【税理士試験】働きながら税法科目に一発合格するために「いつ」「何を」「どう」勉強すればいい? (マインド編)


ZENTA

【編集部より】
来年の税理士試験に向けた新年度が始まりました。といっても、8月に受験した科目の結果がわかるまでは、なかなかエンジンがかからない…。そんな人も多いハズ。
そこで、働きながら税法科目に一発合格したZENTAさんに、この時期の過ごし方についてご執筆いただきました。今回は、「マインド編」として、今の時期だからこそやっておきたいことをチェックしましょう!

合格発表までの過ごし方

毎年、8月上旬に実施される税理士試験。
受験生は、本試験当日を「Xデー」と捉えて考えて何ヵ月もの間必死に勉強し、試験に臨みます。しかし、合否が分かるのは試験から約4ヵ月後(令和4年度の試験結果発表は11月30日)。
かなり時間が空いてしまいます。

その4ヵ月の間、受験生はどう動くべきなのでしょうか。
勉強を続けるべきか、続けるとしてどの科目を勉強すべきか、そして今の時期はどんな勉強方法が適しているのか。
働きながら税法科目を全て一発合格で終えた経験から、この時期の過ごし方について振り返ります。

翌年の試験へのカウントダウンはもう始まっている!

実は個人的に、試験後から合格発表までのこの期間は、受験生にとって特に重要な時期だと思っています。
「重要」というのは、「ひたすら勉強を続ける」という意味ではありません。
「来年の試験日から逆算して、今できることを確認する」という意味です。

過去の経験から、試験後の心構えと、試験後にやっておいた方がいいと思うことについてお伝えします。

受験科目の自己採点をする

まずは、受験した科目の自己採点をして、自分の現在地を確認します。
税法科目に関していえば、受講した予備校が出しているボーダーの上下5点ぐらいであれば、次の科目に進んでいいと思います。

仮に不合格であったとしても、ボーダーに近い点数が取れる=基礎ができているということなので、年明けからの再学習でも本試験に間に合うからです(ミニ税法のみならず、法人税法などのボリュームのある科目でも同じです)。

残念ながら不合格だった場合、それまで勉強していた科目は一旦ストップし、今年受けた科目の再チャレンジに集中します。
働きながらの場合、税法2科目を勉強するのはかなり無理があると考えていました。

“二兎を追う者は一兎をも得ず。”
それまで勉強していた科目も、年内に基礎だけでも勉強しておけば、いずれ再開するときも楽なはずです。
一旦ストップしても、決して無駄にはなりません。

もちろん、受験科目の合格が確実で、次の科目も決まっていて年明けからの再開でも間に合いそうというのなら、年内は勉強しないというのもアリです。

1日のうち学習に充てられる時間を決める

スキマ時間なども積極的に使い、1日のうち勉強に回せる時間がどれくらいあるかを改めて確認します。
そして、ここが大事なのですが、日々の学習時間を記録し、この勉強時間を達成できたかどうかを、毎日モニタリングします。
こうすることで、毎日の勉強習慣を確立することができます。

勉強は“塵も積もれば山となる”。
一見遠回りに見えますが、少しずつでもコツコツと積み重ねていくのが一番の近道です。
ちなみにこの習慣は、年内のみならず試験日前日まで継続します。
大変だ、と感じるかもしれませんが、それぐらいの心構えがないと合格できません。

一度決めたら振り返らない

次の学習方針を決めたら、よほどのことがない限り、その方針を変えない方がいいと思います。
方針をコロコロ変えるのは、時間の無駄です。

年内のうちは、まだ時間があると思いがちですが、翌年の試験へのカウントダウンは、試験の翌日から始まっていることをお忘れなく。
のんびりしていると、すぐに年が明けてしまいます。

税理士試験の税法科目は、基礎期の理解が非常に重要ですので、年内でしっかり基礎を固めておけば、年明けからの学習にかなり余裕が持てます。
参考までに、私が法人税法を学習したときの方針を次回の記事(実践編)でまとめますので、あわせてご覧ください。

大事なのは「今のうちに翌年の試験を見据えた準備をすること」、そして「実はあまり時間がないということを認識すること」です。

暗記は“土づくり”、計算は“筋トレ”と心得る

合格発表までの約4ヵ月の間、税法科目の学習で私が意識していたのは、理論は「まずは暗記」、計算は「基礎期の内容を体に叩き込む」でした。
それぞれ、どういうことかご説明します。

まず、理論について。
理論は、以前の記事でも書いたように、論述構成が合格の秘訣だと思っています。
暗記(インプット)ももちろん必要ですが、それをいかにうまく答案に落とし込めるか(アウトプット)がより重要です。

暗記が“土づくり”なら、論述トレーニングは“コメづくり”。

暗記だけで終わるのは、土を耕しただけで満足し、コメを作らないのと同じです。
土を耕すのは、おいしいコメを作るためですよね。
理論学習もこれと同じ。最終的には、アウトプットの練習をしっかりと積んだ上で試験に臨むべきです。

ただ、そうは言っても、まずは暗記が必要。
当たり前ですが、覚えないことには書けません。

税法科目の理論は、よほどの天才でない限り、完全に暗記するまで相当の時間を要するので、この時期は暗記に重点を置くのがベターだと思います。
論述トレーニングは、いい土(暗記)ができてから。年明けからでも十分間に合います。

そして計算ですが、私は計算問題の演習は“筋トレ”で、本試験はオリンピックのようなものだと思っていました。
当然ながら、最初は全く解けませんが、分からないのは当たり前。解けなければすぐに答えを見ます。

これを何回も繰り返すうちに、解けるようになってきます(筋肉がついてきます)。
難しい問題は、今はどうせ解けないのであまり手を出さず、基礎問題を何回も解きましょう。

繰り返しになりますが、少しでもいいので毎日問題を解くことが大事です。
アスリートの方は、トレーニングを1日たりとも怠ることはありません。
我々もいわば“税理士試験”という全国大会で上位入賞を目指す、アスリートなのです。

明日掲載される次回の記事(実践編)では、私が法人税法を勉強していた時に実施していた、理論と計算の勉強時間の大まかな配分を示しています。
基礎期(年内)は、理論は暗記だけなので、理論よりも計算に時間をかけ、計算パターンを体に覚えさせる戦法でした。
年明け以降は、理論は暗記に加えてアウトプット練習を始めるので、理論の比重を増やし、半々ぐらいにしました。
直前期以降は、私は理論で稼ぐタイプだったので、さらに理論に力点を置き、アウトプットの練習をしっかり積んで本試験に臨む、というスタイルでした。
ぜひ次回の記事(実践編)も参考にしてください! 

<執筆者紹介>
ZENTA

税理士・大手税理士法人勤務。
税理士試験簿記論(2011年)、財務諸表論(2013年)に合格後は、海外赴任などで試験から遠ざかっていたが、2019年1月に勉強を再開。その後、国税徴収法(2019年)、消費税法(2020年)、法人税法(2021年)の税法科目に一発合格。2022年税理士登録。
官報合格後、地方税理士法人から都内の大手税理士法人へ転職し、現在に至る。
米国税理士(EA)試験の勉強中。
Twitter(@ZENTA01089218)
合格体験記(会計人コースWeb掲載) 


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