【『財務会計講義』を読もう!】第6回:償却原価法


長島正浩
(茨城キリスト教大学経営学部教授)

【編集部より】

税理士試験の財務諸表論、公認会計士試験の財務会計論。
「計算は得意だけど理論はニガテ」という受験生の方は多いですよね。

理論が得意になるためには、個々の論点をただ暗記するのではなく、隣り合った論点を「総合的かつ横断的」に理解することが大事です! 
その1つの学習方法が、基本書を使って、キーワードをもとにさまざまな箇所で解説されている内容を横断的に押さえること。

本連載では、長島正浩先生(茨城キリスト教大学経営学部教授)に、代表的な基本書である『財務会計講義』(桜井久勝著)の索引を手がかりに、「総合的かつ横断的」な理解に不可欠な論点を解説していただきます。

ぜひ理論の得点アップにお役に立てください!

お父さん、娘さんを…

ついに“この日”はやってきた。娘をもつ父親として、いつかはこの洗礼を受けなければならないのだろう。かつては自分自身も挨拶に伺う立場を経験しているのであるが、もはやそんな昔のことはどうでもよいのである。

ひと月ほど前だったか、「彼氏が結婚の承諾を得るため挨拶に行きたい」と娘から連絡を受けた。そもそも同棲するときに、「お母さんが反対するから説得しておいて」と頼まれたほど娘から信頼を得ている私なのだ。今さら挨拶に来られても、どう対応してよいやら困ってしまう。「お父さん、娘さんをください」なんて言われようものなら、反射的に「とにかく一発殴らせろ!」なんて言いかねない。いや、口より先に手が出てしまうかもしれない。昭和の父親はめんどくさいのである。

もっとも「お父さん、娘さんをください」など、ドラマじゃあるまいし言うわけないよな。今どきならネットで検索してみるしかない。結婚情報サイトには、ずらっと模範解答が並んでいる。どうやらキーワードは「必ず幸せにします」のようだ。よし、これを使って想定問答をしてみよう。

彼氏 「娘さんを必ず幸せにします。」 

私  「幸せ? 幸せとは何か? 定義してくれる?」(やばっ、悪い癖でた)

当日は、このような最悪のシナリオは避けられ、どうにか無難に終わった。そして本日、この原稿が書きあがった夜、「逃げ恥」の星野源・新垣結衣の結婚発表のニュースが流れた。

索引を見てみよう

さて本題に入ろう。

これまでと同様、お手元に『財務会計講義』がある人は、該当ページを確認していただき、今は手元にないという人は、学習ポイントだけでも眺めていただければ十分である。

「償却原価法」は、p.101、p.235にある。まずは、主な内容と学習ポイントを確認していこう。

 p.101                                 

【内容】
償却原価法とは、債券等をその額面金額と異なる価額で取得した場合に、その差額を償還期まで毎期一定の方法で、逐次、貸借対照表価額に加算または減算する方法をいう。

【学習ポイント】
ここでの償却原価法は、第3節3「有価証券の期末評価」において、資産の貸借対照表価額の決定方法として取り上げられている。債券を取得した側で適用される有価証券の種類と利息を加減算する意味を押さえよう。

p.235                                 

【内容】
社債の発行価額が額面金額と異なる場合は、償却原価法で算定した金額をもってその社債の貸借対照表価額とする。

【学習ポイント】
ここでの償却原価法は、第5節1「社債」において、負債の貸借対照表価額の決定方法として取り上げられている。債券を発行した側で適用される社債の発行条件と利息を加減算する意味を押さえよう。

次ページ「有価証券(満期保有目的債券)の期末評価」


固定ページ:

1

2 3

関連記事

ページ上部へ戻る