【税制改正大綱公表!】令和4年度税理士試験に与える影響は!?


令和4年度税制改正大綱が12月10日に公表されました。

主な内容は各種メディアでも報じられていますが、受験生が気になるのは「税理士試験に影響はあるの?」ということ。

そこで税理士の井上幹康先生に、今年度の税制改正大綱が税理士試験(法人税法・消費税法・所得税法・相続税法)に与える影響を「影響度大☆☆☆~影響度小☆」でまとめていただきました。

井上先生いわく、今回の大綱については、直近の税理士試験に特段大きな影響を与えると思われる改正は少ないようです。

ただし、どのような改正が行われるのかを知っているか知らないかでは、試験対策の充実度も変わってきます。

ぜひ今後の学習の参考にしてみてください。

法人税法
消費税法
所得税法
相続税法

「令和4年度税制改正大綱」全文はこちらから

法人税法

【影響度☆☆☆】所得拡大促進税制の改正(大綱p48)

中小企業向けの所得拡大促進税制につき、税額控除率の上乗せ措置を以下の通り拡充した上で、適用期限が1年延長されます。

①雇用者給与等支給額の比較雇用者給与等支給額に対する増加割合 ≧ 2.5%
⇒税額控除率+15%

②教育訓練費の額の比較教育訓練費の額に対する増加割合 ≧ 10%
⇒税額控除率+10%

この税制を適用している中小企業は多く、制度自体の重要性は税理士試験上も実務上も高いので、影響度は大としました。

【影響度☆☆】貸付用資産の損金算入制限(大綱p59、65)

少額減価償却資産の特例や一括償却資産の3年均等償却の対象から貸付用資産が除外されることとなります。なお、貸付事業が主要な事業として行われている場合は除外されません。

これは、ドローンのレンタルや建設現場の足場レンタル等として巷で行われていた節税封じのために行われる改正であり、こうした節税を使っていなかった企業にはほぼ影響はないと思われますが、税理士試験的には計算問題などで軽く出題しやすいかと思い、影響度は中としました。

【影響度☆】人材確保等促進税制の改正(大綱p47‐48)

大企業向けの人材確保等促進税制につき、継続雇用者給与等支給額の継続雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が3%以上の場合に、控除対象雇用者給与等支給増加額の15%の税額控除ができる制度に改正されます。なお、税額控除率の上乗せ措置もあわせて改正(拡充)されます。

個人的には適用要件の1つとして、「資本金の額等が10億円以上であり、かつ、常時使用する従業員の数が1,000人以上である場合には、給与等の支給額の引上げの方針、取引先との適切な関係の構築の方針その他の事項をインターネットを利用する方法により公表したことを経済産業大臣に届け出ている場合に限り、適用がある」とされている点が若干気になりますが、税理士試験でここまで資本金の大きな企業を想定した問題がでるかな? と感じたため、影響度は小としました。

【影響度☆】大企業につき研究開発税制その他生産性の向上に関連する税額控除の規定(特定税額控除規定)の適用停止措置の見直し(大綱p48)

資本金の額等が10億円以上であり、かつ、常時使用する従業員の数が1,000人以上である場合及び前事業年度の所得の金額が零を超える一定の場合のいずれにも該当する場合には、継続雇用者給与等支給額に係る要件が若干厳しくなります。

ただ、こちらも上記の「人材確保等促進税制の改正」と同様の理由で、税理士試験への影響度は小としました。

【影響度☆】100%子会社からの受取配当等に係る源泉所得税の改正(大綱p26)

完全子法人株式等(株式等保有割合100%)に該当する株式等に係る配当等について所得税を課さないこととし、源泉徴収も行わないこととされます。

令和5年10月1日以後に支払を受けるべき配当等について適用するとされており、直近の税理士試験への影響は小さいと思われますが、適用開始後は、誤って源泉徴収しないように注意する必要があり、法人税の所得税額控除にも関係しますので、実務上も試験上も重要性が高まってくると思われます。

消費税法

【影響度☆】適格請求書等保存方式(インボイス制度)に係る見直し(大綱p71‐73)

消費税法の改正としては、インボイス制度絡みの改正がいくつか行われるようですが、いずれも令和5年10月1日以降の話がメインですので、直近の税理士試験への影響度は小としました。

所得税法

【影響度☆☆☆】住宅ローン控除の改正(大綱p16‐17)

住宅ローン控除について、適用期限(令和3年12月31日)を令和7年12月31日まで4年延長するとともに、以下の措置等が講じられます。

① 住宅の取得等をして令和4年から令和7年までの間に居住の用に供した場合の住宅借入金等の年末残高の限度額(借入限度額)、控除率及び控除期間について見直し

② 適用対象者の所得要件を2,000万円以下(現行:3,000万円以下)に引き下げ

住宅ローン控除自体は実務上の重要性も高く、税理士試験への影響も大きいと思われます。

【影響度☆】上場株式等に係る配当所得等の課税の特例の改正(大綱p27)

内国法人から支払を受ける上場株式等の配当等で、その支払を受ける居住者等(対象者)及びその対象者を判定の基礎となる株主として選定した場合に同族会社に該当する法人が保有する株式等の発行済株式等の総数等に占める割合(株式等保有割合)が3%以上となるときにおけるその対象者が支払を受けるものを、総合課税の対象とするとされています。

令和5年10月1日以後に支払を受けるべき上場株式等の配当等について適用するとされており、直近の税理士試験への影響は小さいと思われますが、適用開始後は、実務上も試験上も若干注意を要する改正かと思われます。

相続税法

【影響度☆☆】住宅取得資金贈与の非課税措置の改正(大綱p33‐34)

贈与税の非課税措置である住宅取得資金贈与の特例につき、適用期限(令和3年12月月31日)が令和5年12月31日まで2年延長されます。さらに、非課税限度額が、住宅用家屋の取得等に係る契約の締結時期にかかわらず、住宅取得等資金の贈与を受けて新築等をした住宅用家屋の区分①②に応じ、それぞれ以下の金額までとされます。

① 耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋 ⇒ 1000万円

② 上記以外の住宅用家屋 ⇒ 500万円

実務上も比較的よく使われている制度ですので、税理士試験への影響度は中としました。現行制度の非課税限度額よりもシンプルになるので、この制度だけで見れば理論暗記の負担等は減るのではないかと思われます。

【影響度☆】非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予の特例制度(法人版事業承継税制)の改正(大綱p34)

こちら、特例承継計画の提出期限が1年延長されます。改正内容的には税理士試験への影響は小でしょう。

〈執筆者紹介〉
井上 幹康(いのうえ・みきやす)
税理士・不動産鑑定士
1985年生まれ、群馬県沼田市出身。
早稲田大学理工学部応用化学科・同大学院卒、在学中に気象予報士試験合格。
2010年にIT系上場企業入社、経理実務全般を経験。2012年に税理士法人トーマツ(現デロイトトーマツ税理士法人)高崎事務所に入社、東証一部上場企業を含む法人税務顧問、組織再編、IPO支援、M&Aの税務DD業務、セミナー講師、資産税実務を経験。
2018年に税理士として開業、2021年に不動産鑑定士として開業。
月刊『税務弘報』(中央経済社)社や、朝日新聞が運営する「相続会議」への寄稿など多数。
著書に『税理士のための不動産鑑定評価の考え方・使い方』(中央経済社)がある。

井上幹康税理士不動産鑑定士事務所
note(税理士試験・不動産鑑定士試験に特化した記事を配信)


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