日商簿記検定統一試験まであと2週間!今からどんな勉強する? 進捗度別の学習アドバイス


下釜綾子

【編集部より】
11月19日(日)実施の日商簿記検定統一試験まで2週間となりました。簿記2・3級の合格を目指してコツコツと勉強を続けている人も多いと思います。でも、なかなか当初の予定通りに進んでいない…、まだ手つかずの分野が残っている…と不安や焦りを感じている人もいるのではないでしょうか。
そこで、「今日からの2週間で取り組むべきこと」について、“イラストでわかる簿記” を発信するアヤコ先生に教えていただきました! 

検定試験までの2週間をスペシャルタイムにするために

日商簿記検定統一試験まで 2 週間に迫っているこの時期。上のイラストに出てくる山田くんのように焦っていませんか?
「なんで時間があった時にちゃんと勉強しなかったのかな〜」という後悔と反省に時間を費やしていませんか?
反省も大事ですが、今は前に進むしかありません!

「検定試験2週間前はスペシャルタイム突入!!」

今が一番実力が伸びる良い時期だと思い込んで、勉強に取り組みましょう。

検定試験直前の2週間でするべき勉強とは

できれば試験直前の1週間は新たな知識の詰め込みは避け、「復習」を中心に取り組むのが理想です。合格するために自分が今「何を克服するべきか」を逆算して、効率良く学習しましょう。

学習計画と目標の設定

まず、「今日から試験日まで2週間の学習計画」を立てましょう。日ごとの学習時間、重点的に演習する問題、復習日などを決めておきます。明確な目標を立てることで、勉強の方向性が定まります。

苦手問題の克服

2週間前から1週間前までは、「特に苦手と感じる問題」を中心に取り組み、苦手問題を減らしていきましょう。教材や参考書を活用して、徹底的に理解し、練習問題を解きます。どうしても解けない問題は解説を見たり、講師にアドバイスを求めたりすることも必要です。

模擬試験の繰り返し

「本試験に近い形式の模擬試験」を学習に取り入れましょう。試験問題の雰囲気をつかんだり、時間配分をトレーニングしたりするために重要です。模擬試験を複数回解き、問題傾向や自分の弱点を特定しましょう。誤答した問題は同じ間違いを繰り返さないように復習します。

学習計画と目標を立てる前に

学習計画は可能な限り細かく

「試験までにこの問題集を終わらせよう」、「今日は決算の問題を解こう」という大まかな目標だと、すぐに取り組まず「夜にやればいいか…」と先延ばしにし、結局何もせずに1日が終わるということはありませんか。

そこで、計画はできるだけ細かく、たとえば「この20分で第3問を終わらせる」と具体的に立てることで、「今のうちに少しでも問題を解こう」という気持ちになり、勉強を継続できます。

無理な計画で負け癖をつけない

学習計画に無理がないことも大切です。あまり無理な計画を立てると、「今日も目標達成できなかった…」と、挫折した記憶ばかりが残ります。検定試験前にそのような負け癖をつけないようにしましょう。

また、試験本番は制限時間内に解く必要があるので、そのプレッシャーを自分に与えて、クリアしていく癖をつけましょう。その達成感の積み重ねが試験当日の自信にもなります。

今の実力を無視した学習計画は挫折する

自分の実力を把握しないまま学習計画を立てると、目標が達成できず、モチベーションも下がり、挫折します。 現在の自分の実力で、解答にかかる時間や正解率を把握し、学習計画を立てましょう。

学習計画を立て実行するまでの Step5

Step1 出題内容や学習項目の全体量を把握する 。

Step2 各問題に対する時間を測ってみる。設問別の解答時間タイマーで計測しましょう。 

Step3 自分の弱点や理解度を把握し、自己評価をする。
   ・問題を数問解いて、何が得意で、どこが苦手かを判断
   ・教材の大まかな章ごとに自己評価(A・B・C や○×など、自分がわかりやすいマークを記録する)

Step4 取り組む教材の決定をする

Step5 学習計画表に書き込み、学習スタート!

学習計画表テンプレート

私がよく受験生におすすめする学習計画表がいくつかあります。どのように計画を立てるか迷った時にはぜひ参考にしてください。

また、私が作成した各学習計画表(Excel・PDF)をダウンロードできるので、ご活用ください。

2週間学習計画表

2週間でチャレンジする問題など、学習計画を立てましょう。手元にある教材のどれを解くのかがわかるように書いてください。1日の目標時間に合わせて項目を追加し、時間を確認しましょう。

模擬試験成果表

模擬試験の成果を管理するための表です。苦手論点の把握や進捗管理に活用してください。

解いた問題数塗りつぶしシート

取り組んだ勉強の積み重ねを可視化するための塗りつぶしシートです。学習計画表がなかなか立てられない人などにオススメです。持っている問題集や模擬問題の数を確認し、目標のところにマークをしてからチャレンジしてください。

スキマ時間活用塗りつぶしシート

「5分学習したら1マス塗る」という学習の進捗具合を可視化するシートです。電車やバスの移動時間など、スキマ時間での学習をどれくらい積み上げられたかを確認していきましょう。
学習計画表と併用して、スキマ時間の記録にも使ってください。

