【日商2級から税理士へ ステップアップ会計教室】第12回:特殊商品売買④


<解 答>

(単位:円)

 借 方 科 目金 額貸 方 科 目金 額
仕入 60,000買掛金60,000
試用販売契約*1 93,750試用仮売上93,750
売掛金  65,000試用品売上 65,000
試用仮売上65,000試用販売契約65,000
試用仮売上 10,000試用販売契約10,000
繰越商品*2 18,400仕入18,400

*1 試用未収金や試用販売売掛金として記帳することもあります。
*2 対照勘定法により処理した場合の決算整理前残高試算表の一部を示します。

まず、試用販売契約と試用仮売上は、対照勘定のため金額は貸借一致し、顧客の買取意思表示や拒絶の都度、上記②の仕訳を逆仕訳して取消します。
上記③の仕訳を見ると、売上高総額93,750円のうち顧客の買取意思表示に見合う額の試用品売上高だけ分割して計上されています。
このことから、対照勘定法は総額分割法とも言われています。
そこで、売上原価についても試用品売上高65,000円に対応する額41,600円を計算して損益計算書に表示する必要があります。  
決算整理前残高試算表には仕入残高60,000円が示されていますので、これを試用品売上65,000円に相当する売上原価の金額になるよう、決算で仕入残高の金額を修正しなければいけません。
この計算方法には2つあります。
1つめは仕入残高60,000円について試用品売価総額と試用品売上を按分して売上原価を計算する方法です。
これは次のように計算します。

2つめは、試用販売契約または試用仮売上の金額を原価に修正して、その試用品原価と手許商品の金額を加算して期末商品棚卸高を計算する方法です。
決算整理前残高試算表の試用販売契約と試用仮売上18,750円は顧客に試送した商品のうち未だ買取意思表示がない部分です。
つまり、18,750円は試用品の期末商品棚卸高の売価額となります。
そのため、18,750円に原価率を乗じることで原価に修正することができます。
これは、次のように計算します。

期末商品棚卸高:12(期末試),000(用品原価)円+6(期末),400(手許商品)(原価)18(期末商),400(品棚卸高)

この方法では①の式を見ると、商品は顧客へ引渡済みなのですが、手許に商品が18,400円あるかのように見えます。
そのため、対照勘定法では期末の試用品原価と手許商品原価を加算した金額で繰越商品勘定により仕訳をすることになります。
試用販売は、代金を回収した時点または販売が確定した時に試用品売上高へ計上するといった、収益の認識を慎重に行うという保守的な会計思考が強くでていると考えられます。


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