【税理士試験】「答練」「模試」120%活用術(後編)


税理士 堤 昭博

答練の解き直し方

前回の記事では、答練や模試をどう受けるのか、色々と考え方をお伝えしてきましたが、答練の解き直しはどうするべきでしょう。私は次ように解き直していました。

① 理論は書かない

理論の解き直しは柱上げだけで十分です。問題をきっちり読んで、理論の柱だけ計算用紙に書いておしまいです。柱上げができれば内容はわかっているので、内容を書いている時間があれば、他の復習の時間に充てましょう。

② 計算はミスノートを作る

計算は必ずミスノートを作りましょう。私は、小さめのノートの1ページごとに1項目ずつ間違えた箇所を記載していきました。こうすることで、そのページのミスをしなければ読み飛ばせばよく、視覚にも入りやすくなります。毎回、模試の前に間違えやすいページだけを見て視覚で覚えていきます。

答練の順位について

答練の順位はよいに越したことはないですが、意識しすぎても意味はありません。特に全国模試の順位は気になるところですが、気にせずにいきましょう。D判定でも合格したりします。私も私の周りもそうでした。

仮に判定が悪くても、税法などですと覚えていない理論が出ると、点数も判定も一気に下がります。しかし、まだ本番ではないのですから、本番までに覚えればよいだけです

順位が悪かったのを気にして諦めてしまったり、順位がよくて変に余裕をもってしまったりしたら合格が遠のくだけです。そのため、答練や全国模試で点数が悪かったのはどこが原因だったのかを考え、本試験までの残り日数でその原因をなくすように勉強のスケジュールを立てていきましょう。

私は消費税法のとき、理論の暗記が全国模試までに間に合わずひどい順位でしたが、本試験までに全部覚えるスケジュールを立てていたので、無事合格することができました。本試験までに間に合えばよいのです。

ただ、ケアレスミスで点数を落として順位が悪かったときは気にしましょう。ケアレスミスが多い人は、実力はあるのに読み飛ばしなどが癖になっている可能性があります。これは復習や暗記で点数が伸びる状態ではありません。ケアレスミスが多い人は、なぜケアレスミスをしたのか解き直しのときに確認しましょう。

そして、その原因をミスノートに記載しておきます。問題を1行読み飛ばしていたら、「1行読み飛ばしていた、ペンでなぞりながら読む」などと書きましょう。そして、次に問題を解くときはミスノートを見てから解きはじめましょう。そうすると、1行読み飛ばさないようにしようと意識することができます。

最後に

税理士試験は諦めなければ合格する試験ですが、年に1度の試験で実力を出し切らないといけません。答練の解き直しで総合問題に慣れて、その緊張感のなかでも、本試験で普段の実力が発揮できるようにしましょう。

ここまでお伝えした内容が、読んでくださった税理士受験生の皆さんの合格に少しでもお役に立てば幸いです。本試験までに何度も答練を解き直し、自信をもって本試験に臨んでください。皆さんの合格を祈っています。

〈執筆者紹介〉
堤 昭博(つつみ・あきひろ)
大学在学中から税理士試験の勉強を始め、2科目合格後に名古屋の税理士法人へ就職。
働きながら残りの3科目に合格するも合格までに14年を費やし、2015年3月に税理士登録。
2018年9月に15年勤務した税理士法人を退職し、同年10月に愛知県岡崎市にて堤昭博税理士事務所を開業。現在、法人のお客様を中心に活動し、金融機関の職員の方へのセミナー講師などもしている。
自身の長い受験経験からの勉強法や趣味の空手のことなどを気ままに書いているブログ「笑じわブログ。」を運営中。

※ 本記事は、会計人コース2019年5月号掲載「「答練」「模試」120%活用術」を編集部で再編集したものです。バックナンバーはこちらからお買い求めください。


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