【進捗度別アドバイス】
インプット学習がまだ最後まで終わっていない人へ

現時点でまだ教材を一通り終えていない人は、「手つかずの学習内容」を先に計画表の予定に入れましょう。

未学習の内容を連続して解くスケージュールを立てる

模擬試験1回目を第1問から第3問と解いていくより、同じ論点の問題を続けて解きましょう。例えば、第3問の決算整理仕訳と財務諸表を作成する問題などを連続3回解いてみるなどです。

一度解いてから2回目までの時間が空くと、また覚え直すこともあり効率が悪くなりますが、同じような問題を解くことはおさらいにもなり、記憶の定着につながります。問題のパターンや手順も回数を重ねるごとにスムーズになります。

スキマ時間にとにかくインプットとアウトプット

未学習の内容について、テキストを読むなどスキマ時間の5分でもよいので、インプットをしましょう。上述の「スキマ時間活用塗りつぶしシート」でマスを塗りつぶして、成果を記録してください。

積み上げられた成果を見て、「全然勉強できていない…」という焦りから少しでも解放されましょう。

模擬問題を解き、間違った問題を中心に復習する

未学習の内容を7日前までには終了し、模擬問題を解いていきます。頑張って1日に2回分は解いてみましょう。

どうしても解けない問題は、解答と解説を見ながら、正しい解き方を知り、それから同じ問題は時間を測って解くという方法を取りましょう。間違えた問題は付箋を貼るなど、翌日までに解き直しを必ず行いましょう。

【進捗度別アドバイス】
インプット学習が一通り終わっている人へ

現時点でインプットが一通り終わっている人やすでに問題演習を繰り返している人は、模擬試験や予想問題を「時間内に解く」ことを意識して繰り返しましょう。

スキマ時間は仕訳などの演習をする

仕訳問題の得点を確実に取れるように、スキマ時間を使って演習を繰り返しましょう。「解いた問題数塗りつぶしシート」や「スキマ時間塗りつぶしシート」で成果を記録しましょう。

苦手問題を減らしていく

模擬問題や総合演習などを使い、苦手分野を繰り返し解いていきます。
問題文で注意すべきところや解く時の下書き方法、解答手順などを確立していきましょう。

模擬試験や予想問題を時間内に解く

どの問題にどれだけ時間がかかるのかを把握して、本試験での解答順などの練習をしましょう。その時、本番でのパフォーマンスを最大限にするために、本試験と同じ時間帯に模擬試験に取り組むことをオススメします。
そのためにも、学習予定に模擬試験や予想問題を解くスケジュールを組み込みましょう。

2週間前の今からでも学習計画を立てるメリット

試験本番が近づいてくると焦るあまり、基礎を疎かにしたり、得意分野と苦手分野の学習時間のバランスを間違え、いつまでも苦手問題を克服できなかったりします。このような事態を防ぐのに有効なのは「学習計画を立てること」です。

明確な目標があり、やる気アップにつながる

「次は何をしようかな…」とだらだら勉強をしてしまう原因は、やるべきことが決まっていないからです。 目標がないと、集中力も続かず、今日はここまででいいかと自分に妥協してしまいます。
学習計画を作れば、やるべき学習を可視化することができます。さらには、計画表のチェックボックスを塗りつぶすなどにより、成果を可視化できます。
このように1つひとつ目標をクリアできると、モチベーションも上がります。

勉強内容を考える時間をカットできる

毎回、机に向かってから「昨日は何を勉強したかな? 今日は何から始めようか?」と考える人も多いかもしれません。
実はこの場合、「これを勉強する・しない」という選択と決断の繰り返しで疲れてしまい、勉強を先延ばしにしてしまいがちです。
このような「決定疲れ」は学習効率を下げてしまうので、そうならないためにも「今日はこれをやる」と学習計画で決めておきましょう。

残り時間を把握して取り組める

学習計画がないと、「まだ時間がある」と思い、勉強を先延ばしにしてしまいますが、時間がない時ほど意外と集中できるものです。そのためにも残された時間は短いことを意識しましょう。

合格に向けて

学習計画が予定通り進まず、途中で辞めてしまった経験も過去にあるかもしれません。

では、計画に遅れが出ていても継続できる人はどんな人でしょうか?

それは「計画はそもそも狂うものだ」と考えている方です。そう考えていると計画の遅れを考慮して計画を作るようになります。

「1週間の計画は、その期間内に終わらせれば良い。」
遅れを早めに取り戻してリカバリーできれば、「できる」という気持ちになりモチベーションも維持できますよ。

それでは、試験まで2週間、まずは学習計画を立て、合格に向けて前進していきましょう!

<著者紹介>

下釜 綾子(しもがま・あやこ)

簿記・会計の講師、公共職業訓練や専門学校講師、社長BOKIゲームシニアインストラクターとして活動。また、住宅設備会社の経理責任者を兼任し、実務も行っている。転職を機に会社員時代の経験を活かし、2010年よりキャリアアップを支援する職業訓練の講師として活動を開始。自身の苦手だった経験や実務での様々な経験を活かし多方面で小学生から簿記の指導を行っている。簿記教育を親しみやすくする取り組みとして「かんたん!イラストで分かる簿記」をTwitterにて配信を続け簿記の普及に取り組んでいる。
著書に、『イラストとマンガでわかる!はじめての経理のおしごと』(ソーテック社)、『わくわく!かんたん!イラスト簿記』(ネットスクール株式会社)がある。

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