税理士受験生ボザイさんが<法人税法>に一発合格! どんな勉強をしていた?


【編集部より】
2020年に簿記論・財務諸表論に働きながら独学合格し、2021年には消費税法に働きながら一発合格したボザイさん(@bozai888)。twitterで勉強の様子を発信する姿を見て、刺激を受ける受験生も多いのではないでしょうか。
2022年本試験では法人税法を受験し、見事一発合格をされたとのことで、今回は「法人税法ならではの勉強法」や「今後の受験計画」について伺いました。

合格発表までの心境

ーー法人税法の合格、おめでとうございます! 合格通知を見た瞬間はどんな気持ちでしたか。

ボザイさん 正直なところ、試験が終わった時は「受かったな」と思っていたんですが、いろいろな解答速報を見ていたら、ミスをしているところをいくつか発見して、「これはヤバいんじゃないか…」と。
結果がどちらに転ぶかわからないという心境でずっと発表を待っていたので、通知を開いた瞬間はホッとしましたね。
知り合いの人とかに、「合格しているかもしれないです」みたいに言ってたことも結構あったので、法人税法に関してはそういうものからも全部、解放されたような気分でした。

ーー合格通知は1人の時にご覧になったのですか。

ボザイさん はい、その日はちょうど友人と食事をして、お酒が入った状態で夜中に帰宅して、郵便ポストを開いたら茶色い封筒が届いていて「来てる!」と。
封筒を開けた瞬間、ハンコが目に入ったんですよね。それで嬉しくて10秒くらい喜びを噛み締めてから、もう一度見直して「合格」の文字を確認しました。

ーーハンコで気付いたのですか?

ボザイさん 聞いた話になりますが、合格しているとハンコが押してあって、不合格だとハンコがないそうなんです。そんな話を聞いていたので、ハンコが目に飛び込んできた瞬間に喜びを噛み締めました。

改めて、法人税法を選んだ理由

ーー以前のインタビューでも伺いましたが、4科目めとして「法人税法」を選んだ理由は何ですか。

ボザイさん 一番の決め手は、朝勉部の仲間に誘われたことです。
もともと、個人を相手にした税理士になりたかったので、相続税法と所得税法を勉強したいと思っていたのですが、消費税法の本試験が終わった段階で、朝勉部の仲間に、「なんで所得なの?」って言われて、専門学校の講座も申し込んだのにもかかわらず、取り消して法人税法を選び直しました。
でも、今となっては、法人税法を選んでよかったと思っています。

ーーそれはどうしてですか?

ボザイさん やっぱり、実務で評価される、転職で有利ということを感じたからです。
実は、8月の本試験後から転職活動を始めて、10月に転職が決まり、大阪から東京に引っ越しもしたのですが、その転職活動を通した自分の実感として、そう思いました。
もちろん、事務所や自分の目指す方向性によって違うと思いますが、僕自身には法人税法がマッチしました。

法人税法ならではの勉強法

ーー先日、あくまで一個人の経験に基づくことを前提に、個人的試験難易度をツイートされていますね。法人税法がこれまでの受験科目に比べてダントツに難しかったとのことですが、具体的にはどのあたりでそう感じましたか。

ボザイさん ダントツで「量の多さ」ですね。暗記の量も半端じゃないので。
たとえば前年に受験した消費税法の時は、理論を全部暗記して、「全部覚たし、試験でどこが出ても書ける」という安心感が得られたんです。

でも、法人税法に関しては、最後までその安心感はなかったですね。
おそらく受験生みんな覚えられていないと思うんですけど、「やばい、あれ出たらどうしようかな」というのが試験当日までありました。
1つ1つの論点に関しては、一部を除けば、極端に難しいことはなかったなと思います。なので、難易度が高いというよりも、「量」がすごかったです。

