わたしの独立開業日誌 #税理士・中山亜紀


【編集部から】
士業の魅力は、独立開業できることにもあります。「将来は独立」を目標に合格を目指している方も多いのではないでしょうか。
そこで、「わたしの独立開業日誌」では、独立した先輩方に事務所開業にまつわるエピソードをリレー形式でお話しいただきます(木曜日の隔週連載)。
登場していただくのは、税理士・会計士をはじめ、業務で連携することの多い士業として司法書士や社労士などの実務家も予定しています。将来の働き方を考えるヒントがきっと見つかるはずです。

税理士試験との出会い~会計事務所に就職

はじめまして。名古屋で税理士をしている中山亜紀と申します。
平成24年9月より名古屋の会計事務所(のちに税理士法人化)に勤務し、令和3年3月に税理士登録、同年12月に独立しました。

プロフィール写真

大学卒業後、もともとは事業会社で営業職として働いていました。当時の仕事内容は自分に合っていましたが、待遇面などを考えると、定年まで働く自分の姿を想像することができませんでした。

ちょうどその頃、大学時代の同期が転職するなど、周りの人達が人生の転機を迎えており、私も社会人3年目に今後の人生を考えるようになりました。
他人に頼らずに生きていけるようになりたいと思った私は、「自分で稼げる力を身につけたい」と感じたのです。

そのためには、
・起業して人を雇う
・稼げる資格を取る
のどちらかだろうと考えましたが、自分に秀でたものもなく起業のノウハウや資金もなかったため、前者は現実的に難しいと思い、後者に絞りました。

どんな資格があるのかを私なりに調べていたところ「税理士」という資格を目にしました。

当時の私の税理士に対するイメージは、「机に向かってひたすら税金を計算する人」でしたが、実際に税理士の仕事について調べてみると、営業とデスクワークが半々といった印象だったため、それまでのイメージからはガラリと変わり「自分に合っているかも」と感じました。

当時25歳だった私は簿記の知識がなかったため、まずは簿記3級の勉強からスタートし、簿記2級の勉強まで済ませたところで税理士試験の勉強を開始しました。数か月後には受験勉強に専念するため、会社も退職しました。

退職してから2年間は受験勉強に専念しましたが、1科目(消費税法)しか合格することができませんでした。2年目の受験が終わったあと会計事務所に就職し、その事務所では独立するまでお世話になりました。

働きながら大学院進学

会計事務所に就職してからは勉強時間を確保することが難しくなったり、モチベーションを保てなかったこともあったため、勉強できていない時期もありました。
そんな中、大学院を経て税理士資格を取得した人の話などを聞き、私も大学院進学という選択をしました。
働きながら通っていたので体力的にも精神的にもギリギリでしたが、なんとか2年で修了することができました。

大学院修了後、財務諸表論と簿記論に合格し、税理士試験からも卒業することができました。
特に簿記論は「一生受からないのでは?」と思うほど苦戦したこともあり、官報で自分の名前を確認したときは「やっと税理士試験から解放される」とホッとしたのを覚えています。

税理士試験合格から独立までの経緯

令和2年度の税理士試験に合格し、当時勤務していた税理士法人で税理士登録をすることになりました。
登録の準備を始めようとしていたところ、手術を要する病気が発覚し、令和3年1月に入院することになってしまいました。
まさか、病院のベッドで税理士登録に必要な書類を作成するなんて思ってもいませんでしたが、令和3年3月、無事に税理士登録が完了しました。

所属税理士として半年が過ぎた頃、以前から独立したいと思っていたこともあり、事務所に独立の意向を伝えたところ快諾して頂けました。

その日に異業種交流会に参加することにしていたのですが、行きの道中で車に轢かれてしまい、全治半年の大怪我を負ってしまいました(今となっては良いネタとなっていますが…)。
翌日からは、通常業務に加え、病院にも通いながら、独立に向けての準備を進めました。

そして、令和3年12月、晴れて開業することができました。

独立にあたって用意したもの

独立するにあたり購入したものは、パソコンやプリンターなどいたって一般的なものです。
応接セットも購入しようと思っていましたが、たまたま弟がダイニングテーブルなどを捨てるというので引き取り、出費を抑えることができました。

また、車を持っていなかったため中古車を購入し、名刺は堅いイメージにしたくなかったため、女性らしいデザインで作りました。

独立後の働き方について

独立するとスケジューリングが自由になるため、時には深夜に仕事をし、時には平日に休んでみたり、自由に働いています。また、独立するまで経験できなかったこともたくさんあります。

例えば、租税教室の講師、税務署職員との意見交換会参加、それから、この独立開業日誌の執筆。
これからも多くの経験ができると思うとワクワクします。

普段使っている文具やコスメ

事務所の方針について

現在の事務所の方針は、「無理して事業拡大しない」です。
働く上で私が最も重視しているのは、自分の心身の健康です。入院した経験を通し、心身の健康があってこそ自分らしく働けるのではないかと感じています。

また、SNSで新しい情報をチェックするようにしています。SNSを通じて士業の先生方とコミュニケーションをとることも多いですし、開業されている先生方の生の声をタイムリーにキャッチすることができます。

情報に敏感になり、クライアントへも有益な情報を届けられたらと思っています。積極的な営業はしていませんが、ありがたいことに知人の紹介やSNSなどから少しずつクライアントを増やすことができています。

独立したいと思ったら、とりあえずやってみる!!

税理士資格を取得したあとは、所属税理士として働くのか独立するのか悩む方も多いと思います。

私も最初は所属税理士として税理士登録しましたが、同年代で独立している先生達の話を聞いていると、みんな生き生きとしていて羨ましく感じていました。

独立するなら早い方が良い!!と感じてから私はすぐに行動に移しましたが、正解だったと思っています。

行動に移せば自分の世界は広がりますし、多くのことを経験することができます。

開業してからまだ1年と少しですが、これからも自分が自分らしくいられる働き方を常に模索しながら生きていきます。

受験生のみなさん、勉強は大変ですし心が折れそうになることもあると思いますが、どうか自分を大切にしながら「合格」を勝ち取って下さい!! 応援しています!!

筆者紹介
中山 亜紀(なかやま・あき)

名古屋税理士会中川支部、名古屋青年税理士連盟、全国女性税理士連盟西日本支部、日本FP協会所属。大学卒業後に事業会社に就職したものの、一念発起し、税理士試験受験を決意。その後、名古屋の会計事務所に転職し、令和2年12月税理士試験合格、令和3年3月税理士登録、同年12月に独立開業。主に小規模法人や個人事業主の税務顧問業務に携わる。
・Twitter (@aki_tax)

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