのでおすすめです。

強制的に朝型にする方法

1限の朝の授業を入れることをおすすめします。
大学生は、朝起きる時間が遅くなりがちなので、1限の授業を入れることで強制的に早起きが必要な状況に追い込めます。
簿記論を受験する人は、9時から試験が始まるので、最終的には朝型に生活リズムを戻す必要があります。ですので、早くから生活リズムを朝型にしておくことはよいと思います。さらに、朝から授業を詰めると、午後にまとまった自習の時間が取りやすくなるのもメリットです。

最後まで絶対にあきらめない(初受験の人へ)

税理士試験の合否は、最後まで合格したいという気持ちを保つこと、諦めないことで決まると思います。これは、受験前に勉強しているときだけでなく、本番で試験問題を解いているときにも言えます。
今年受験した、私の本試験時のエピソードをお話します。
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税理士試験初受験で、当日は少し緊張していました。
試験監督の「始め!」という合図とともに、簿記論の問題を開いたら、第一問が全然わかりません…。

「まぁ、資格学校の先生も、『第一問はビビらせるために難しく作っている』と言っていたので大丈夫だ。」と、次のページへ。

「あ、ソフトウェアだ。これは解けるぞ」と問題を見るも、いつもと違う形式で全然意味がわかりません…。

少し焦りながら「まぁ、いいや。第二問から解いてみよう」と第二問を開くと、丸々1題が外貨建の問題で、「これは時間がかかりそうだから、後回しにしたほうがよさそう。普段はしないけど、第三問から解くか。」と、心を落ち着かせます。

第三問を開き、いつもどおり後ろから解いていくことに。
しかし、「出資金? インセンティブ報酬???」
もう、わけがわからなくなり、頭真っ白。
焦り、焦り、焦り、という状態になりました。

解答用紙は2、3個埋めただけで、「もう今年はダメだ…」と30分固まっていたところ、ふと周りを気にしてみると、全然電卓を叩く音が聞こえません。

ここで、自分だけでなくみんなも難しくてわからないのだなと感じ、「せっかく1年間勉強してきたのだから解けるところだけでも解いていくか。」と切り替えて、第一問からゆっくりと解き始めました。

試験後に振り返ってみると、落ち着いて解き直したつもりでもケアレスミスは多く、合格ボーダーも下回っていました。
でも、結果は合格。合格できたのは、最後まで諦めずに「1点でも多く取ってやろう。」という気持ちがあったからだと思います。

資格学校の先生からは、「Aランクの問題さえ取れれば合格点に届くから、取捨選択して解ける問題だけ落ち着いて解けばよい」と何度も言われると思います。冷静であれば、そのことを頭の片隅において問題が解けますよね。

でも、初受験の方は2題連続でわからない問題が出題されると、自分だけじゃないかと焦ってしまうこともあると思います。そのときは、ぜひ、この話を思い出してください。
私は、30分間固まってしまいました。でも、そこから諦めずに解いたら合格することができました。
絶対に最後まで諦めず、自分のわかるところだけでも全力で解いてください。
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私もまだ税法に合格しないといけないので、頑張ります!
できる限り早く官報合格できるように、お互い頑張りましょう!

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