【税理士試験 法人税法】合格発表をうけて:令和5年度試験で合格するために今からすべきこと


【編集部より】
さる11月30日に令和4年度(第72回)税理士試験結果が公表されました。
法人税法は、受験者数3,454人、合格者数425人、合格率は12.3%(昨年は12.8%)と、昨年からやや合格率が下がりました。
来年度の試験にチャレンジするにあたり、今からどのように取り組むと良いか、新山高一先生に当面の勉強のヒントを伺いました。

新山 高一(東京CPA会計学院講師)

第72回(令和4年度)の合格率をみて

今年の本試験は、理論や計算で特殊な論点(清算の取扱いや事業年度1年未満の取扱い)が出題されたため、合格率は少し動くのではと予想はしていたものの、ほぼ例年どおりの水準でした。

今後の合格率については、令和5年度(第73回)税理士試験から受験資格が緩和されますが、合格率に大きな影響を及ぼすことはないと予想されるため、同水準で推移するかと思われます。

今後、当面の勉強方法について

理論について

ここ最近の試験は、法人税法の基本的かつ重要な制度を問う傾向にあります。

また、出題形式についても、①用語の意義を述べさせてその取扱いを問う出題、②事例形式での出題、③計上事由など計算で問われるような内容を理論で問う出題と千差万別です。
しかし、いずれにしても、勉強方法として全般的に言えることは、下記4つのポイントが重要です。

 用語の意義及び取扱いを重要性の高い論点からしっかりと押さえること
 押さえる際には、各規定の基本的な考え方もしっかりと理解すること
 計算とリンクさせてしっかりと押さえること
 ここ最近、改正が行われた論点を確認すること

特に、ポイントに関しては言うまでもありませんが、特にここ最近は「用語の意義」に関する出題が多いため、しっかりと押さえることを心掛けましょう。

また、ポイントの「各規定の基本的な考え方もしっかりと理解すること」は、事例形式での出題に対応することができるようになります。
ここ最近はあまり出題されなくなりましたが、事例形式の問題の場合、満点を取るのが難しい問題もあります。
その場合、合格点を取れる答案を作成することとなりますが、このとき、各規定の基本的な考え方をしっかりと理解していれば、”こんな取扱いかな?”というなんとなくの感覚で解答しても、意外とそれが合っていることも多いです。
もちろん、基本的な考え方をしっかりと理解すれば、各規定の取扱いも押さえやすくなるため、そういった意味でも、各規定の基本的な考え方をしっかりと理解することは大切です。

ポイントに関しては、計算で問われるような内容を理論で問われると意外と解答できない受験生も多いです。また、ここ最近の本試験では、事例形式の問題で、具体的な金額も併せて解答させるケースも増えていることから、計算とリンクさせてしっかりと押さえることを心がけましょう。

ポイントに関しては、今回の試験において、「近年の改正事項について関心を向けているかどうか」を問う問題が出題されていることからも、ここ最近、改正が行われた論点もしっかりと確認しておく必要があります。

計算について

計算に関しては、当然のことながら、基礎がしっかりとできていて、皆ができるところは落とさないことが重要です。
今回の試験では、事業年度が1年未満のため、注意するところがいくつかありましたが、租税公課や外貨建取引、役員給与、暗号資産は基本的な論点の出題で解答できるため、そういった論点は確実に解答できるようにすることが大事です。

となると、基礎をしっかり固めることが大切となりますが、基礎をしっかり固めるには、まずは個別問題集をマスターすること。それも1回だけではなく、できれば何回も解くことを心掛けましょう。

もちろん、個別問題だけ解けばよいというわけでもなく、各規定とのつながりを理解することも大切であることから、総合問題もしっかりと解くようにしましょう。
各学校の税理士講座を受講している場合、総合問題もいろいろな問題を解く機会がありますが、まずは練習問題をしっかりと解くことが大事です。
市販の総合問題集を購入して解くのも1つの方法でしょう。もちろん、定例試験や模擬試験、答案練習も大切ですが、これらはどうしても難しい論点が入ってくることから、基礎を固める意味では、練習問題が最適なのです。

また、今後は、ここ最近出題されていない項目や未出題項目の中で話題性のある論点も出題されることが予想されます。
そのため、ここ最近出題されていない措置法の税額控除(特に、賃上げ促進税制)や近年創設されたグループ通算制度は、要注意の論点であることから、しっかりと確認するように心掛けましょう。

<執筆者紹介>
新山 高一
(にいやま・こういち)
東京CPA会計学院卒業。卒業年の翌年に税理士試験に合格し、その後、同校の講師として、主に法人税法を中心に指導を行っている。初学者でも法人税法がわかりやすく理解できるように、日々奮闘している。
東京CPA会計学院 税理士講座ホームページ

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