ーーその量をこなすのに、時間との戦いもありそうですね。計算は、いつ頃から整っている状態にもっていっていたのですか。

ボザイさん 年が明けてしばらくした頃ですかね。答練が本格的に始まって、平均より高い点数を取れるようになってきて、全国模試でも計算の出来はそれなりによかったです。
だから、計算はいけるかなという仕上がり具合でした。

ーー計算はどのように勉強されていましたか。

ボザイさん 専門学校のテキストが9冊、問題集が9冊あるのですが、問題集の計算問題を一問一問解くのはすごく時間がかかります。
なので、法人税法では、テキストをベースにして回すようにしていました。

たとえば、減価償却という一つの論点について、テキストでは複数ページにまたがって解説されているのですが、その論点で重要な「公式」をiPadでスクリーンショットして切り抜いて、自分で1ページに集約し、それぞれの論点の冒頭ページに追加して、そのページだけをずっと回すという方法です。

この時、その集約したページに「計算過程」という文字を入力して、OCR機能で検索できるようにしておくことで、該当ページだけを回しやすく、各論点の公式を覚えやすくしていました。

この方法によって、問題を解かなくても公式の暗記ができるので、計算スピードの向上につながったかなと思います。

自分で集約した「計算過程」のページ

ーー同じような方法を以前にもお聞きした覚えがありますね。財務諸表論の受験当時は「ぼん」という言葉を使ってノートを作っていらっしゃったような・・・。

ボザイさん はい、財表の時にiPadで作っていた「間違いノート」で、凡ミスをした問題に「ぼん」と書いて、OCRで「ぼん」を検索したら、凡ミスをしたところだけを回せるようにしていました。
当時からよく使っていた方法なので、慣れもあってすごく回しやすいです。

【参考記事】
税理士試験 簿・財一発合格者のボザイさんに聞いてみた iPad勉強法の始め方と、その極意とは?

ーー計算は手を動かすイメージがあるのですが、公式だけで暗記できましたか。

ボザイさん 正直、中には覚えられないものもあって、たとえば圧縮記帳や留保金課税などでは、ややこしい公式があるんですね。
そういうのは解かないとわからないので、個別問題で解いて、実際に体に叩き込むということはしています。

ただ、短い公式だったり、たとえば何が交際費に該当するかといったような項目は、問題集はあまり利用せずに、テキストの「ぼん」のページに集約して、テキスト中心に復習をしていました。

ーー個別問題は具体的にどういった解き方をしていましたか。

ボザイさん 個別問題を2周くらい解いた後に、「これ回したほうがいいな」という問題だけを印刷し、10枚ほど連続で解くことをしていました。
個別問題って、大抵の場合は解いて答え合わせをしてということを、1問ずつすると思うのですが、10枚連続で解くことによって、総合問題を解くような集中力が持続することができました。
そんな解き方で、たとえば圧縮記帳や留保金課税といった論点を中心に、問題の順番をバラバラにして、一気に解くようにしていました。

計算から理論に比重を移した時期

ーー年明けしばらくしてから計算が仕上がっていって、徐々に理論の暗記に比重が移していくことになると思いますが、その間はどのように計算力をキープしていましたか。

ボザイさん 予定表で確認をしながら、毎日計算の勉強は続けていました。
ただ、計算は一度、知識をしっかり入ってしまうと抜けづらいので、ある程度少し放置していても覚えられていることが多かったです。なので、時折問題を解き直して、忘れていないかどうかをチェックしていました。

たとえば、ある問題を12月1日に解いたら、「この出来具合だったら、次は2週間後に解こう」という計画を立てて、あらかじめiPadのカレンダーで事前に予約していました。それで、「2週間空けたのにまだ解けるな」とか、出来具合を確かめていました。

ーーあらかじめカレンダーに予約しておくんですね!

