読書の秋! 武本寛先生(税理士)がオススメする課題図書


【編集部より】
本を読むのにぴったりな季節。「何かオススメはないかな~」と探している人もいるのではないでしょうか。
そこで、本企画では、実務家などの読書愛好家から、会計人コースWeb読者の皆さんにオススメする「読書の秋の課題図書」をご紹介いただきました(1日お一人の記事を順不同で掲載・不定期)。
受験勉強はもちろん、仕事や人生において新しい気づきを与えてくれる書籍がたくさんラインナップされています。ぜひこの機会にお手にとってみてください!

はじめに

税理士の武本です。今回は実務家がおすすめする図書ということで、税務関係についての書籍を3冊ご紹介させていただければと思います。

別の業界から税理士になったことから、税理士という仕事がどのようなものか、どのような心構えが必要かということを知りたくて、税理士になりたての頃に手に取った、思い出深い書籍です。

オススメ書籍①『税理士のための百箇条』(関根稔、財経詳報社)

弁護士、公認会計士、税理士である関根先生が書かれており、知らない方も少ないのではないかと思うくらい有名だと思います。

そもそも税理士の仕事とはどのようなものなのかを税務実務のみではなく、法律や弁護士からの観点からも書かれており、私の税理士としての考えやスタンスの一部は、この書籍によって形成されたと言っても過言ではありません。例えば、第五「分掌変更退職金」について、分掌変更退職金が否認された場合のリスクを具体例に挙げ「120%の安全を心がけるのが、この業界で生き残る知恵」と述べられており、税務リスクに対してどのように向き合うのか、スタンスをとるのかがとても参考になりました。

その他、税理士はクリエイティブな仕事であり、食事中も、休日で休んでいるときも税務の論点や申告書の検討を頭の中で考え続ける24時間勤務の仕事であるとも述べ、以前勤務していたコンサルティングの仕事とも似ている部分があると感じました。また、この書籍のシリーズとして「続」シリーズもあるのでぜひこの秋にお手に取っていただければと思います。

オススメ書籍②『資産税コンサル、一生道半ば』(本郷尚、清文社出版)

当時、株式会社タクトコンサルティング会長の本郷尚先生が書かれた著書で、皆さんご存じかと思います。こちらは税理士業務の中でも、資産税ビジネスについて書かれており、特に本郷先生ご自身のご経験を追っていくことで資産税ビジネスをどのように構築、拡大されていったのかを見ることができます。

また、その中で資産税ビジネスを行ううえで重要な価値観や考え方も知ることができました。それが①利他に徹すること、②創造欲に生きること、③法形式の濫用を禁ずることです。

①はTKCの考え方でもあるようですが私も日々の営業では相手のためになることを考え、提供できるように心がけています。
②については、目先の金銭ではなく、クリエイティブに考えることを楽しむこと。
③は節税ビジネスに陥ることなく、お客様やご家族の長期的な利益や幸せにつながることを徹底的に考えて仕事をすること。

資産税・事業承継は節税ビジネスに陥りがちなので商品ドリブンではなく、お客様の課題ドリブンであること、その結果として節税施策が必要であれば実行する。私自身はそう解釈し日々の仕事の指針としてとても参考になりました。

その他でも事務所の運営や営業の考え方なども随所にちりばめられ、資産税にかかわらない方でも税理士事務所の運営や本郷先生のお考えや足跡を見ることができるため、大変おすすめの一冊です。

オススメ書籍③『不動産・非上場株式の税務上の時価の考え方と実務への応用』(渡辺正則、大蔵財務協会出版)

最後は少し実務的な書籍のご紹介です。実務書を挙げ始めると止まらなくなりますが、事業承継として重要な論点である非上場株式の時価に関する書籍となります。

非上場株式の所得税法上、法人税法上の評価の基本的論点の解説に加え、特に有意義なのは、非上場株式に関する過去の裁決・判例を属性の内訳とともに整理してそれぞれを詳細に解説しているところです。非上場株式は相続・贈与か売買か、また、売り手と買い手が個人か・法人か、譲受側と譲渡し側が同族株主かどうかなどで評価の考え方が複雑に変わってきます。それを属性別に整理して解説していますので、非上場株式の税務上の評価業務や実際の案件の検討を行うにあたり基本的な考え方を知ることができ大変有用でした。

事業承継の案件遂行にあたってはこの書籍を時折見直し、自分の考えが大きくそれていないかを確認しながら進めることも多いです。事業承継や非上場株式関係の仕事をやりたい、これからやるかたにとっておすすめの一冊となります。

【プロフィール】

武本 寛(たけもと かん)
武本寛税理士事務所 税理士
福岡県出身。九州大学卒業。コンサルティング会社を経て税理士登録。KPMG税理士法人、メガバンクウェルネスマネジメント部への出向、外資系法律事務所Withers、MID税理士法人を経て独立。非上場会社オーナーグループを対象とした組織再編や資本政策及び国際資産税等業務に従事。


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