加藤大吾
(公認会計士・税理士)
公認会計士試験(短答式)の財務会計論の計算&理論のレベルを想定した○×問題を、2021年5月の本試験まで毎日(月~金)出題!
もちろん税理士試験の簿記論・財務諸表論、日商簿記1級の対策にも使えます。
【〇×問題】
重要な事業部門の廃止により前期末において、商品評価損15,000円を特別損失に計上したが、翌期に簿価切下額の戻入処理を行った。
(借) 商品 15,000
(貸) 商品評価損戻入益 15,000
【正解】 ×
特別損失に計上する場合の棚卸資産評価損は、洗替え処理をすることはできず、切放し法でよらなければならないために、商品評価損戻入益を計上することはできない。
【根拠となる会計基準】
企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」
17. 通常の販売目的で保有する棚卸資産について、収益性の低下による簿価切下額(前期に計上した簿価切下額を戻し入れる場合には、当該戻入額相殺後の額)は売上原価とするが、棚卸資産の製造に関連し不可避的に発生すると認められるときには製造原価として処理する。また、収益性の低下に基づく簿価切下額が、臨時の事象に起因し、かつ、多額であるときには、特別損失に計上する。臨時の事象とは、例えば次のような事象をいう。なお、この場合には、洗替え法を適用していても(第14項参照)、当該簿価切下額の戻入れを行ってはならない。
(1) 重要な事業部門の廃止
(2) 災害損失の発生
〈執筆者紹介〉
加藤 大吾(かとう・だいご)
早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師・公認会計士
2003年早稲田大学政治経済学部経済学科卒。2005年公認会計士登録。東京CPA会計学院にて公認会計士講座(簿記)・日商簿記検定講座の講師業務の傍ら、監査法人にて監査業務にも従事。2015年より早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師。著書に『税理士試験 簿記論・財務諸表論 総合問題なるほど解法ナビ』(中央経済社)がある。