私の独立開業日誌~税理士 板倉圭吾


イクメン税理士の営業術

 独立後は新しいお客様への関与も増えています。現在では北海道内だけではなく、東京都内や西日本にも顧問先があります。

 クラウドツールは税理士業務を創造的にすることができます。従来の毎月訪問よりも本質的な価値を遠隔地にも提供することが可能になりました。また、ITやAIの進化は「お客様に選ばれる」ことを税理士側に要求しているのではないでしょうか。税務知識以外でお客様にアピールできることを考えましょう。

 私の場合は、これまでの職業経験を踏まえた税務・財務・労務のトータルサポートと、私自身が家事・育児と仕事のバランスを日々試行錯誤している点がアピールポイントです。イクメン税理士であることをブログ投稿したり、ご飯支度の様子をTwitter発信したりしていることも好影響だと思います。

 加えて、「家事育児にかまけて、自宅事務所でやるなんて頼りない。事務所を借りて従業員が電話番をするべきだ、喝だ。」というご意見の方が寄ってこないようなバリアを張っています。名刺の字を小さくして読みづらくするとか、電話番号を載せないとか…。理想のお客様は、名刺はスキャンして管理、初めて会う前にブログを読んでくださる、電話ではなくメールで連絡を取ってくださる、そういう方です。

 他には、クラウド会計freeeのコミュニティリーダーとしての発信も挙げられます。会計ベンダーとは距離を置いた手弁当の活動ですが、全国の先進的な会計人と仲間になれて、そこでの知見を関与先にフィードバックしております。

イクメン税理士の働き方

  • 「電話対応は緊急時限定」と契約書に明記し、チャットワークなどでやり取り
  • 月曜日午前中のアポイントは入れない(子どもの発熱など体調不良が多いので、在宅作業と決めています)
  • 週の税理士業務は30時間以内で計画する
  • 仕事時間は現在の関与先最優先(生保などの営業対応や新規客対応は時間の上限を作る)
  • 人生の時間は家族最優先(週末ゴルフしない)

 これが、イクメン税理士の働き方です。

 幸いお客様にはご理解をいただいており、独立時に胸に誓った「育児も、税理士としての価値提供も妥協しない生き方」を実践中です。

受験生の皆様へ

 科目選択は悩みますよね。王道の国税3法に挑むもよし、大学院での研究もよし。科目選択は「将来のキャリア」と密接な関係があります。私自身、国税徴収法と論文免除で税法をクリアしたので、お受けできる業務に制約があるのは確かです。もちろん、合格後もOJTで研鑽を積めます。私はこれからも勉強を続けて生涯かけて自身の価値を高めます。

 他方、登録税理士か否かは「生き方」に密接に影響します。すでに二児の父であった私は最速での合格を選びました。図らずもライフイベントによってイクメンひとり税理士の生き方を選ぶことになりましたが、家族の近くで仕事ができ、望んだ生き方ができていると日々実感しています。やりたくない(電話対応とか)ことをやらずに済むのは、メンタルも安定します。「なぜ税理士になりたいのか」は、「どう生きたいのか」につながります。毎日の勉強前に自分に問いかけるルーティンを持つことで質の高い勉強を継続しましょう。

私の事務所
板倉圭吾税理士事務所
所在地:063-0826 北海道札幌市西区発寒6条14丁目
ブログ: http://it9r.com/
Twitterハッシュタグ #イクメン飯

私の略歴
2000年 北海道銀行入行
2002年 厚生労働省北海道労働局奉職
2014年 税理士試験合格
2016年 鈴江誠税理士事務所入所/税理士登録
2017年 独立開業

本稿は、『会計人コース』2020年2月号に掲載したコラムです。

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