ボザイさん 解けるんだったらもう解かないということもありますが、似たような論点の問題を「次は20日空けて解いてみよう」という感じでスケジュールを立てています。「ちょっと忘れているな」と思ったら、次に解くまでの間隔を短くして、iPadのカレンダーで管理していましたね。

ーー一方で、理論はどのように覚えましたか。

ボザイさん 僕の場合、映像で覚えられることが多いので、Googleマップで、馴染みのある場所とかをスクリーンショットして、それをiPadの理論暗記教材に貼り付けて、「その場所にいる時は、あの論点だな」みたいな感じで覚えていました。

ーーその方法はめずらしいですね!

ボザイさん もちろん全部の論点ではありませんが、ちょっと覚えづらい理論はそうしていました。
たとえば、役員報酬だったら僕が通っていた大学の馴染みの場所だったり、貸倒引当金だったら渋谷の駅だったり、全く根拠はないんですけど(笑)。一応、自分なりにイメージして、近いものを当てていました。

でも、だんだん場所がなくなってくるので、正直、貸倒引当金の場所なんて全然思いつかないから、なぜか渋谷駅の井の頭線でした。よく通っていた場所とかとイメージをつなげるようにしていきました。

ーー他にはありますか?

ボザイさん あとは、朝勉部の人たちでパートを分担して、理論を録音した音声を、朝の支度の時に聞いたり、駅から自宅までの間に聞いたりしていました。
朝勉部は当時14〜15人くらいいて、ちょっと多くなったので今は解散してしまったのですが、そのなかで法人税法を受ける人が自分を含めて5人いたので、その人たちと分担して録音しました。

これはすごく良くて、「あの人が担当だったところだな」という印象にも残りますし、僕の担当するところでは、ちょっと冗談を間に言ったりして面白がられたんですけど、しめしめと思いながら楽しんで聞くことができました。
覚えるというより、覚えたものを維持するのにちょうどいいと思います。

ーー「見る」ときはGoogleマップのスクリーンショットで、「聞く」ときは朝勉部の人たちと録音した音声で、他に「書く」ときはどんな工夫をされていましたか。

ボザイさん 理論でよく言われる「柱挙げ」をしていましたね。ずっと教材を見ているとモヤモヤしたり、別のことを考えたりしてしまうので、気分転換をかねて、柱を一気に挙げて書くことはしていました。
でも、これはメインではなかったですね。

ーーメインの覚え方は何でしたか。

ボザイさん メインはやっぱり「読む」ですね。それも、声に出して読んでいました。
でも、電車の中だったら怪しい人になるから、そこは黙読ですけど、自宅だったら座ってiPad見て読む、眠くなったら立ったりして読むという感じです。

仕事で疲れて帰ってきて勉強するよりも、1回寝てリセットしたほうが集中力も上がるし、仕事のことを一度忘れた状態で勉強に取り組めるので、朝メインで勉強しています。これはルーティンなので、今も変わりませんね。

ーー財表の勉強で図解をされていたことも印象深いのですが、法人税法では何か作っていましたか。

ボザイさん 財務諸表論を勉強していた時のような体系図は作っていませんが、組織再編・グループ税制のような一部の論点では体系図にしたり(トップ画像に掲載)、他の論点でも自分なりに図解でまとめたりはしていました。

自分なりにまとめた図解

【参考記事】
Twitterでバズった財表理論の体系図! 作成者ボザイさんに突撃インタビュー

ボザイさん 他にも、別表四と別表五(一)のつながりがすごく美しくて、図解していました。

別表四と別表五(一)のつながりを整理

勉強をしていても別表四と別表五(一)のつながりの奥深さを理解できていなくて、なんとなく覚えているという人が多いそうなのですが、そのつながりがわかると気持ちいいんですよね。

今は会計システムが自動計算してくれるので、特にそこまで必要のない知識なのかもしれませんが、それを知っていることで、「ここの金額が増えたら、ここも増えるな」というのがわかるようになりますね。

