大学院体験記(通信編) ―自己管理の意識が必要


5.修士論文の研究テーマの選定理由

修士論文の執筆に当たり最も大事なことはテーマ選びで,税法上の論点が明確な題材を選ぶ必要があります。選ぶテーマ次第で後の執筆のしやすさが大きく変わるので,時間をかけて慎重に選ばなければなりません。

私は知的財産権法ゼミに所属していましたので,税法と知的財産権法の両方に関連したテーマを選びました。テーマ選定期間の4ヶ月間,様々な文献を読み漁り検討した結果,自分が元エンジニアなので特許法に興味があったことや税理士試験で受験していない所得税法を深く勉強できそうで,かつ税法上の論点が明確であったことを理由にテーマを選びました。 テーマは遅くとも2年次6月のスクーリングまでに決まらないと後の日程が厳しくなる状況でした。私は4月に教授からテーマの了解を貰えたので,その後はとにかく時間に余裕を持てるように早め早めに進めました。大半の人が2年次の6月のスクーリング後に執筆を開始するところ,私は4月から書き始めていたので,同じゼミの他の同級生よりも早く11月中旬のスクーリングの時には一通り書き上げることができました。そして1月中旬に最終提出し,無事に2月上旬の公聴会での最終審査に合格できたのでした。

6.通信で学んだ感想 

 通信制大学院のメリットは,通学がないことだと思います。私のように近くに大学院がない地方在住の人にとっては救世主的存在ですし,通学がないが故に時間を捻出しやすいので,社会人や小さな子供がいる主婦に人気があるわけです。講義も修士論文も自主的にやることが求められますので,自分のペースでどんどん進めれる人にはとても合っていると思います。
ただ,先にも書きましたように通学の頻度は限られておりますので,常に教授からフォローを受けないと尻に火がつかなかったり,一人が苦手で常に仲間に会いたいという方には向いていないかもしれません。

ご自分の置かれた環境から,どの大学院に進むのがベストかよく考えて頂ければと思います。ただ,これはどこの大学院でも共通していることだと思う点があります。それは,修士論文を書き上げるのはあくまで自分自身であるという点です。
大学院に入ったからといって卒業までのレールが敷かれているわけではなく,自分自身の作品として修士論文を作り上げなければなりません。
教授からはご指導をして頂けますが,それを受けて論文を作り上げるのはあくまで自分ですので,そういうマインドを持って臨んだ方が良いと思います。

本稿は、『会計人コース』2019年10月号の要約版です。実際に受験を検討される場合、詳細はバックナンバーをぜひご覧ください。


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