【税理士試験】専門学校講師が伝授する 「ミニ税法」攻略のキホン


並岡 雅人
(資格の大原 税理士講座 講師)

【編集部】
税理士試験の税法科目には、学習ボリュームが比較的少ない、いわゆる「ミニ税法」とよばれる科目があります。
前記事では、資格の大原 税理士講座で国税徴収法を担当されている並岡 雅人先生に、受講生からよく寄せられる質問をピックアップしていただき、「ミニ税法」に関する疑問に一つひとつ答えていただきました。
今回は、ミニ税法の勉強法についてアドバイスをいただきます。
1月からの学習を考えている方は、必見の内容です!

専門学校を利用してミニ税法を受験する場合、前回の講義に出席してから次の講義までの間、1回もテキストを開くことのない方がいらっしゃいます。

ミニ税法であれば、少々の遅れもなんとかなるといった気持ちからなのでしょうか。

前回、合格レベルまでの勉強量が少なくて済むということは、けっして合格しやすい、勉強がラクということではなく、上位13%台に食い込むための地道な努力が必要になるということを説明いたしました。

今回はミニ税法の攻略方法、合格のための勉強法についてアドバイスいたします。

勉強時間の「棚卸」をしよう

まずは、Excelなどを使って行動予定表を作成してみましょう。時間をかけすぎないように簡単なものでかまいません。

そして、専門学校の講義を受ける時間、その復習に使う時間をあぶりだします。

1週間のうち、何曜日の何時から勉強に充てられる時間があるのか、何も予定が入らなければ勉強できるはずの時間を確認してください。

1回の講義の復習時間は、最低でも講義時間の2倍は必要となります。3時間の講義であれば、その復習には最低でも6時間が必要になるということです。1週間のなかで、6時間以上の勉強できるはずの時間を見つけてください。

また、机に向かえる時間の棚卸を行いましょう。1週間で机に向かえる時間が何時間あるのかを認識してください。

この時間は、一人ひとり異なります。そのため、確保できる時間内で、学習効率を上げるなどの工夫を行い、復習を完了させなければなりません。

この時間を認識していない受験生が多いことに驚かされます。特にミニ税法では、油断は大敵です。

「できるときに、できるところまで」といった勉強では合格は期待できません。

勉強も仕事も一緒です。「いつまでに、どこまで終わらせる」といった計画がなければ、破綻する危険性が高まります。

1週間分の復習を次の講義までに完了させるために、時間をどのように振り分けるのか、しっかり学習計画を立ててください。

合格のために最も重要なことは、時間の使い方(学習計画)です。

計算は「机に向かって」、理論は「スキマ時間を活用」

税法科目の学習内容は、条文の暗記(理論)と、税額の算定(計算)に分類できます。

計算は理論に比べると、勉強時間を設定して学習計画を立てることが容易です。

そのため、計算は机に向かえる時間内で消化しましょう。机に向かえる時間は、計算中心の勉強に充てていきます。

理論は、暗記に要する時間を見積もることは、なかなか容易ではありません。

そのため、スキマ時間を有効利用して、まずは暗記の準備を行いましょう。

この時点で一字一句を暗記しようとすると、ハードルが上がって学習意欲をなくしてしまうことがよくあります。

「スキマ時間は暗記のための準備」として、軽作業に使うのが一番有効です。

最後に、机に向かえる時間を使い、集中して暗記の仕上げを行っていくとよいでしょう。

計算はケアレスミスをなくすことを意識しよう

計算では、常にケアレスミスを少なくする工夫が必要です。

そのためには、資料の整理能力を高める必要があります。

計算問題は目標時間が設定されています。その目標時間よりも短い時間で正解を出す練習を心がけてください。

時間を意識することで、集中力が高まり、プレッシャーに対する抗体ができあがります。

間違った項目については、間違いノートを作成しましょう。

間違った問題だけを解き直すなど、効率のよい復習に結びつくような学習法を確立することが必要です。

理論暗記のキホンは「精度を上げる」

まずは、各科目における試験傾向を分析してください。

暗記した理論をそのまま書けばよい問題と、事例形式で出題され、暗記した条文を引用しながら、その事例に即した解答を要求する問題など、科目によって出題形式が異なります。

このように、出題形式によって解答の作り方は異なりますが、暗記の基本は1つです。

条文の暗記にあたっては、精度を上げる練習をしましょう。

とはいえ、これは一字一句、条文通りの暗記を推奨しているわけではありません。

条文を構成している単語の漏れがなければ、合格答案になります。法律用語以外は、自分の言葉に置き換えてしまっても、内容が合っていれば合格できます。

結論としては、制度趣旨なども理解し、法律用語は正確に覚え、自分の言葉に置き換えた言葉もその内容が正確に説明できるようになることが暗記の基本です。


最後になりますが、ミニ税法は各科目が、いろいろな魅力をもっています。

そのなかでも、相性のよい科目に出会い、1年でも早く税理士という資格を取得されることを祈念しております。

<執筆者紹介>
並岡 雅人(なみおか・まさと)
平成10年より資格の大原で、国税徴収法の教鞭をとる。
新型コロナウイルスの影響を受ける前は、通学コースだけで200人程度の受講生を担当し、多くの合格者を輩出する。今期は通信教育も担当し、さらなる活躍が期待されている。


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