連結会計の仕訳に強くなる超基礎トレーニング【第2回】資本連結:支配獲得日の会計処理①


関口高弘
(公認会計士)

【編集部より】
会計人コースWebの読者アンケートによると、「連結会計」をマスターしたいという声がちらほら。日商簿記2級でも定番論点の一つとなり、会計士・税理士試験など会計系資格の合格を目指す人にとって避けて通ることのできない論点です。
そこで、本連載では、『連結会計の計算に強くなる3ステップ式問題集』の著者である関口高弘先生(公認会計士)に、「連結会計」の仕訳問題を週1回のペースで出題していただきます(毎週金曜日掲載予定)。
本連載で出題する問題は、連結会計に関する日商簿記2級レベルのインプット学習が一通りできた人を対象に、日商簿記1級や税理士試験・公認会計士試験にステップアップを目指す人にとって「土台」となる内容を想定しています。なお、毎回のテーマによって出題数は変動します。
もし本連載でつまずいた問題があれば、もう一度テキストでしっかり復習しましょう!

「本連載のねらい」はコチラをご覧ください。

さらに問題を解きたい方は、『連結会計の計算に強くなる3ステップ式問題集』をチェック!

今回のポイントー資本連結:支配獲得日の会計処理①

今回のテーマ「資本連結:支配獲得日の会計処理①」について、以下のポイントを確認して仕訳問題を解いてください。

Point1.投資勘定と資本勘定の相殺消去の必要性

連結財務諸表を作成するためには、まず、親会社(P社)と子会社(S社)の個別財務諸表を単純合算する必要があります。子会社は親会社から出資を受けているため、単純合算された個別財務諸表には、親会社の子会社に対する投資勘定(子会社株式、S社株式等)とこれに対応する子会社の資本勘定(資本金、資本剰余金、利益剰余金)が計上されています。親会社と子会社をまとめた企業集団全体からみれば、親会社が子会社へ投資する行為は、単に企業集団内における資金の移動を示す集団内部の取引に過ぎないため、親会社の子会社に対する投資勘定(子会社株式、S社株式等)と、これに対応する子会社の資本勘定(資本金、資本剰余金、利益剰余金)は、連結に際して相殺消去する必要があります。

Point2.のれん

親会社の子会社に対する投資勘定とこれに対応する子会社の資本勘定との相殺消去にあたり、差額が借方に生じる場合には、当該差額を「のれん」とします。のれんは連結貸借対照表上、無形固定資産に計上します。

のれんは、子会社の個別貸借対照表で計上されていない子会社の超過収益力(ブランド、ノウハウ、人的資源、販売網等)を評価して親会社が子会社へ投資した結果生じるものであり、受験上も、実務上も借方の「のれん」が生じるのが一般的であります。

Point3.負ののれん発生益

親会社の子会社に対する投資勘定とこれに対応する子会社の資本勘定との相殺消去にあたり、差額が貸方に生じる場合には、当該差額を負ののれんとします。負ののれんは「負ののれん発生益」として連結損益計算書上、特別利益に計上します。

負ののれん発生益は、子会社を割安で取得できた場合などに生じるものであり、臨時損益の性格を有するため、特別利益に計上します。

問題(全6問)

下記の各取引について仕訳しなさい。なお、勘定科目は、設問ごとに最も適当と思われるものを選ぶこと。
(なお、スマホでご覧の方は「画面をヨコ」にすると仕訳や表が見切れないのでオススメです。)

問1

×1年度末に、東京商事株式会社は、大阪商事株式会社の発行済株式の100%を¥1,000で取得して支配を獲得した。×1年度末の大阪商事株式会社の資本金は¥1,000であった。×1年度末の東京商事株式会社の連結財務諸表作成上、必要な仕訳を答えなさい。

 〔勘定科目〕

当座預金のれん子会社株式資本金
資本剰余金利益剰余金非支配株主持分負ののれん発生益

解答

(借)資本金1,000 (貸)子会社株式1,000 

問2

×1年度末に、東京商事株式会社は、大阪商事株式会社の発行済株式の100%を¥1,000で取得して支配を獲得した。×1年度末の大阪商事株式会社の資本金は¥500、資本剰余金は¥500であった。×1年度末の東京商事株式会社の連結財務諸表作成上、必要な仕訳を答えなさい。

 〔勘定科目〕

当座預金のれん子会社株式資本金
資本剰余金利益剰余金非支配株主持分負ののれん発生益

解答

(借)資本金500 (貸)子会社株式1,000 
 資本剰余金500     

×2年度末に、東京商事株式会社は、大阪商事株式会社の発行済株式の100%を¥2,000で取得して支配を獲得した。×2年度末の大阪商事株式会社の資本金は¥1,500、資本剰余金¥200、利益剰余金は¥300であった。×2年度末の東京商事株式会社の連結財務諸表作成上、必要な仕訳を答えなさい。

