【日商2級から税理士へ ステップアップ会計教室】第18回:債権債務③


渡邉 圭
(千葉商科大学専任講師)


この連載講座では、「日商簿記では学ばないけれど、税理士試験の簿記論・財務諸表論では必要になる論点」を学習します。
簿記論・財務諸表論の学習は広範囲にわたるため、日商簿記では深く学んでいない論点も対策しなければなりません。
税理士を目指して簿記論・財務諸表論の学習を始めた方、「いずれは税理士に」と考えている方は、この連載講座を使って効率的に学習を進めていきましょう。


前回は、「為替手形」について、学習しました。

今回は、税理士試験で出題される可能性のある「荷為替手形」について解説していきます。

荷為替手形とは

「荷為替手形」は、当社が為替手形を振り出し、受取人も当社とする手形です。

荷為替手形は、遠方の顧客に商品を売り渡す場合、売手は商品代金を早期に回収するために、発送した商品の船荷証券などを担保として、為替手形を振り出して受取人を振出人(当社)とし、手形代金の支払人を買主にする形(自己受為替手形)をとります。手形の受取人は銀行で手形の割引きを行い、代金の全額または一部を早期回収します。

取引慣行として、代金の70~80%について荷為替を取組み、残額は後日に買主から回収する場合や、全額について荷為替を取組む場合があります。販売代金の全額について荷為替を取組んだ荷為替手形のことを「丸為替」とも呼びます。

この取引は、得意先が外国企業のケースもあります。得意先の立場で考えると、為替手形の支払人になることから、支払手形勘定の貸方に記帳を行います。金額が外貨の場合は円換算を行い、決算時に当該手形が未決済であれば、決算時の直物為替相場で円換算を行い、取引時と決算時の為替相場に相違があった場合、その差額を為替差損益として計上します。

それでは、荷為替手形の設例を見てみましょう。

設 例

次の取引について、A社とB社の双方の仕訳をしなさい。

当社(A社)は、B社に商品100,000円を販売し、船便で発送した。その際、取引銀行で額面80,000円の荷為替を取組み、割引料1,000円が差引かれた残額を当座預金口座に預入れた。B社は、代金のうち80,000円について取引銀行から荷為替の引受けを求められたので、これに応じ、船荷証券を受け取った。

解 答

(単位:円)

A社の仕訳

(借) 売掛金 20,000
 当座預金 79,000
 手形売却損 1,000
(貸) 売上 100,000

B社の仕訳

(借) 未着商品 100,000
(貸) 買掛金 20,000
 支払手形 80,000

A社の仕訳について

荷為替を取組んだ時の仕訳は、自己が受取人の為替手形(自己受為替手形)の振り出しと、手形の割引きの仕訳を分けて考えます。まず、商品を販売し代金のうち80,000円を自己受為替手形で受け取り、残額は掛けとしたという形で仕訳を示します。

A社の仕訳

(借) 売掛金 20,000
 受取手形 80,000
(貸) 売上 100,000

為替手形を受け取るため、受取手形勘定の借方に記帳します。この受取手形を取引銀行で割引くと、次のような仕訳になります。

A社の仕訳

(借) 当座預金 79,000
 手形売却損 1,000
(貸) 受取手形 80,000

これら2つの仕訳から受取手形勘定を相殺すると解答の仕訳になります。

A社の仕訳

(借) 売掛金 20,000
 受取手形 80,000
 当座預金 79,000
 手形売却損 1,000
(貸) 売上 100,000
 受取手形 80,000

次回、実際に練習問題を解いていきましょう!

<執筆者紹介>
渡邉 圭(わたなべ・けい)
千葉商科大学基盤教育機構で専任講師を務める傍ら、会計教育研究所「瑞穂会」で税理士試験講座(簿記論・財務諸表論)と日商簿記検定1級~3級講座を開講し、ともに多数の合格者を輩出している。


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