【1日1問!〇×会計クイズ】税効果会計・連結会計⑲


加藤大吾
(公認会計士・税理士)

公認会計士試験(短答式)の財務会計論の計算&理論のレベルを想定した○×問題を、2021年5月の本試験まで毎日(月~金)出題! 

もちろん税理士試験の簿記論・財務諸表論、日商簿記1級の対策にも使えます。

○×問題

P社はS社に対する長期貸付金に貸倒引当金500円を設定し、損金不算入として繰延税金資産(法定実効税率30%)を計上している場合、連結上、債権債務の相殺に伴い貸倒引当金を消去すると、連結貸借対照表には繰延税金負債150円が計上される。

解答

×

個別上で繰延税金資産150円と連結修正仕訳の繰延税金負債150円が相殺され、繰延税金負債は計上されない。

連結修正仕訳

(借)貸倒引当金 500
 (貸)貸倒引当金繰入額 500

(借)法人税等調整額 150
 (貸)繰延税金負債 150

(借)繰延税金負債 150
 (貸)繰延税金資産 150

根 拠

企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」

債権と債務の相殺消去に伴い修正される貸倒引当金に係る一時差異の取扱い
32. 個別財務諸表において連結会社に対する債権に貸倒引当金を計上し、当該貸倒引当金繰入額について税務上の損金算入の要件を満たしていない場合であって、当該貸倒引当金繰入額に係る将来減算一時差異の全部又は一部に対して繰延税金資産が計上されているときは、連結決算手続上、債権と債務の相殺消去に伴い当該貸倒引当金が修正されたことにより生じた当該貸倒引当金に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異に対して、当該繰延税金資産と同額の繰延税金負債を計上する。当該繰延税金負債については、個別財務諸表において計上した貸倒引当金繰入額に係る将来減算一時差異に対する繰延税金資産と相殺する

ワンポイントアドバイス

貸倒引当金に係る税効果の連結修正仕訳については、個別上で将来減算一時差異が発生しているかどうかに連結修正仕訳が変わります。よって、将来減算一時差異が発生していない場合には繰延税金負債を計上します。

〈執筆者紹介〉
加藤 大吾(かとう・だいご)
早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師・公認会計士
2003年早稲田大学政治経済学部経済学科卒。2005年公認会計士登録。東京CPA会計学院にて公認会計士講座(簿記)・日商簿記検定講座の講師業務の傍ら、監査法人にて監査業務にも従事。2015年より早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師。著書に『税理士試験 簿記論・財務諸表論 総合問題なるほど解法ナビ』(中央経済社)がある。


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