 〔勘定科目〕

当座預金のれん子会社株式資本金
資本剰余金利益剰余金非支配株主持分負ののれん発生益

解答

(借)資本金1,500 (貸)子会社株式2,000 
 資本剰余金200     
 利益剰余金300     

問4

×1年度末に、東京商事株式会社は、大阪商事株式会社の発行済株式の100%を¥1,200で取得して支配を獲得した。×1年度末の大阪商事株式会社の資本金は¥1,000であった。×1年度末の東京商事株式会社の連結財務諸表作成上、必要な仕訳を答えなさい。

 〔勘定科目〕

当座預金のれん子会社株式資本金
資本剰余金利益剰余金非支配株主持分負ののれん発生益

解答

(借)資本金1,000 (貸)子会社株式1,200 
 のれん200*1    

*1 子会社株式の取得価額1,200-資本金1,000×親会社持分比率100%=200

問5

×2年度末に、東京商事株式会社は、大阪商事株式会社の発行済株式の100%を¥2,300で取得して支配を獲得した。×2年度末の大阪商事株式会社の資本金は¥1,500、資本剰余金¥200、利益剰余金は¥300であった。×2年度末の東京商事株式会社の連結財務諸表作成上、必要な仕訳を答えなさい。

 〔勘定科目〕

当座預金のれん子会社株式資本金
資本剰余金利益剰余金非支配株主持分負ののれん発生益

解答

(借)資本金1,500 (貸)子会社株式2,300 
 資本剰余金200     
 利益剰余金300     
 のれん300*1    

*1 子会社株式の取得価額2,300-(資本金1,500+資本剰余金200+利益剰余金300)×親会社持分比率100%=300

問6

×2年度末に、東京商事株式会社は、大阪商事株式会社の発行済株式の100%を¥1,900で取得して支配を獲得した。×2年度末の大阪商事株式会社の資本金は¥1,500、資本剰余金¥200、利益剰余金は¥300であった。×2年度末の東京商事株式会社の連結財務諸表作成上、必要な仕訳を答えなさい。

 〔勘定科目〕

当座預金のれん子会社株式資本金
資本剰余金利益剰余金非支配株主持分負ののれん発生益

解答

(借)資本金1,500 (貸)子会社株式1,900 
 資本剰余金200  負ののれん発生益100*1
 利益剰余金300     

*1 (資本金1,500+資本剰余金200+利益剰余金300)×親会社持分比率100%-子会社株式の取得価額1,900=100

今回のトレーニングは以上です!
次回は4月28日(金)に公開予定です。それまでにしっかり今回の復習をしておきましょう!

【執筆者紹介】
関口 高弘(せきぐち・たかひろ)
1976年5月神奈川県生まれ。1998年10月公認会計士試験合格。1999年3月中央大学商学部会計学科卒業、2001年3月中央大学大学院商学研究科博士前期課程修了。公認会計士試験合格後、大手監査法人で上場企業を中心とした会計監査に従事。2002年4月公認会計士登録。日商簿記検定試験(商業簿記・会計学)、税理士試験(簿記論・財務諸表論)、公認会計士試験(財務会計論)の受験指導歴17年。現在は、中央大学経理研究所専任講師、中央大学商学部客員講師、朝日大学経営学部非常勤講師、高崎商科大学商学部特命講師他を務める。

<連載バックナンバー>
【第2回】資本連結:支配獲得日の会計処理①
【第3回】資本連結:支配獲得日の会計処理②
【第4回】資本連結:支配獲得後の会計処理①
【第5回】資本連結:支配獲得後の会計処理②
【第6回】成果連結:債権債務の相殺消去(資金取引)、期末貸倒引当金の調整
【第7回】成果連結:債権債務の相殺消去(ダウン・ストリーム)、期末貸倒引当金の調整
【第8回】 成果連結:期末未実現損益の消去(ダウン・ストリーム)
【第9回】成果連結:債権債務の相殺消去(アップ・ストリーム)、期末貸倒引当金の調整
【第10回】 成果連結:期末未実現損益の消去(アップ・ストリーム)
【第11回】 資本連結:開始仕訳①
【第12回】 資本連結:開始仕訳②株主資本等変動計算書の勘定科目
【第13回】成果連結:前期末貸倒引当金の調整(ダウン・ストリーム)
【第14回】成果連結:前期末未実現損益の消去・実現(ダウン・ストリーム)
【第15回】成果連結:前期末貸倒引当金の調整(アップ・ストリーム)

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(関口高弘 著・中央経済社)
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