【公認会計士試験】資格の大原講師に聞く! 短答式試験リベンジのために今すべきこと「意識改革」と「敗因分析」


6月24日(金)、令和4年公認会計士試験(第Ⅱ回短答式試験)の結果が発表されました。

令和4年公認会計士試験第Ⅱ回短答式試験の合格発表等について

悔しい結果となった方は、12月の短答式試験に向けてリスタートをきる方が多いと思われます。

そこで、資格の大原講師の二葉 穣先生(管理会計論担当)に、当面の勉強のヒントを伺いました。

短答式試験に向けてまずやるべきこと

――不合格だった方が、12月短答に向けてまずやるべきことは何ですか?

二葉先生 全体点としてボーダーラインに近ければ近いほど、ボーダーラインを超えた科目もあれば、そうではない科目もあると思います。その場合は、ボーダーラインを超えた科目を伸ばすよりも、そうではない科目を修正することを優先してください。

今回、ある科目でボーダーラインに達したのであれば、それを10点上回らせるより先に、ボーダーラインより10点下回った科目に取り組む必要があります。公認会計士試験では、何かの科目で穴埋めをするのはやめたほうがよいです。

ボーダーラインに遠かった方は、Aランクの学習など「やるべきこと」をやりきれていなかった可能性があります。時間的な制約があったなど仕方のない面もあると思いますが、まずは周りの誰もがやっていることをやるためにどうすればよいかを考えましょう。そのうえで、合格するには最低限の学習時間を確保しなければいけないので、場合によっては、それができる環境に身を置くことも必要です。

――敗因分析をするとしたら、その際のポイントは何ですか。

二葉先生 科目だけではなく論点によっても得意不得意があるはずです。敗因分析は、苦手な論点を探す作業ですが、その際は、ある論点をポンと言われた場面を想像してみてください。そして、それがテキストのどこに書かれていたかを思い出してみましょう。

よく「理解しましょう」といった話をされると思いますが、理解したかどうかをどう判断するのか。1つの尺度として、「ある論点を掲げられたときに、それがテキストのどこにあったかをすぐにイメージできるか」があります。私の経験では、「それはテキストの○ページあたりに書いてあって……」というように、すぐに答えられる方は合格しています。たくさんテキストを読んだのに得点につながらなかったという方は、実際にはテキストの内容が定着していないので、これを1つの尺度に定着度合いをチェックしてみるとよいでしょう。

また、短答式試験は正誤問題で構成されているので、解答に納得できるかどうかもポイントです。「✕」だと思ったところが「○」なら「○」の理由に納得できるか。逆もしかりで、1つひとつの選択肢を丁寧に見直してみましょう。

各科目との向き合い方

――最近の試験傾向を踏まえて、各科目とどう向き合うとよいでしょうか。

二葉先生 あくまで最近で言えば、財務会計論と監査論で点数が取りやすい傾向にあります。基本的な問題が出題されるので、基本的なことをしっかり対策しておけば、合格点かそれを超える点数を取りやすいです。

一方で企業法と管理会計論ですが、まず企業法で点数を稼ごうと考えている場合は、努力量を1.5倍とか2倍にしないと、一定のラインから上乗せするのが難しいです。たとえばBランクに手を出す場合、それが出題されればよいですが、実際にはどこが出るかわかりません。10点を積み上げるために膨大な努力が求められる科目なので、どちらかというと、どんな問題でも最低ラインの7割が取れるように勉強したほうがよいでしょう。その結果、試験の難易度によっては8割に達することもあります。

管理会計論は、長らく言われていることですが、4科目の中で最も高得点が狙いにくいです。管理会計論が苦手な方は、試験でAランクの問題を取りこぼしている可能性が高いので、まずはAランクの知識を確実に身につけましょう。勉強にも順番があり、1から積み上げたら実力がつきますが、土台が完成していない状態でその上の勉強をしても崩れてしまいます。

また、時間的制約も厳しいので、問題を解けるけれど時間がかかるという方は、それなりに速く解けるように演習を繰り返しましょう。

このように、基本的な問題に対する「正確性」と「スピード」が身につくと、Aランクではない問題を見極める力がついてきます。管理会計論では特に、どの問題を解くかという「問題を見る目」が要求されます。Aランクを完璧に対策していれば、「Aランクの問題が出たら解いて、そうではない問題が出たら難しい」と判断できますが、Aランクの知識があやふやな方は、その問題がAランクなのか、Bランクなのかわかりません。試験問題には「Aランクに見えて実はBランク」という問題もあるので、まずは解けるAランクの問題を積み上げましょう。

それができたうえで、高地トレーニングとして、やや難しいBランクの問題に取り組むのはおすすめです。ただし、本番でその問題が出たときの対策というよりは、その問題を解くことでAランクの問題の解答の精度が高まると考えてください。「Bランクで高地トレーニングをすることでAランクの土台がより固まる」という関係性です。管理会計論の目指すべき戦い方として、このような意識はもっておくとよいでしょう。

――最後に読者へメッセージをお願いします。

二葉先生 勉強していると不安になることも多いと思います。しかし、不安になるということは、それだけ一生懸命、公認会計士試験合格に向けて戦っている証拠です。そんな自分を誇りに思って、自信を持って学習を進めてください。不安を感じることは決して悪いことではありません。また、不安だからこそ、やるべきことを明確にして、気持ちに左右されずに勉強していきましょう。応援しています。

――励みとなるメッセージをありがとうございました。

〈お話を伺った方〉
二葉 穣(ふたば・ゆたか)

東京理科大学理工学部情報科学科卒業。学校法人大原学園(資格の大原)教育事業部第2教育部長。2008年公認会計士試験合格。公認会計士講座管理会計論担当講師。
マネージャーとして資格の大原公認会計士講座の運営全般に携わり、「一発合格主義」を掲げた講座は初学者合格者割合50%を超える。上級一発合格者も多数輩出。プレイヤーとして管理会計論の教室収録講義を長年担当し続けており、できる限り受験生に近い立場で講座運営をすることを心掛けている。

HP:https://www.o-hara.jp/
Twitter:https://twitter.com/o_hara_kaikei


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