
諸角崇順(かえるの簿記論・財務諸表論代表)
【編集部より】
令和8年熊本地震により被災された皆様に心よりお見舞い申しあげます。11月1日(日)から3日間、令和8年度(第 76 回)税理士試験(熊本県)の再試験が実施されます。今回は、11月試験後の科目選択について諸角先生に学習アドバイスをいただきました。ぜひ参考にしてください!
本当なら今ごろは新しい科目の学習をスタートさせていたかもしれませんね。自然がもたらしたこととはいえ、今も8月に受けるはずだった科目の勉強を継続していることは本当に辛いと思います。
「受験計画が狂った」
「受験仲間は新しい科目に進んだのに、なんで私はまだ・・・」
「いったん切れた気持ちを元に戻すことが難しい」
8月4日から3日間にわたって実施されるはずだった税理士試験。
熊本を受験会場として選ばれた方にだけ過酷な現実が突きつけられました。
2026年7月28日 16時27分、熊本県熊本地方を震源としたマグニチュード7.1の地震が起こります。時が経過するにつれ、テレビ画面やネットの速報映像で被害状況の激しさが伝わってきます。
命を失った方もおられます。怪我をされた方、物的な被害を受けた方も多数おられます。しかし、大々的には報道されてはいませんが受験機会を失った受験生も被災者です。
2026年7月29日、国税庁から熊本の受験延期が発表されました。
この発表までは「試験は予定通り実施されるのかな?」「さすがにグランメッセはないだろう」「他地区まで受けに行かなければいけないのかな?そうだとしたら今からホテルとれるかな?」と余震におびえつつ、受験生としての不安とも戦われていたと思います。
ひとまず試験中止ではなく「熊本」での「延期」と決まったことで、ほんの少し安心されたと思いますが、一度決めたゴールの日を延ばすことは本当に気持ち的にきつかったと思います。
でも今は11月1日からの3日間で実施される試験が終わるまで、その科目に合格することだけを考えましょう!
つらさや苦しさを経験した分、本当の意味で人に優しくなれると思います。
税理士になるまでは「頭のいい人」が優秀とされるのかもしれないですが、税理士になった後は(他の士業の先生もそうだと思いますが)「本音で接してくれ、時には厳しい正論を言ってくるけど最後はちゃんと寄り添ってくれる優しい人」が優秀な人として評価されると思います。
今は人を思いやる優しさを複利運用していると考えましょう!
そこに受験生活で身につけた自分を甘やかすことなく厳しく奮い立たせた心が加われば、きっと税理士になる頃、大きな利息とともに厳しさに裏付けられた本当の優しさの元本が返ってくると思います。
簿・財の受験生へ
簿・財との関連性の観点から次の科目として法人税法(法人税の計算は会計の決算結果を受けて行われるので、会計決算→法人税額の計算というひとつの流れとしてとらえる必要があります)を選ぶ人も多いと思いますが、熊本地区の合格発表(2026年12月25日)後から法人税法の学習をスタートするのは現実問題として避けたほうがいいと思います(法人税法1科目の勉強時間だけで簿・財2科目合格に必要な勉強時間を超えてしまうからです。同じ理由で、所得税法や相続税法、消費税法も避けたほうがいいと思います)。
法人税法を選択する受験生に対して、講師という立場でアドバイスするなら(会計とのつながりが強いので)簿・財学習から間を空けることなく法人税法の学習を開始してほしいのですが、現実的に法人税法のみで12月25日の合格発表後から2,000時間以上の学習時間は確保できないと思います。
そこで、いったんは気持ちを切り替えて、事業税、国税徴収法などの法人・所得などに比べそこまで学習時間を必要としない科目で短期決戦に持ち込み、来年の8月の本試験後、日商簿記2級の商業簿記(特に決算整理型の総合問題)だけ軽く復習し法人税法の学習を始めてもらえたら、と思います。
【著者プロフィール】
諸角崇順(もろずみたかのぶ)
同志社大学法学部3年生の9月から税理士試験の学習を始め、簿記論及び財務諸表論に一発合格(法人税法も一発合格)。法人税法の受験後、大手資格学校にて講師デビュー(財務諸表論)。8年目より法人税法の講師も兼任(通算17年間在籍)。大手資格学校退職後、佐賀県唐津市に移住し、個人運営の資格学校を立ち上げる(後に法人化 学校名「かえるの簿記論・財務諸表論」)。立ち上げ後6年が経過し、ついにお申し込みをお断りしなければならないほど受講生数となる(通算の講師歴は29年、指導させていただいた受講生は3,000人以上)。
<旧ホームページ>https://peraichi.com/landing_pages/view/sakura-saku
<新ホームページ>https://www.sakurasaku-manabi.com
著書に『税理士になりたいと思ったら読む本』(中央経済社)がある。
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