【税理士試験】受験指導のプロが伝授! 税法理論暗記を乗りきる必勝ノウハウ


堀川塾塾長 堀川 洋

税理士試験の税法科目では、記述式問題の答案作成のために、税法そのものを暗記しなければなりません。

ただ、この暗記作業を苦手とする方は多く、1年を通して受験生の“悩みのタネ”でもあります。

そこで本記事では、受験生の皆さんが税法科目の理論暗記をスムーズに進められるよう、そのノウハウをお伝えします。

8つの理論暗記ノウハウ

さて、税法科目の理論暗記ですが、どのようにすればよいのでしょうか? ここでまず、具体的な“8つのノウハウ”を紹介します。

① 暗記は机に向かってするとはかぎらない。

② 暗記は「いつでも」「どこでも」できると考え、スキマ時間を活用する。

③ 書くのではなく、口に出して頭に入れる。

④ 理論集を縮小コピーしたり、タブレット端末やスマートフォンなどに入れたりして、暗記ツールを常に携帯する。

⑤ 文章を細かく区切り、文節ごとに暗記し、それをつなげて全文を暗記する。

⑥ 冒頭からではなく、重要な箇所から暗記する。

⑦ 全文を暗記する必要がないと思われるものはタイトルだけを暗記する。

⑧ ランク外の理論は、暗記はせずとも目だけは通しておく。

理論を忘れても、ポジティブな気持ちは忘れずに

暗記した内容を忘れるのは、ごく普通のことです。

すぐに忘れてしまうからといって、自己嫌悪や不安になる必要はありません。忘れたら、思い出せるように、また暗記しなおせばよいのです。

決して「なぜ自分はこんなに物覚えが悪いのか」などという劣等感を抱かないでください。このようなイメージをもつと、自分自身にバイアスをかけてしまい、暗記がスムーズにできなくなります。

年齢やこれまでの学習経験などは、まったく関係ありません。とにかくコツコツと、「いつも理論を見直す」というスタンスで暗記を進めましょう。

理論によっては、短時間で暗記できるものもあります。このようなときは、「自分も上手に暗記ができるようになった」という自信材料にしてください。

覚えて、忘れて、また暗記する

とはいえ、忘れないようにするためには、どうしたらよいでしょうか。それは、暗記した理論をこまめに見直し、忘れるのを防止することです。

ただ、新しい理論を暗記していると、どうしてもそちらに気持ちが集中してしまいます。そこで、時間や場所などを決めておいて、新しい理論を暗記しているときでも古い理論を見直す環境を整えるとよいでしょう。

もちろん、一度完璧に暗記しても、しばらく時間が経過すれば忘れてしまいます。そのときには、また1から暗記しなおしますが、最初の頃よりもはるかに短い時間でマスターできます。

税法科目の理論暗記は「覚えて、忘れて、また暗記する」、これを繰り返すことで完成すると考えてください。

実際に文章を書けるかどうか確認しよう

暗記した理論は、「記憶」として頭の中に入ります。

口に出しながら暗記をすれば、暗記した理論は言葉でアウトプットできるはずです。しかし、試験では答案用紙に“文章で”アウトプットしなければなりません。

そのため、いったん暗記ができたと感じたら、文章が書けるかどうか確認してみてください。

ただし、これは実際に書けるかどうかを確認するための作業です。

覚えたつもりでも、なかなか完璧には記述ができません。そのような場合は、また丁寧に暗記しましょう。

毎日1行でも理論暗記を続けることがカギ

さて、徐々に本格的な理論暗記、また記述練習をしていくことになります。税法科目の理論暗記がはじめてという受験生は、不安で、また負担感もあると思います。自分にはできるかどうか自信がないというのが本音かもしれません。

しかし、少しずつ暗記を進め、暗記した理論にいつも目を通していれば、記憶を定着させることは可能です。

そして、ごく普通の受験生が理論暗記を乗り越えて合格しています。とにかくコツコツと継続すれば問題はありません。

最後に、私の経験ではありますが、この理論暗記というものを最初に経験したのは大学生のときです。日商簿記1級を受験するために、「企業会計原則の一般原則」の7項目を覚えました。1日1項目を目標に、「真実性の原則」からスタートです。

自分の部屋で、法規集を片手に壁に向かって大きな声で復唱していたので、家族から「おまえ、部屋で何をやっているんだ」と訝しがられたのを覚えています。

最初は「まさか自分が暗記できるはずがない」と思っていましたが、結局2ヵ月くらいかけて「注解」まで完全に暗記することできました。

自分でもびっくりしましたが、これが自信になり、「税理士試験に挑戦してみよう」という気持ちにつながりました(ただ、その後直面することになる財務諸表論や税法科目の理論暗記は、日商簿記の比ではなく、何度も後悔することになるのですが……)。

皆さんも、毎日1行でも1項目でも、諦めたり投げ出したりせず暗記を継続すれば、必ず目標に到達できます。ぜひ、日々の努力を心がけてください。

(執筆者紹介)
堀川 洋(ほりかわ・よう)
堀川塾塾長
大学卒業後、税理士試験に合格。その後、専門学校において税理士講座の指導を約40年担当し、2010年に会計に関連する資格試験の受験を専門にした堀川塾を設立。受験指導を中心に、書籍の執筆や大学での講師など、幅広い経験をもつ。
主著に『電卓操作最短・最速攻略法〔第2版〕』(中央経済社)、『日商簿記受験生のための電卓操作完ぺき自習帳〔改訂版〕』『ここから始める理論暗記の極意』(いずれもとりい書房刊)など多数。


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