【論述に強くなる!財表理論講座】第12回:研究開発費会計



全31回のプログラムで、税理士試験・財務諸表論に強くなる! 
論点ごとに本試験に類似したミニ問題を用意しました。まずは問題1にチャレンジし、文章全体を何度か読み直したところで問題2(回によっては問題3も)を解いてみましょう。そして、最後に論述問題を解いてください。


長島正浩
(茨城キリスト教大学経営学部教授)

まずは問題にチャレンジ!

重要な投資情報である研究開発費について,企業間の( ① )を担保することが必要であり,費用処理又は( ② )を任意とする従来の会計処理は適当でなかった。
研究開発費は,発生時には( ③ )を獲得できるか否か不明であり,また,研究開発計画が進行し,( ③ )の獲得期待が高まったとしても,依然としてその獲得が( ④ )とはいえない。そのため,研究開発費を資産として貸借対照表に計上することは適当でない。
また,仮に,一定の要件を満たすものについて( ② )を強制する処理を採用する場合には,( ② )の要件を定める必要がある。しかし,実務上客観的に判断可能な要件を規定することは困難であり,抽象的な要件のもとで( ② )を求めることとした場合,企業間の( ① )が損なわれるおそれがあると考えられる。
したがって,研究開発費は発生時に費用として処理することとした。

問題1
文中の空欄( ① )から( ④ )にあてはまる適切な用語を示しなさい。

問題2
従来( ② )が認められていたときの具体的な科目を2つ答えなさい。

解 答

問題1

① 比較可能性
② 資産計上
③ 将来の収益
④ 確実である

問題2

(1) 試験研究費
(2) 開発費

基本的な考え方

・「研究開発費は、すべて発生時に費用として処理しなければならない。」としているが、企業会計基準第23号「『研究開発費等に係る会計基準』の一部改正」についても留意する。

論述問題にチャレンジ!

研究とは何か?

研究とは、新しい知識の発見を目的とした計画的な調査及び探究をいう。

開発とは何か?

開発とは、新しい製品・サービス・生産方法(製品等)についての計画若しくは設計又は既存の製品等を著しく改良するための計画若しくは設計として、研究の成果その他の知識を具体化することをいう。

研究開発費にはどのような原価要素があるか?

研究開発費には、人件費、原材料費、固定資産の減価償却費及び間接費の配賦額等、研究開発のために費消されたすべての原価が含まれる。

研究開発費を費用として処理する方法にはどのような方法があるか?

費用として処理する方法には,一般管理費として処理する方法と当期製造費用として処理する方法がある。

「一部改正」で改正されたところとは?

企業結合により,被取得企業で行われていた研究開発活動の途中段階の成果(仕掛研究開発)を取得した場合,企業結合により受け入れた他の資産の取扱いとの整合性をより重視して,識別可能性の要件を満たす限り,その企業結合日における時価に基づいて資産として計上するところ。

〈執筆者紹介〉
長島 正浩(ながしま・まさひろ)
茨城キリスト教大学経営学部教授
東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。簿記学校講師、会計事務所(監査法人)、証券会社勤務を経て、資格予備校、専門学校、短大、大学、大学院において非常勤講師として簿記会計や企業法を担当。その後、松本大学松商短期大学部准教授を経て、現在に至る。この間30年以上にわたり、簿記検定・税理士試験・公認会計士試験の受験指導に関わっている。

※ 本記事は、会計人コース2020年1月号別冊付録「まいにち1問 ポケット財表理論」を編集部で再構成したものです。

〈バックナンバー〉
第1回:キャッシュ・フロー計算書
第2回:1株当たり当期純利益
第3回:金融商品会計①
第4回:金融商品会計②
第5回:金融商品会計③
第6回:棚卸資産会計①
第7回:棚卸資産会計②
第8回:収益認識会計
第9回:固定資産会計①
第10回:固定資産会計②
第11回:ソフトウェア会計


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