ーー計算と理論の勉強法を伺いましたが、今回、法人税法に合格した決め手は何だと思いますか。

ボザイさん 専門学校のカリキュラムにしっかりついていったことです。
僕が受講していたコースは、年内のうちに基礎論点を1回転して、年明けから基礎論点プラスαの論点をもう1回転、最後の直前期でもう1回転するという、本試験までに3回転するカリキュラムでした。
正直、年内は授業の回数が週3回あって働きながらついていくのはキツイんですけど、僕は圧倒的にこのカリキュラムをお勧めしていて、なぜなら早く論点を一回転してみることで、全体的なイメージがつくからです。

個人の環境や仕事との兼ね合いもあるので、一概には言えませんが、もし比較的時間が取れるのであれば、頑張って年内に1回転するカリキュラムに必死になってついていくほうがいいと思います。
年明けからは授業が週2回に減るので、そこからは繁忙期でしたけど、食らいついていくことができたかなと思います。

来年の受験に向けてた戦略

ーーtwitterの固定ツイートでは「来年官報」とありますね。それを目指してすでに始動されていると思いますが、来年の受験予定である相続税法に向けて、今どのような意気込みですか?

ボザイさん 実は、法人税法の時は4科目というのが精神的には一番キツかったんです。
初年度の簿記論・財務諸表論ははじめての受験で、今思えばどちらかというとルンルンだったんですね。
その翌年の3科目めは消費税法で、税法がはじめてということでウキウキできる部分があったんですが、4科目めの法人税法は相当なボリュームで、しかも「これをクリアしてもまだある」という現実が精神的には一番堪えました。
だから、次は、最後の5科目めなので、あと8ヵ月しかないし、「これで終われる!」と思ったら、もうめちゃめちゃテンションが高くて、最強のテンションで臨めそうです。

ーー法人税法の試験後、9月から勉強を始めていると思いますが、転職やお引越しも重なったそうですね。

ボザイさん 転職活動を始めたのは、8月末頃からで、10月末に大阪から東京へ引っ越してきたんですけど、それまではなかなか落ち着かなかったですね。
前に働いてた事務所が昔ながらの紙文化が多く残っていたので、デジタル化を推進しようと所長に提案したのですが全然受け入れてもらえず、そういうこともあって転職を考え始めた頃に、東京にいる友人たちが「来いよ」と言ってくれていたので、「これは行くしかないな」と背中を押してもらいました。

ーー今の職場は受験勉強との両立もできそうですか。

ボザイさん そうですね、2年目、3年目になったら、労働時間も伸びそうな雰囲気はありますが、だからこそあと1年で官報合格を決めたいと思っています。
やっぱり、本試験明けから11月末くらいまでは、東京に出てきて仲間と会ったり、生活が落ち着くまで時間がいりましたし、勉強もやろうと思えばもっとできたのかもしれませんが、なかなか集中できる感じじゃなかったので。
合格発表もあったし、ラスト1科目だし、テンションを上げて残り8ヵ月やり切りたいと思います!

ーー応援しています!!

【お話を聞いた人】

ボザイ

30歳まで格闘技に夢中で勉強とは無縁の生活を送る。その後、一念発起して2019年、独学で日商簿記1級に一発合格。2020年に独学で簿記論・財務諸表論に一発合格。さらに会計事務所に勤めながら 2021年に消費税法、2022年に法人税法を受験し一発合格。2023年は相続税法を受験予定。
勉強の記録や学習法を発信しているTwitter(@bozai888)やnoteは同じ受験生から絶大な人気を誇る。

【ボザイさんのバックナンバー記事】
この夏読みたい会計・税務関係の課題図書⑩―現役受験生ボザイがオススメする税理士試験に役立つ本

【ユメの対談】税理士試験 YU ME NO U E × ボザイ が「直前期の勉強」を語りつくす!

簿・財独学合格者ボザイさんに聞く 『税理士試験 直前予想問題集』のうかる使い方

【税理士試験】スキマ時間に効果絶大! 受験生が実践する「付箋」の活かし方とは?

【税理士試験】“ヨコのつながり”が見えてくる! 簿・財独学合格者が伝える、『会計法規集』の使い方


関連記事

ページ上部へ戻る