【税理士試験 相続税法】合格発表をうけて:令和5年度試験で合格するために今からすべきこと


【編集部より】
さる11月30日に令和4年度(第72回)税理士試験結果が公表されました。
相続税法は、受験者数2,370人、合格者数336人、合格率は14.2%(昨年は12.8%)と、昨年から合格率が上がりました。
来年度の試験にチャレンジするにあたり、今からどのように取り組むと良いか、梨井 俊先生に当面の勉強のヒントを伺いました。

梨井 俊(税理士)

第72回(令和4年度)の合格率をみて

科目について

相続税法の合格率は14.2%。2,370人受験し、336人合格です。10年来記憶にないくらい高い合格率の年になりました。前年が12.8%。2,548人受験して325人合格なので、前年より受験者の数は減ったものの合格者数は多い結果となり、これ自体はポジティブなニュースとなっています。

この令和4年度試験についてはいい結果が出て「最後まであきらめないでよかった!」という感想を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。

年齢について

ひとつ、現場の感覚としてみなさんにお伝えしたいことがあります。相続税法も近年のニーズに併せて、ここ数年で30歳以下の受講生が増えている印象があります。
年齢別のデーターにおいても、勉強に充てられる時間が多いなどの理由から、若い受験生の合格率が高いことも、今回の合格率の一端にはなっているのではないかと感じています。

令和5年度本試験に向けて

時間管理・環境整備

この記事を書いているのが2022年12月1日。
令和5年度の本試験実施日が2023年8月8日~10日

まずはこれをしっかり頭に入れましょう。みなさんは平日に何時間、土日に何時間、そして直前期に一日あたり何時間、勉強に充てることができますか?

まだ直前期ではないので「逆算して」とまでは言いませんが、まずは3月頃までの4ヵ月間における「理想的な学習時間・理解度」と「現実の学習時間・理解度」を照合して、ギャップを把握し、自身の学習環境を整備していきましょう。

おそらく自身が思っているよりも学習は進まず、演習の点数も伸び悩むことになると思います。自分が頑張るのと同時に周りも頑張るので、平均点や上位30%の水準もどんどんレベルアップしていくのがこの時期です。

基礎力の充実

そして、3月終わり頃までに、しっかり基礎力の充実を図ってください。

理論は暗記までしていなくても「条文構成や用語、法律要件などをしっかり文章に落とし込める」こと、計算は「すべてのカテゴリーにおいて中レベルまでは素早く解答できる」こと。だいたいこんな感じです。

私はいつも、得点力には「上積み(プラスアルファの実践)」と「底上げ(基礎力の充実)」とがあるとお伝えしていて、おおむね本試験におけるAレベルまでは、この底上げ(基礎力の充実)で安定して取ることができます。年度によってはもうこれで合格できます。

そして、直前期に上積み(プラスアルファの実践)をして、合格をより確実なものにしていくイメージになります。

まずは、今ここから直前期までの期間における「周りのレベルと自分の立ち位置」をしっかり把握し、4月・5月以降にしっかりプラスアルファの理解を答案に取り入れるだけの余裕をつくりましょう。

まとめ

この記事を読んでいる皆さんはおおむね相続税法ではなくても、令和5年度の本試験を受ける方だと思います。

令和4年度の結果はどうでしたか。いい結果が出ているのであれば、しっかりそれを経験則とし、次回につなげ、残念な結果だったのであれば、しっかりそれを反省点・改善策として次回につなげましょう。

運の要素もありますが、合格にも不合格にも分析できる理由・要因はきちんとあります。

次回、しっかりいい結果が得られるように、引き続き応援しています!!

〈執筆者紹介〉
梨井 俊(なしい・しゅん)

税理士
大手専門学校で相続税法の講師を務めるかたわら、月次顧問を主な業務とする開業税理士。大学受験の学習塾で英語講師を8年間務めた経験から、学習法や覚える仕組みを資格試験の勉強にもあてはめ、活用法や座学と実務の違いなど、積極的に情報発信も行っている。

<あわせてオススメ! 梨井先生のバックナンバー記事>

【税理士試験 相続税法】「出題のポイント」公表を受けて:令和5年度試験で合格するために今からすべきこと

【書籍紹介】

『次こそ!税理士試験に合格する方法』(中央経済社)
本記事の執筆者である梨井俊先生の学習アドバイスをはじめ、合格体験記や独立開業日誌など会計人コースWebの記事に加筆・編集をしてまとめた1冊です。
ぜひご覧ください!

関連記事

ページ上部へ戻る