問題を「読む」だけで「計算力」がつく! 繁忙期の「読解力」トレーニングのすすめ


堀川塾塾長 堀川 洋

【編集部から】
会計事務所等に勤める受験生にとって、繫忙期は時間を確保して「計算」の勉強をするのが難しい時期でもあります。
じっくりと机に向かって問題を解くことができず、スキマ時間に「理論」を覚えるので精一杯という方も。
しかし、だからといって「計算」を疎かにしてはいけません。
そこで、スキマ時間に効果的な「計算」の勉強法について、堀川洋先生(堀川塾塾長)にアドバイスをいただきました。

「計算力=電卓操作力」ではない!?

計算のスピードや正確性には電卓操作力が関係していると考えていないでしょうか? 

実際、計算ミスが多く得点が伸びない原因を、こう考えている受験生が多いのも事実です。

しかし、実は計算力には「問題文の読解力」が関係しています。

皆さんも経験があると思いますが、個別問題なら落ち着いて解けるのに総合問題になるとなぜかミスが多くなる。

これは、「制限時間」という大きなハードルもありますが、それ以前に「問題文を正確かつ迅速に読み取るスピードが欠如している」ことが原因です。

このことは総合問題を解くうえで大きな盲点となっており、受験生の多くがこの事実に気がついていません。

総合問題を読む「トレーニング」を始めよう

では、総合問題を正確かつ速く読むためには、どのような学習をすればよいのでしょうか。

これは、ある意味では「学習」というよりも「訓練」のようなものかもしれません。

ベストセラーになった本で、赤い帽子にボーダー柄セーターのメガネをかけた主人公を探すものがありますね。皆さんも一度は目にしたことがあると思います。

実は皆さん、総合問題を解くなかで、これと同じようなことをしているのです。

それは何かというと、総合問題を読みながら計算に必要な金額や要件をできるだけ速く選定し、計算式につなげるという作業です。

いやいや、絵本と国家試験を同列にしないでくれと考えるかもしれませんが、決してそうではありません。

なぜ、読解力が上がれば計算が速く解けるのか?

人間の体では五感と脳、さらに運動神経が複雑に関係しあっています。皆さんが計算問題を解くとき、体はどう動いているでしょう。

まず目(視覚)を通じて資料から条件を収集し、これが脳に情報として伝達されます。この情報を脳で理解すると、運動神経と連動し、電卓を操作するとか文字を書くといった作業につながっていきます。

こう考えると、どんなに正確な計算式を導き出しても、いくら電卓を速く操作しても、最初の入り口である「情報の収集と理解」が迅速にできなければ、問題を速く正確に解くことはできない、ということがわかると思います。

つまり、問題を読むことで読解力を上げる訓練が必要になってくるのです。

読解力トレーニングはスキマ時間でできる

この問題の読解力を上げる訓練は、決して机に向かって行う必要はありません。

電車での移動時間やちょっとした待ち時間など、“スキマ時間”にも問題文を読むことは可能です。

理論暗記ならともかく、計算問題を読むだけで本当に学習効果があるのか? と疑問に思うかもしれませんが、これだけでも間違いなく計算力は身につきます。

問題を読むだけでも立派な「学習」です。スキマ時間に行うことで学習の継続につながり、問題を読み込むことで解答に必要な箇所を見つけ出す力を養うことができます。

次のページから、具体的なトレーニング方法をご紹介します。


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