【編集部から】
士業の魅力は、独立開業できることにもあります。「将来は独立」を目標に合格を目指している方も多いのではないでしょうか。
そこで、「わたしの独立開業日誌」では、独立した先輩方に事務所開業にまつわるエピソードをリレー形式でお話しいただきます(木曜日の隔週連載)。
登場していただくのは、税理士・会計士をはじめ、業務で連携することの多い士業として司法書士や社労士などの実務家も予定しています。
将来の働き方を考えるヒントがきっと見つかるはずです。
広島県呉市で行政書士として活動
はじめまして。
広島県呉市で行政書士を開業しております服部信男と申します。
コンピュータ系専門学校卒業後に、情報処理技術者として社会にはばたく・・・予定でしたが、バブル崩壊に伴う不景気で思うように就職ができずに、いきなり紆余曲折を経験することになりました。
思い描いたようにプログラマーから上流SEになれていれば、今現在、行政書士として開業することはなかったでしょう。
結果的によかったかもしれないと今は思っています。
ここでは、私の独立開業についてお話させていただきます。
氷河期世代。縁あって病院のシステム保守運用に従事
私は昭和48年生まれ、少年時代をファミコンとともに生きた世代で、小学生時代からBASIC言語を覚えて簡単なゲームを作って遊んでました。
ゲームプログラマーになれればいいな、なれなくてもシステム系の仕事がやりたいと考え、コンピュータ系専門学校3年課程を卒業したものの、先に書いたように就職先がなかったため、何でもいいので就職した看板会社を30日で辞めるところが社会人のスタートでした。
その後に京都のIT系エンジニア派遣会社に正社員として就職し、開発ではなく保守運用の仕事をすることになりました。
そこで結果的に会社員として最も長く関わることになる病院システムの保守運用と出会うことになります。
病院というと、病気を治療するために誰もが訪れたことがあると思います。
これを組織としてみると、医師、看護師、検査技師、リハビリ技師、管理栄養士などの国家資格保持者がそれぞれの領分でそれぞれの仕事をこなしていることになります。
ですので、普通の会社とは職場環境が違うんですね。
病院の方は、自分の仕事について皆さんプライドを持っているので、システム管理者としては気を使う場面が多くありました。
ただ、私とは相性が良く、20代のほとんどと30代終盤から40代中盤まで病院のシステム管理者の仕事をしていました。
30代は自分の可能性を探りたく、営業職にも就きました。
結果、うまくいかずに病院のシステム管理者に戻りました。
病院では、医師や看護師といった専門職から、システムについての質問や問い合わせを受けます。
病院内で各専門職がどういう仕事をしているのかを理解しないと、わかりやすく説明できません。
私は、病院内で行われていることを職種ごとに整理し、時には現場をチラ見しながら、院内関係図みたいなものを頭の中でイメージとして構築していました。
このやり方は今の行政書士業務にも生かせていると考えています。
行政書士試験に一発合格、資金を2年間貯めて開業
ただ、営業職を辞めた後に就職した病院のシステム管理の会社について、次第に不満を持つようになります。
ざっくりいえば、会社が求める人材像に合わせられませんでした。
素直で愛想よくふるまえる人が求められているのに、技術職の意識が強い私は、どうしても無愛想になってしまいます。
「資格を取ろう」と考え、44歳の時に行政書士試験の勉強をスタートし、45歳で一発合格できました。
性格的に独学は合わないと思ったので通信講座を利用しましたが、「よく受かったな」と今でも思います。
利用した通信講座との相性が良かったのでしょう。
合格後は、開業資金を貯めるためさらに2年間会社員を続けました。
(その間に司法書士試験も2度受けましたが、不合格でした。)
そして、目標金額に達したので、会社を辞めて2022年2月に地元の広島県呉市で開業しました。
なかなか仕事がない日が続くも、自動車業務に携わるように
開業直後は、事業復活支援金の登録確認機関となり、約40件の依頼がありました。
しかし、それが終わると仕事がこない日が続きました。
ホームページを作っているのですが、最初はなかなか効果がでません。
同時期に開業し、今も仲良くしている同業者から、自動車業務を勧められました。
「このサイトに登録したら年100件依頼が来るらしい」と聞き、ほんとかなと思いながら半信半疑で登録しました。
そして、自動車業務をするならと、自動車関係のサイトを調べて片っ端から登録しました。
1件目は、紹介されたサイトに登録してから1週間くらい後に来ました。
それからも、時折依頼が入るようになりましたが、月4~5件程度なので収入は多くありません。
幸い、広島で自動車業務大手の行政書士法人から依頼が来ました。
片っ端から登録した中に、その法人が運営しているサイトがあったのです。
大手の行政書士法人からの依頼をこなすと、呉市近郊の車庫証明については当事務所を紹介して頂けるようになり、依頼が徐々に増えていきました。
これから
有難いことに、今でも広島の大手行政書士法人からの依頼が来ています。
丁種封印会員にもなり、少しずつですが繰り返し依頼してもらえるカーディーラーさんが増えてました。
今は、相続と成年後見、VISA関連にも力を入れ、どう依頼を増やすか模索しています。
今後は終活にも手を伸ばしたいと考えています。
地方都市で開業しているので、特に専門を持たず、来た依頼に全力で対応しています。
「初めての転職で職務経歴書が書けないので作ってほしい」というような行政書士業務以外の依頼もありました。
(職務経歴書は書き慣れているのでうけましたが、行政書士業務ではない・・・(笑))
現在、ホームページかネットサービスからの依頼がほぼ100%です。
金だけとってろくに効果のないサイトも多くあるので、ネットサービスの見極めも大事です。
リピートしてくれる依頼者を増やすことが、安定した事務所経営につながります。
それゆえ、来た依頼には全力で立ち向かうスタンスで頑張っています。
<プロフィール>
服部信男(はっとり・のぶお)
すいせい行政書士事務所代表
所持資格:行政書士、診療情報管理士、日商簿記3級、第2種情報処理技術者
福井県小浜市生まれ、広島県呉市育ち。
仮死状態で生まれ、退院後は呉市で過ごす。
趣味は動画サーフィンや野球観戦。広島カープ大好きです。
行政書士として業務範囲を広げるため、日々勉強続行中です。